香港で「九龍城寨之圍城」を観る

夜はこの映画で締めくくる。鄭保瑞(ソイ・チョン)監督の最新作。再現された九龍城はどこを切り取っても画になる仕上がり。

原作は小説と漫画。

映画の内容はこんな感じ。不死身の人とかも登場する。

見どころは何と言ってもアクションと美術セット。

今回の武術指導は谷垣健治。複雑に入り組んだ九龍城の中でのアクションは見事。幅15㎝ぐらいしかないようなトタンのひさしの上を2人で走り回ったかと思ったら、壁や床が突き抜けた部屋で立体的に動き回ったりと空間をうまく使っている。谷垣さんのアクションの特徴は華麗。やられて壁に飛ばされる時や、上から落ちる時にも必ず回転をかけている。それがカメラワークと相まってそのシーンの主役が常にかっこよく見えるように計算されている。

美術監督は「智齒(リンボ)」で鄭保瑞監督と組んだ麥國強(ケニス・マック)。過去には「葉問(イップマン)4」や「十月圍城(孫文の義士団)」の美術も担当している。

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「智齒」では空間を埋め尽くすゴミの量に圧倒されたが、今回も画面いっぱい埋め尽くされている。当初は大陸(多分横店?)でセットを組み立てる予定だったが、コロナの影響ですべて香港で作ることになった。場所は西貢(サイクン)の成豐片場、邵氏片場(ショウスタジオ)、元朗屏山公立達德學校の3か所。達德學校は「智齒」でも使用された廃校だが、その中に廟(お寺)と戲棚と茶餐廳を作った。

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もちろん九龍城をただ再現するのではなく、映画のイメージとアクションシーンの要求に合わせてデザインされている。漫画が原作なのでスチームパンクっぽい部分もあるそう。

そして俳優陣はベテランの中にも新人を加えて新しい香港アクション映画になっている。そこで一番注目されたのが伍允龍(フィリップ・ン)。

ずっとロン毛とヒゲとサングラスなので、映画を観ている間は誰だが分からなかった。

この人が不死身の悪役を演じている。気功で体を鋼のように固くできる設定はいかにも漫画。キャリアは長いが脇役が多い。後半はほぼ伍允龍の独壇場。

これも日本ですぐ公開されると思うし、少なくとも東京国際映画祭で上映しそう。