底辺層の怒りと悲しみ「大佛普拉斯(大仏+)2017」

「台湾巨匠傑作選2021」から。大阪で見逃したので、アップリンク京都で観た。 2014年金馬奨で最優秀短編映画賞を獲った「大佛」を長編に変えた作品。2017年の台北電影節と金馬奨では多くの賞を獲得した。2017年東京国際映画祭でも上映された。 短編映画「大…

人生も黄昏時を迎えてみれば「叔、叔」

第29回レインボー・リール東京での日本初上映。香港電影金像奨では最優秀主演男優賞と最優秀助演女優賞を受賞している。 鰂魚涌(レイユームン)のベンチ。遠くに元啓徳空港の啓徳フェリーターミナルが見える。70歳と65歳の恋。お互いに家族があって、どちら…

世界最年長のスパイに俺はなる!「83歳のやさしいスパイ」

2020年東京国際映画祭では「老人スパイ」のタイトル名で上映された。ちょっと気になってはいたが観れずじまいだったので、一般公開で観られたのはうれしい。 舞台は南米のチリ。ドキュメンタリー映画なのだが、まるでシナリオがあるかのように物語は進んでい…

小莫の涙が止まらない「親愛的房客(親愛なる君へ)」

2020年の台北電影奨と金馬奨(ゴールデンホース)で最優秀主演男優賞と最優秀助演女優賞を獲得し、その他数々の賞を受賞した。台湾での一般公開は2020年10月23日から。日本での公開が早かったのは、制作に何人か日本人が関わっているからかもしれない。 ロケ…

せつないSFファンタジー「有一天(One Day いつか)2010」

「台湾巨匠傑作選2021」から。侯季然(ホウ・チーラン)監督の長編デビュー作だが、ドキュメンタリーはその前から撮っている。 以前いつどこで見たのやらまったく覚えていないが、とても好きな作品だ。今回劇場で再び観ることが出来てとてもうれしい。 主演…

受験といじめの実態が分かる「少年的你(少年の君)」

中国大陸では2019年10月に公開された。日本では2021年7月16日から公開。2020年の香港電影金像奨では最優秀主演女優賞、最優秀新人賞、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀作品賞等等、賞を獲得している。 まずはキャスティングが絶妙。主演に1992年生まれの…

今回はお笑いは少なめ「消失的情人節(1秒先の彼女)」

今年の夏は忙しい。中国語圏の新作が続々日本で公開される。 6月25日~:「消失的情人節(1秒先の彼女)」 6月26日~:シネ・ヌーヴォで「台湾巨匠傑作選2021」開始。 7月9日~:「唐人街探案3(唐人街探案 東京MISSION)」 7月16日~:「少年的你(少年の君…

ハラハラしない「引爆點(High Flash 引火点)2018」

こちらも「台湾巨匠傑作選2021」から。台湾では2018年8月に上映された。 主演は呉慷仁(ウー・カンレン)と、「江湖無難事(ギャングとオスカー、そして生ける屍)2019」でヤクザの親分の愛人とトランスジェンダーを演じた姚以緹(ヤオ・イーティ)。 監督は…

台湾の姫物語「阿莉芙(アリフ、ザ・プリン(セ)ス)2017」

「台湾巨匠傑作選2021」を上映中のシネヌーヴォで鑑賞。ほぼ満席。2017年東京国際映画祭、関西クィア映画祭2018でも上映されている。 「父後七日」の王育麟(ワン・ユーリン)監督の第3作目。3組のカップルをメインにバランスよくお話は進む。アリフはゆくゆ…

魏瓔珞は敵に回したら絶対ダメなヤツ「延禧攻略(瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜)2018」

サンテレビで平日午後3時から1話ずつ放送されていたので、緊急事態宣言中につい見てしまった。その後後追いでネットで70話まで完走。長い! 同じ乾隆帝時代のお話なので「如懿伝(如懿伝-紫禁城に散る宿命の王妃-)」とよく比べられるが、中国大陸での放送は…

走れないけど走って逃げろ!「RUN」

デビュー作でもある前作「search/サーチ」がアイデア賞ものの傑作だったので、ずっと公開を楽しみにしていた。 アニーシュ・チャガンティ監督は、多分自分に難易度の高い制約を設けるのが好きな性格に違いない。前作は全編PCの画面内だけで物語が進行してい…

2021年香港インディペンデント映画祭で「逆向誘拐(2018)」を観る

今日から大阪のシネ・ヌーヴォにて始まった「2021年香港インディペンデント映画祭」。京都出町座では6月25日から、名古屋シネマスコーレでは7月下旬に公開予定。 自主制作映画とはいえ、高先電影有限公司(ゴールデン・シーン)がプロデュースしており、予算…

老後を強く生き抜きたい人必見「ノマドランド」&「ファーザー」

緊急事態宣言が延長されてずっと観に行けなかった。 最近は老人を主人公にした作品が増えて、撮り方も多様化している。悲惨な結末になりがちな話でも、ただ単に「かわいそう」な内容にはしていない。 「ノマドランド」は車でアメリカ各地を転々とする60代の…

「預支未來(未来モール)Season1」をNetflixで観る

台湾では2020年12月3日から優酷(YOUKU)で、12月10日からNetflixで配信された。Season1は約40分×8話。 鈦城区という架空の街が舞台のSFサスペンスドラマ。張書豪(チャン・シューハオ)が熱血刑事を主演。その弟役を布魯斯改め禾浩辰(ハー・ハオチェン)が…

「ナショナルシアターライブ フランケンシュタイン」ベネディクト・カンバーバッチ as 怪物役バージョン&博士役バージョン

数年前、香港の金鐘にある映画館の前でポスターを見かけてからずっと見たかった。日本では2015年に映画館で上映されているので、多分その頃だろう。 大阪ステーションシティシネマで上映。ベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーが博士役と怪…

「緝魂(THE SOUL:繋がれる魂)」をNetflixで観る

台湾では2021年1月29日から一般上映。大陸では検閲で6分削除されたバージョンで上映された。どこが削除されたんでしょうね。 2031年の元宵節。ある巨大企業の社長が撲殺された。その事件を担当するのが、がんを患い余命少ない検察官とその妻である刑事。怪し…

ちょっと物足りない「怪物先生(モンスターランナー 怪物大戦争)」

「未体験ゾーンの映画たち2021」から。郭子健(デレク・クォック)がプロデューサー、長年郭子健とコンビを組んで視覚効果(ビジュアルエフェクト)に携わった黄智亨(ヘンリー・ウォン)が監督をしている。 お話はわちゃわちゃしているので、もう少しすっき…

約10年ぶりに「第36個故事(台北カフェ・ストーリー)2010」を見る

大丸心斎橋店でのイベントでやっていたので参加してみた。 www.daimaru.co.jp 自分が好きなものしか出てこないやさしい映画。最初に観たのが何時だったのか思い出せないが、2011年11月には映画のロケ地にもなった朵兒咖啡館(Daughters cafe)に行っているから…

続きはどうなる?「JUNK HEAD」

昔から2次元よりも3Dよりもストップモーションアニメが大好き。大阪ではシアタス心斎橋と第七藝術劇場のみ上映。→その後大阪ステーションシティシネマでも上映。こちらの方がスクリーンが大きいのでお勧め。 監督、脚本、美術、音楽、編集、映像効果をほぼ1…

「使徒行者(ダブル・サスペクト 疑惑の潜入捜査官)2016」を騰訊視頻(テンセントビデオ)で観る

2がおもしろかったので、遡って1を鑑賞。日本では2017年のむコレで上映。今はAmazonビデオなどの配信で視聴可能。騰訊視頻では無料で視聴可能。普通語と広東語が選べるが字幕は簡体字。 そういえば以前観ようとした時に、冒頭の余詩曼のTVドラマ的なノリに…

ド派手アクション映画「使徒行者2諜影⾏動(インビジブル・スパイ)2019」

「未体験ゾーンの映画たち2021」から。「使徒行者」シリーズは映画が3まである以外にTVドラマもシーズン1~3まであり、映画の続編も今後製作するかもと言われている。しかし映画とドラマには繋がりがほとんど無く(ちょっとある)、「潜入囮捜査」モノとい…

シアタス心斎橋で「 バッファロー'66」を観る

約20年ぶりの 「バッファロー'66」。3月16日からオープンのシアタス心斎橋で鑑賞。 当時は予告編も話題になった。今のようにネットで簡単に予告編が見られる時代ではなかった。大抵は映画館で上映前に流れる予告編をチェックして次に観る映画を選んでいたも…

デモ中に撮影された短編「夜更(夜番)」

映画「十年」の中の「浮瓜(エキストラ)」を撮った郭臻(クォック・ジョン)監督の25分の短編映画。金馬では最優秀短編賞を受賞した。デモの場面は実際の現場で撮影されたもの。 しがないタクシー運転手がデモに巻き込まれる一夜のお話。そこに乗り込むお客…

これぞ香港HIPHOP「狂舞派3」

今年のアジアン映画祭で一番かもしれない。「香港でダンス映画は誰も見ない」というジンクスを破って大ヒットした1から6年。ますますパワーアップして帰ってきた。 今回はHIPHOPとダンスを愛するKIDAの面々が映画のヒットによって人気者になる中、都市再開…

「生而為人(人として生まれる)」を大阪アジアン映画祭で観る

観たときは、デリケートなテーマを乱暴に扱った映画だなあと感じたけれど。 性分化疾患の人々のインタビューなどを見ると、映画の中にあるような乱暴な扱いを実際にされていているようなのだ。本人の同意なく手術をされてどちらかの性に無理やり当てはめよう…

「ハネムード」を大阪アジアン映画祭で観る

イスラエルのラブコメ映画ってどんな感じ?と思って鑑賞。 結婚式後の一夜を描いた楽しい映画。夜のテルアビブの街を主人公たちと一緒に徘徊出来る。 花嫁がラブコメでは定番のちょっとロマンティックでかなり強引な性格。花婿が実は元カノと切れていないん…

大阪アジアン映画祭で「好好拍電影(映画をつづける)」を観る

今年も無事映画祭が開催されたので、まずは一安心。今年のオープニング作品は許鞍華を追ったドキュメンタリー映画。 映画の中で何度も許鞍華の後ろ姿が映し出されるが、まさに背中が彼女の人生を物語っている。 賞レースの常連であり生けるレジェンドの彼女…

「同學麥娜絲(同級生マイナス)」をNetflixで観る

台湾では2020年11月20日から一般公開。金馬では最優秀美術賞や最優秀助演男優賞を受賞している。 舞台は台中市。元同級生の電風、閉結、罐頭、銘添4人のちょっとしょっぱい人生を描いている。最初に監督のナレーションから始まり、最後も画面に乱入してくる…

イランのサスペンス映画「ウォーデン 消えた死刑囚」

上映期間が1週間しかないので、急いで観に行く。 1966年の刑務所が舞台。なので全体的にクラシックな雰囲気。古めかしい刑務所内部や、死刑囚の味方になる社会福祉士の服装や赤い車もかなり自分好み。 最初はいかつい制服姿で威厳のある所長が、次第に髪を振…

冒頭のツカミはOK!「ジャスト6.5 闘いの証」を観る

2019年の東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞したイラン映画。日本でイラン映画ブームが起きたのは私がまだ20代の頃。「規制だらけの中での映画製作も大変だなあ」程度の理解度だったが、そこから時は流れて、娯楽性のある映画が作られるようになったのは感…