陳柏霖(チェン・ボーリン)主演の怪盗映画「還錢(逆強盗)」

2024年の旧正月映画。「そういえば台湾には怪盗映画がないよね」ってことで「第九分局」の王鼎霖(ワン・ディンリン)監督と敏腕プロデューサーの葉如芬(イエ・ルーフェン)が作った映画。Netflixで8月1日から配信開始。日本語タイトルは何だかな。

頭脳明晰で責任感が強いリーダーに陳柏霖、しょうもないダジャレを連発する天才ハッカーに蔡凡熙(ツァイ・ファンシー)、家族想いの変装家に李銘忠(リー・ミンジョン)、無口な武闘家に林哲熙(リン・ジャーシー)。この4人がチームとなって悪いヤツからお金を盗んでいく。

彼らの相手となる悪役の吳慷仁(ウー・カンレン)は友情出演の枠からはみ出るくらい露出が多い。紅一点の蔡思韵(セシリア・チョイ)は香港人だが、国立台北芸術大学で学んでいて広東語訛りも無く、この映画ではコメディエンヌとしての実力も見せつけた。

怪盗モノの映画の設定を丁寧に踏まえつつ、強奪したお金をいかに戻すかが焦点になっている。

美術は「消失的情人節(1秒先の彼女)」で本物そっくりの郵便局のロケセットを作った王誌成(ワン・ジーチョン)。この映画では賃貸契約が切れた銀行を改装してリアルな銀行を作ったり、廃棄された飛行機の躯体に4人のアジトを作ったりした。

Rの天井がかっこいい。

要の金庫はセットで。

赤外線で遊ぶのはお約束。

で、やっぱり吳慷仁がすごい。ABC(アメリカ生まれの華僑)が話す英語が入り混じったおかしな発音の國語は、「冷酷非道な悪役なんだけど、ちょっと笑ってしまう部分も欲しい」ということで生み出されたもの。気軽に楽しめるのが信条の旧正月映画の中にちょこちょこ差し込む吳慷仁のシリアスな表情が、緩くなりがちな空気を引き締めている。

カーアクションあり、ロマンスあり、葱油餅で爆弾を作ったりと、家族や友達同士で観ても楽しめる映画。