2020-01-01から1年間の記事一覧

2度見するとよく分かる「刻在你心底的名字(君の心に刻んだ名前)」

2020年大阪アジアン映画祭で世界初上映された時は、予定が合わなかったのと宣伝用写真が耽美BLぽかったので見送った。その後台北映画祭と金馬でも上映、12月4日からは台湾で一般公開となった。そして12月23日からはNetflixで視聴できるようになったので、さ…

東京国際映画祭で「第一爐香(第一炉香)」を観る

みんな大好き張愛玲(アイリーン・チャン)原作の文芸映画。 1930年代後半の香港が舞台だが、撮影されたのは厦門鼓浪嶼(アモイのコロンス島)。2017年には世界文化遺産にも登録された。 許鞍華(アン・ホイ)監督は、「傾城之戀(傾城の恋)」「半生縁」に…

あの時何が起きたのか?「我們的青春,在台灣(私たちの青春、台湾)2019」

今日は東京映画祭は一休み。久しぶりのポレポレ東中野でこの映画を観た。 当時私も台北にいて、毎日ニュースにかじりついていた。そしていつか誰かが映画やドラマにするだろうから、そうしたら必ず観ようと思っていた。 これは立法院を占拠したひまわり運動…

荒俣宏が教えてくれる映画「リリーのすべて」の謎

今日は映画を一休みして、宿から歩いて日比谷公園に行った。目的は「荒俣宏の大マンガラクタ館」だ。 京都国際マンガミュージアムでは9月27日で終了していたので、東京で観られるのはありがたい。 その会場ではゲアナ・ヴィ―イナのイラストが多数展示されて…

東京フィルメックスで「無聲」を観る

2020年台北電影節のオープニング作品であり、金馬では8部門でノミネートされた。 小中高一貫の特殊学校で起きた集団性犯罪事件。子供たちの悲痛な叫びは長い間、外には届かなかった。 メインの3人。教師を劉冠廷(リウ・グアンティン)、被害者の貝貝(ベイ…

東京国際映画祭で「孤味(弱くて強い女たち)」を観る

釜山国際映画祭ではワールドプレミアとして上映、金馬では最優秀主演女優賞など6部門でノミネート。台湾では11月6日から一般公開された。 長女は謝盈萱(シェ・インシュエン)、次女は徐若瑄(ビビアン・スー)、謎の三女は張鈞甯(チャン・チュンニン)、四女は…

東京国際映画祭で「カムアンドゴー」を観る

かなり早めにEXシアター六本木に着いてしまったが、入り口でリムカーワイ監督が立ち話をしているのに出くわした。監督が関西弁で話しているw 158分と長丁場だが、観るとあっという間だった。群像劇なので登場人物が入れ替わり立ち代わりで退屈しない。大阪…

東京国際映画祭で「兎子暴力(兎たちの暴走)」を観る

最初は観る予定にはなかったが、朝通りすがりの入口のポスターを見て、その場で観ることに決めた。 私の写真の撮り方が悪かったわけではなく、もともとこういうデザイン。 2011年に南京で実際に起きた誘拐殺人事件が元ネタ。それを四川省攀枝花に場所を替え…

東京国際映画祭で「惡之畫(悪の絵)」を観る

無差別殺人犯よりも、彼に絵を教える画家の気持ちの揺らぎに重点が置かれていた。 今回はずっと坊主頭の黄河。 「罪と才能は天秤にかけることは出来るのか?」がこの作品のテーマだと思った。しかし天才的な才能があるからと言って犯した罪が軽くなるわけで…

東京フィルメックスで「七人樂隊」を観る

香港を代表する監督7人が撮ったオムニバス映画。短いながらもそれぞれの個性が楽しめる映画だった。 1:洪金寶(サモ・ハン・キンポー)《天台練功》1950年代 ビルの屋上で子供たちがカンフーの練習をしているお話。師匠役は洪金寶の実の息子。 2:許鞍華…

のむコレ2020「レディ・マクベス」を観る

2017年の京都ヒストリカ国際映画祭では、「マクベス夫人」のタイトルで上映。 2016年公開で、フローレンス・ピューが広く注目されるきっかけになった作品である。 彼女が演じる主人公キャサリンを「悪女」と呼んでしまうにはあまりにも悲しい。17歳で子供を…

2020台湾映画上映&トークイベントで「最乖巧的殺人犯(よい子の殺人犯)」を見る

去年の金馬でも上映されたが、スケジュールが合わず泣く泣くあきらめた作品。今回は台湾文化センターとアジアンパラダイス共催のイベントでオンライン上映した。先着100名しか見ることが出来ないので、必死こいて申し込んだ。 何といっても見どころは黄河の…

今年は金馬(ゴールデンホース)も脳内妄想開催

今年は11月5日から22日まで開催される台北金馬影展。注目作品が多い中、気になるものを挙げてみた。 手捲煙(手巻き煙草)香港 ヤクザのブツを盗んだ男と、彼から百万ドルの報酬をもらう約束で庇う元軍人とのお話。そこにタイと台湾のヤクザも絡んでくる。色…

全世界の老人に捧げる希望「ぶあいそうな手紙」

2030年には日本の平均年齢が50歳になるらしい。既にどこの映画館に行っても若者の姿は無く、平均年齢が高い高い。こうなったら老人向けの映画が増えるのは必然だ。 まず78歳の主人公エルネストが住む家がとても素敵。おそらく結婚してからずっと暮らしている…

大阪では11月14日から開催「台湾巨匠傑作選2020」

もともと4月に予定されていたのが、コロナの影響で9月に延期になった。大阪ではシネ・ヌーヴォさんで上映。名古屋は名古屋シネマスコーレで。京都では京都みなみ会館さんが12月25日から上映予定。その他に横浜、神戸でも上映予定。作品紹介はここでチェック…

今年は同時開催!東京国際映画祭&東京フィルメックス

上映作品を見ると、釜山国際映画祭や台北映画祭、金馬影展とかぶっている作品が多かった。今は海外に行けないので日本で見られるのはありがたい。 スケジュールはまだ発表されていないが、是非これは観たいという作品をリストアップしてみた。 七人楽隊(七…

ストレート同志が恋をしたらどうなるか?「マティアス&マキシム」

グザヴィエ・ドランが監督、脚本、編集、衣装、プロデューサーを担当した意欲作。 ちなみに左がマティアスで、右がマキシム(マックス)。 確かにこれはゲイ映画ではない。ストレートが同性愛に目覚める話でもない。絵にかいたようなイケメン同士が禁断の愛…

「レディバード(2017)」をNetflixで観る

男子のこじらせ青春映画は多々あって、そこに登場する女子は大抵クールで主人公より大人だったりする。でも女子だってやっぱりこじらせているのだ。 グレタ・ガーウィグが脚本、監督を担当。自身の経験を元にしているが、それを全世界共通のあるある要素にま…

逆転の発想!昼間なのに怖い「ミッドサマー ディレクターズカット版」

ホラーと戦争映画はすすんで観ることはないが、どうにも気になるのでアップリンク京都まで行って観てきた。 結局幽霊も呪いも最後まで出てこないので、ホラーというよりは「人は如何にしてカルト教団の信者になるのか」というドキュメンタリーを観たような気…

地味だけど観てしまうドラマ「マインドハンター」

Netflixでシーズン2まで配信中。デヴィット・フィンチャーが製作総指揮と一部監督を務めている。 1970年代にFBI行動科学班がプロファイリング捜査を如何に確立していったかを描いている。デヴィット・フィンチャーは以前にも映画「ゾディアック」を撮ってい…

勝てない相手に挑む恋「早春(1970)」

「町山智浩推し」で一度は観てみたかった映画。シネ・ヌ―ヴォで「‘’恋する男“映画祭」として2回だけ上映。 15歳のマイクは学校をやめて、プール付きの公衆浴場で働き始める。でもマイクは不良でも何でもないフツーの男の子。両親とは仲がいいし、可愛い元同…

アップリンク京都でグザヴィエ・ドラン祭

9月25日から新作映画「マティアス&マキシム」が上映されるのに合わせて、特集が組まれたりしているグザヴィエ・ドラン。アップリンク京都では「見逃した映画特集」で、ドランが監督もしくは主演をした映画をまとめて上映していた。 その中で私が観たのは「…

名作はいつ見ても名作「蜘蛛女のキス(1985)」

最近久々に原作を読み返したばかりで、そこに映画の再上映のニュース。これは観なくてはと京都シネマまで参上した。 日本での初上映の時、私はまだおぼこい田舎の女の子だったので観ていない。ただ当時吉田秋生がイラストでこの映画を絶賛していたのを今でも…

本編より予告編の方がいい「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」

映画館で予告編を観て「これは観なくては!」と思い映画館で観たが、予告編から想像していたのと少し違っていた。今回も敢えて予習は無し。 だからと言ってダメ映画ではないんだけど。この監督は母親に対して思い入れがありすぎ。「スタンド・バイ・ミー」の…

笑いの力を見せつけられる「テルアビブ・オン・ファイア」

イスラエルとパレスチナの対立をユーモアたっぷりに描いた映画。「テルアビブ・オン・ファイア」は劇中の人気ドラマのタイトルでもある。 映画の最初に流れるその劇中ドラマのオープニングが、いかにもメロドラマって感じでめちゃくちゃいい。 主人公が見る…

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」を観る

長い日本語タイトルだ。「若草物語」と翻訳した昔の人の方がセンスは上だろう。 町山智浩さんの映画評を聞いた後に、「フランシス・ハ」をNetflixで観て頭の中がすっかりグレタ・ガーウィグ一色。今ならLine Payで1200円で観られるのでお得だ。 原作者ルイザ…

さよなら、イップマン「葉問4:完結篇(イップ・マン 完結)」

コロナの影響で上映延期になっていたが、7月3日から日本でも一般公開した。 今回の舞台は1964年のサンフランシスコ。人種差別に立ち向かうイップマンのお話。次の相手がアメリカっていうのがまたなあ。 親子の絆のエピソードも絡めつつ、最終章にふさわしい…

陳凱歌(チェン・カイコー)奇跡の名作「覇王別姫(さらば、わが愛/覇王別姫)1993」

日本での一般公開は1994年。映画自体はDVDやテレビなどで何度も見たことあるのに、映画館で観たかどうかはうろ覚え。ちょうど塚口サンサン劇場で1週間だけ上映をしていたので早速行ってみた。 「貴妃酔酒」の楊貴妃。この世のものとは思えない美しさ。 陳凱…

団地好きは必見「しなやかな獣(1962)」

シネ・ヌーヴォにて「若尾文子映画祭」開催中。その中の作品のひとつ。 ため息が出るほどお美しい。 お互い協力しながら何とかしてお金持ち達からお金を騙し取ろうとする家族と、そこからまたお金を巻き上げようとする女のお話。どん底の貧乏生活を経験した…

今年は脳内で開催!妄想台北電影節

2020年は6月25日~7月11日まで台北で開催。このご時世、海外旅行なんて夢のまた夢。でも気分だけでも味わいたい。 今年も観たい映画はいろいろ。旅行に行ったつもりで公開順に紹介したい。 写真は台北電影節のHPから引用。 https://www.taipeiff.taipei/ 「…