老後を強く生き抜きたい人必見「ノマドランド」&「ファーザー」

緊急事態宣言が延長されてずっと観に行けなかった。

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最近は老人を主人公にした作品が増えて、撮り方も多様化している。悲惨な結末になりがちな話でも、ただ単に「かわいそう」な内容にはしていない。

ノマドランド」は車でアメリカ各地を転々とする60代の女性の物語。アマゾンという会社がこういった車上生活者の老人たちに支えられているというのが何とも興味深い。ここに登場する老人たちは結構タフだ。何といっても若い時にウッドストックやらヒッピーでブイブイいわしているから、それほど苦ではなさそう。しかしそれも健康だからこそ。最初の頃はまだいいが、この生活を60歳過ぎてから10年以上続けろと言われるとやはり考えてしまう。広大な景色は美しいが常にマジックアワーで、ちょっと単調かなと思った。それからクロエ・ジャオ監督の三つ編み姿がもう気になって気になって。

「ファーザー」は名優アンソニー・ホプキンスの演技が素晴らしい。この映画がいいのは認知症になった本人の目線で物語が進むこと。時間の経過が把握できなかったり、家族がすり替わる現象は、まさにホラー。認知症になるとこんな恐ろしい毎日を送らなくてはならないのかと今から戦々恐々である。

身も心も頭も健康に老後を過ごすために、出来ることを今から始めていったほうがいい。

「預支未來(未来モール)Season1」をNetflixで観る

台湾では2020年12月3日から優酷(YOUKU)で、12月10日からNetflixで配信された。Season1は約40分×8話。

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鈦城区という架空の街が舞台のSFサスペンスドラマ。張書豪(チャン・シューハオ)が熱血刑事を主演。その弟役を布魯斯改め禾浩辰(ハー・ハオチェン)が演じている。そしてパート1で被害者の夫を演じているのは黄河(ホアン・ハー)。この黄河の、話が進むにつれて変わっていく変身ぶりがすごい。最初は内気な文学少年だったのが、どんどん追い詰められて最後は精神に異常をきたすのだ。彼ら以外にも台湾ドラマや映画でよく見かける実力役者が粒揃い。

3つの事件は未来の商品が買える「FUTMALL」というショッピングサイトと繋がっているが、誰にでもアクセス出来るわけではない。この謎がSeason1ではまだまだ解かれていない。

監督は「不能說的・祕密(言えない秘密)2008」でビジュアル・エフェクトを担当して金馬で「最優秀視覚効果賞」を獲得した賴俊羽(ライ・ジュンユー)。陳柏霖(チェン・ボーリン)が見事にイケてないオタクに化けた映画「愛情無全順(2013)」の監督でもある。

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誰やねんていうぐらいイケてない。普通なら最後はイケメンに変わるのだが、最後まで変わらなかったので逆に新鮮だった。

Season2の制作については未定。しかしこのまま疑問を残したまま終わるのは惜しい。それに主人公の生い立ちについての謎もまだ明らかにされていないのだ。

求む、Season2!

「ナショナルシアターライブ フランケンシュタイン」ベネディクト・カンバーバッチ as 怪物役バージョン&博士役バージョン

数年前、香港の金鐘にある映画館の前でポスターを見かけてからずっと見たかった。日本では2015年に映画館で上映されているので、多分その頃だろう。

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大阪ステーションシティシネマで上映。ベネディクト・カンバーバッチジョニー・リー・ミラーが博士役と怪物役を交互に演じる。案の定2つとも見る羽目に。

まず舞台美術が凝っていてきれい。特に天井からたくさん吊り下げられた電球が場面に合わせてスパークするのが素敵。そして実際に舞台上で火を使っているのにも驚き。日本では消防法の制限でタバコ吸うのも禁止だったりするのだが。

そしてつくづく「役者ってすごい人達だな」と感服した。最初に怪物が登場するシーンは特にそう思った。生まれたばかりの状態から立ち上がって歩き出すまでの長いシーンだ。

生まれたばかりの赤ん坊同様無垢な怪物が、度重なる暴力と裏切りに遭い本物の怪物になってしまうのが悲しい。彼と生みの親である博士とはまさに合わせ鏡のような関係で、最後は2人一心同体のまま退場する。

昔は小劇場も含めたくさん舞台を観に行っていたが、最近はほとんど行っていない。久しぶりに舞台を観に行きたくなってきたー。

「緝魂(THE SOUL:繋がれる魂)」をNetflixで観る

台湾では2021年1月29日から一般上映。大陸では検閲で6分削除されたバージョンで上映された。どこが削除されたんでしょうね。

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2031年の元宵節。ある巨大企業の社長が撲殺された。その事件を担当するのが、がんを患い余命少ない検察官とその妻である刑事。怪しげな妖術と最先端のmRNA研究。人間のエゴと愛情が交差するせつないお話である。

主演の張震チャン・チェン)はこの役柄のために3か月で12kgの減量に挑戦した。1シーンだけ車椅子に乗ってシャワーを浴びようとするシーンがあるが、全身本当にガリガリ

妻役の張鈞甯(チャン・チュンニン)もばっさり髪を切ってイメチェン。そして泣きの演技はやっぱり素晴らしい。

この2人以外にも体を張った役者ばかり。それというのも監督が「紅衣小女孩」シリーズの程偉豪(チェン・ウェイハオ)だから。どんな正統派美人女優も醜い怪物にしてしまう恐ろしい監督である。

容疑者が二転三転し、事件の真相は複雑化していく。キーポイントはmRNAなのだが、最近ではコロナワクチンのニュースでも頻繁に取り上げられているので、一般の人でも馴染みやすい。

がん治療でmRNAワクチンを使うというのはもう2000年代から始まっていて、個別に「自分だけの抗がん剤」が出来るのも時間の問題らしい。ただそれを使えば一種の不老不死の願望を叶えられるというのは、例え10年後の世界の話だとしても飛躍しすぎだろう。この映画にのれるかどうかはここにかかってくると思う。

 

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ちょっと物足りない「怪物先生(モンスターランナー 怪物大戦争)」

「未体験ゾーンの映画たち2021」から。郭子健(デレク・クォック)がプロデューサー、長年郭子健とコンビを組んで視覚効果(ビジュアルエフェクト)に携わった黄智亨(ヘンリー・ウォン)が監督をしている。

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お話はわちゃわちゃしているので、もう少しすっきりして欲しかった。前回の「悟空傳(悟空伝)」と同じ印象。

恵英紅(カラ・ワイ)の衣装はどれもゴージャス。春夏は平凡で貧乏な少女の役なので衣装も普通だが、せめて最後のシーンぐらいドレスを着せてあげても良かったのじゃないかと思う。

音楽は波多野裕介。最近特に多く名前を見かける。売れっ子だ。

男の子っぽいファンタジーを前面に押し出した美術はかなり力が入っていた。しかしそれもお話と同様、いろんなものがぱんぱんに詰め込み過ぎで、かえってメリハリが無くなってしまった。

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スーパーは暴れまくるのでセット。オリジナルキャラのぬいぐるみまで登場。そのぬいぐるみが雪男(多分)で、そこに本物の雪男の怪物が登場する。

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平叔の部屋。小物も芸が細かい。でも照明のせいなのか画面で見ると均一的でごちゃごちゃした印象。

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猛の部屋。王真儿( ワン・ジンア)の扱いが小さい。もっと絡んでくると思ったのだが。

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蓮花の部屋。ど真ん中に置いてあるオブジェが意味ありげだが、特に意味は無かった。

ロケ地は広州。しかしCGのシーンが全体の50~60%を占めていて、グリーンバックでの演技は大変だったと思う。

郭子健はこれからもこの路線で行くのだろうか?初期の作品とか割と好きなんだけどなー。「西游·降魔篇(西遊記〜はじまりのはじまり〜)」辺りから見た目は派手だけど、大味になったような気がする。

約10年ぶりに「第36個故事(台北カフェ・ストーリー)2010」を見る

大丸心斎橋店でのイベントでやっていたので参加してみた。

www.daimaru.co.jp

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自分が好きなものしか出てこないやさしい映画。最初に観たのが何時だったのか思い出せないが、2011年11月には映画のロケ地にもなった朵兒咖啡館(Daughters cafe)に行っているからその前だろう。

姉妹2人で開いたカフェだが、オープンしたては毎日閑古鳥。そこで妹が思いついたのが「以物易物(物々交換)」。物を交換するということは、思い出と繋がる物語を交換するということ。そしてそれはお互いの気持ちを交換することにもなるのだ。

とにかくこのカフェの佇まいがとても素敵。最初セットを作ろうとしたが、建て込みから撮影までの時間やリアルさを追求したら実際にカフェを作った方がいいんじゃない?ということになり、クランクアップ後もそのまま営業しちゃえばいいじゃんということになったらしい。

しかし賃貸契約の期限が切れ、2015年3月で惜しまれつつも閉店。残念。

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私が食べたのはレアチーズケーキ。映画の中にも登場するピンクペッパーが入ったジャムが上にのっていておいしかった。

小道具もそれぞれかわいい。35個の石鹸も、それにまつわる物語を描いた絵も。

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途中で挟み込まれる母親との掛け合いも最高。台湾映画ならではのユルさだ。

気が付けば、日本のあちこちで「○○上映会」という形で上映している。根強いファンが案外多いということだろう。

続きはどうなる?「JUNK HEAD」

昔から2次元よりも3Dよりもストップモーションアニメが大好き。大阪ではシアタス心斎橋と第七藝術劇場のみ上映。→その後大阪ステーションシティシネマでも上映。こちらの方がスクリーンが大きいのでお勧め。

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監督、脚本、美術、音楽、編集、映像効果をほぼ1人で作り上げいる。セットやフィギュアの完成度の高さに狂気を感じる。

ほとんど表情がないのもツボだし、言葉が意味不明で字幕というのもツボ。日本のアニメがアメリカモノと比べてほとんど顔の表情が無いのは、能に由来していると思うのだが、能面からでも十分喜怒哀楽が汲み取れるのだから「そんなに顔の筋肉動かさんくてもええのに」といつも思う。

いろんなキャラが登場するが、どれも愛嬌があってかわいい。グロさの割合も丁度いい。

映画が終わった後も何一つ問題が解決していなくて、「ええ?!」って思ったが、もともとこの作品は3部作らしい。ということは続編があるのだろうが、見られるのは何年後だろう?(遠い目)

過去に一度クラウドファンディングで失敗しているらしいが、今回の映画のヒットに乗じて物販もすればいいのにと思った。ガチャポンとかあったら絶対いくつも買うでしょう。まずはTシャツ、トートバッグからでも。

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とりあえず、先着順でもらえるシールで我慢。