「使徒行者(ダブル・サスペクト 疑惑の潜入捜査官)2016」を騰訊視頻(テンセントビデオ)で観る

2がおもしろかったので、遡って1を鑑賞。日本では2017年のむコレで上映。今はAmazonビデオなどの配信で視聴可能。騰訊視頻では無料で視聴可能。普通語と広東語が選べるが字幕は簡体字

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そういえば以前観ようとした時に、冒頭の余詩曼のTVドラマ的なノリについていけなくて途中で観るのを止めたのを思い出した。

今回改めて全部観てみれば、凝った展開とどんでん返しの繰り返しで予想以上におもしろかった。

ブラジルから物語は始まる。国際的な麻薬販売組織を壊滅するため潜入した警察官は誰なのかを探る。

古天樂(ルイス・クー)扮する少爺と張家輝(ニック・チョン)扮する阿藍との男の熱い友情がこの映画のメイン。そして2人とも何があってもなかなか死なないw

ドラマの設定に引きずられて呉鎮宇(ンジャンユー/フランシス・ン)も少しお笑い寄り。しかし阿藍を取り調べる時や、地下水道で少爺と駆け引きをする時などはクールで超かっこいい。

使徒行者2」とは話は繋がっていないが、重要なアイテムとしてここでもルービックキューブが登場する。

モールス信号を少しは勉強してみようかな?

ド派手アクション映画「使徒行者2諜影⾏動(インビジブル・スパイ)2019」

「未体験ゾーンの映画たち2021」から。「使徒行者」シリーズは映画が3まである以外にTVドラマもシーズン1~3まであり、映画の続編も今後製作するかもと言われている。しかし映画とドラマには繋がりがほとんど無く(ちょっとある)、「潜入囮捜査」モノという括りしかない。「風暴」シリーズも「ICACの警官汚職事件」という括りは繋がっているがそれ以外は大雑把なところがあって、しかも同じ役者を使いまわしているから紛らわしくなる。まあでも別々に見ても楽しめる。

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フィリピンの孤児院から話はスタート。そこで育った親友2人のうち、1人が国際テロリスト集団に誘拐されたことが運命の分かれ道となる。実はテロリスト集団は香港警察内にもスパイを送り込んでおり、誰が一体スパイなのか疑心暗鬼の中、テロ撲滅作戦のためミャンマー、スペインへと向かう。

2019年公開でコロナの影響が出る前なので、エキストラがいっぱいの密のシーンが出ると懐かしい気がする。

潜入捜査とスパイ、敵と味方が混合し、まるでオセロのように次々と黒白が変わってしまう展開にカタルシスが生まれる。そこに男の友情が加わってますますヒートアップ。

製作が邵氏兄弟國際影業有限公司(ショウブラザース)とTVBなので、まさに直球王道香港アクション映画。お金のかかったセットに海外ロケと大がかりなアクションシーンが目玉で、そして主人公がなかなか死なないw

今回の目玉はやはりミャンマーロケ。ミャンマーの街中でのカーアクションは大迫力だ。道の真ん中にお寺があるのとかよかった。

スペインの牛追い祭りとカーチェイスも面白い組み合わせ。最後の廃墟も雰囲気たっぷり。「残念な韓流」の殺し屋が牛にやられるシーンは笑っていいだろう。

古天樂(ルイス・クー)、張家輝(ニック・チョン)、呉鎮宇(ンジャンユー/フランシス・ン)の三つ巴のシーンはやっぱりカッチョいい。場所もうらさびれた市場の中だし。使い古されたシチュエーションだけど、やっぱり欲しい。

シアタス心斎橋で「 バッファロー'66」を観る

約20年ぶりの 「バッファロー'66」。3月16日からオープンのシアタス心斎橋で鑑賞。

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当時は予告編も話題になった。今のようにネットで簡単に予告編が見られる時代ではなかった。大抵は映画館で上映前に流れる予告編をチェックして次に観る映画を選んでいたものだ。

あらすじは分かっているが、映像や音楽その他のことについて再発見がいろいろ。ヴィンセント・ギャロの英語って聞き取りにくいとか。クリスティーナ・リッチは今見ても超かわいいとか。2度見すればレイラがビリーを一目見たときから好きだったんだなと分かる。この痩せ男×ぽっちゃり女の組み合わせも新鮮だった。

ビリーはイケてない男だがファッションはおしゃれ。1日の出来事なので衣装は1着しかないが、ちゃんと着回ししているし。

どのシーンを切り取っても画になるが、一番好きなのはやっぱりレイラがボーリング場でタップを踊るシーンだ。ビリーに「ボーリング場で踊るんじゃない」とツッコまれるところまで好き。

シアタス心斎橋についてはこちらが詳しい。

gigazine.net

残念なのが、椅子の配置がずれていないのと地面の傾斜が緩いこと。椅子自体もゆったり目だと思うが、80㎏以上体重のある人は2時間じっと座るのはちょっと厳しい。

私の中でベストオブ映画館は台北の欣欣秀泰影城だ。ハコは小さいのにスクリーンはでかい、椅子は豪華、傾斜ばっちりで絶対前の人の頭が被らないといいことづくめ。

台北戲院 欣欣秀泰影城 2廳、14廳 @ Shining の Blog :: 痞客邦 ::

日本ではアップリンク渋谷はよく考えているなと感動した。椅子がデッキチェアーなので、低い天井高もカバー出来るしくつろげる。

コロナ以降映画館の経営も厳しくなっているが、映画を見る環境をもう少し考えた方がいい映画館はたくさんある。

デモ中に撮影された短編「夜更(夜番)」

映画「十年」の中の「浮瓜(エキストラ)」を撮った郭臻(クォック・ジョン)監督の25分の短編映画。金馬では最優秀短編賞を受賞した。デモの場面は実際の現場で撮影されたもの。

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しがないタクシー運転手がデモに巻き込まれる一夜のお話。そこに乗り込むお客はデモに参加する学生や、フェイクニュースを信じるようなデモに対して批判的な女性などだ。この運転手も最初は商売を妨害するデモに対して不満たらたらだった。しかしデモに参加する学生たちと、海外留学している娘がダブってしまい、最後には学生たちに好意的になっていく。そういう一般市民のおっさんの目線でデモを追っているのが、他のデモをテーマにした映画と少し違う。

運転手を演じたのは、現役の区議会議員。彼以外も素人ばかりが出演している。なのでとてもリアル。運転手は「でぃう!!」大連発だ。

現場で撮影されているので臨場感がたっぷり。自分も車の中から覗いている気分になる。

「十年」はNetflixで配信中。「十年」は2015年の作品だが、香港を取り巻く現実がますますこの映画に近くなっている。

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これぞ香港HIPHOP「狂舞派3」

今年のアジアン映画祭で一番かもしれない。「香港でダンス映画は誰も見ない」というジンクスを破って大ヒットした1から6年。ますますパワーアップして帰ってきた。

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今回はHIPHOPとダンスを愛するKIDAの面々が映画のヒットによって人気者になる中、都市再開発で利権を目論む大人たちに巻き込まれていく。

映画で登場する工業地帯「龍城」は觀塘で撮影されている。工業地帯なので私もapmと観塘碼頭ぐらいしか行かない。しかし近年ここがオサレにリノベーションされ始めている。

www.herenow.city

海外でも倉庫街をリノベーションして街の活性化に繋げている例は多い。映画の中では、Heyoが改造しても住居として認められないのでベッドが置けずうたた寝しか出来ないとぼやいていたのがおもしろかった。

登場人物は前作とほぼ同じ。その中で気になってしまうのはやはりBabyJohn蔡瀚億。

前作ではひげで太極拳ダンスを披露してくれたが、今回は人気youtuberになったという設定なのでダンスは無し。

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でも段ボールロボ姿が一瞬だけ見られる。やっぱりかわいい。

私はHIPHOPにもダンスにも全然詳しくないが、出演している人はみんなキレッキレに踊っていて見ているだけでも気持ちがいい。

HIPHOPの歴史もサラっと挿入していて、そこに登場するニューヨークの筋金入りのおっさんたちも超かっこいい。要は心にHIPHOP魂があるかどうかの話だけで、頑張っているKIDAたちをディスるしか能のない阿弗が一番かっこ悪い。いるよね、こういう奴。

黃修平(アダム・ウォン)監督の作品では、「狂舞派」と「哪一天我們會飛(私たちが飛べる日)」がNetflixで配信している。これもいい映画だ。 

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「生而為人(人として生まれる)」を大阪アジアン映画祭で観る

観たときは、デリケートなテーマを乱暴に扱った映画だなあと感じたけれど。

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性分化疾患の人々のインタビューなどを見ると、映画の中にあるような乱暴な扱いを実際にされていているようなのだ。本人の同意なく手術をされてどちらかの性に無理やり当てはめようとしたりとか。映画の場合は外見は男性だが染色体がXXだったので、医者が「女性」だと認定し、本人には包茎手術だと騙して男性器を摘出してしまう。これも現実で実際に起きている事例だ。

そもそも性別が「男」と「女」の二者選択しかないということが、そろそろ時代に合わなくなっているのではないか。ちょっと前まではゲイとビアンちゃんしかいなかったのがLGBTQIA+まで増えてしまってはもう分類する意味がないような。もう個体差でしょと思う。

またそもそも論になってしまうが、戸籍からパスポート、街のアンケートにまで表記されている「男もしくは女」という項目は本当に必要なのだろうか?目の前のゴージャスな美人が、実は戸籍上では男だったとして何だというのだろう。

「子供を妊娠して出産出来るのが女」とすると、体内に子宮も卵巣もあるが妊娠出来ない人は「女」ではないのか?逆に男性器はあっても「無精子」の人は?

そういった性別の定義について考えさせられる映画だった。

とはいってもこの映画の中の「女=ピンク」「アメリカ帰りの野心的な医者=髭と首にスカーフをまく」というキャラ付けは如何にも紋切り型で安直だ。多様性を認める社会になろうと訴える映画というより、単に「珍しい病気に罹ったかわいそうな子」の映画になっているのが残念。

しかし主人公を演じた李玲葦(リー・リンウェイ)は素晴らしい演技を見せている。彼女はドラマ版「返校」でも主演している。映画からのドラマ化なのであまり期待していなかったが、映画のエピソードを踏まえながら更に発展させて物語を膨らませているのが良かった。

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Netflixで配信中。

 

追記:2023年9月22日から日本で「I ~人に生まれて~」のタイトルで一般公開。

i-hitoniumarete.com

なかなか攻めたデザイン。上映期間は短そうなのでお早めに。

「ハネムード」を大阪アジアン映画祭で観る

イスラエルのラブコメ映画ってどんな感じ?と思って鑑賞。

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結婚式後の一夜を描いた楽しい映画。夜のテルアビブの街を主人公たちと一緒に徘徊出来る。

花嫁がラブコメでは定番のちょっとロマンティックでかなり強引な性格。花婿が実は元カノと切れていないんじゃないかと疑心暗鬼になることからこの物語は始まる。実際この元カノもかなりの曲者で確信犯。そんな女たちと過保護な両親に振り回される花婿は、最後キレて偶然出会った美人看護師に惚れるも、この女もなかなかの曲者だった。

そういう振り回しタイプと振り回されタイプのお似合い夫婦ということで、最後はやっぱりハッピーエンド。

主人公以外にも細かい脇役もいい味出している。イケメンSPに囲まれてミュージカル風に踊るシーンが一番好きかも。

大阪アジアン映画祭のサイトにはタリア・ラヴィ監督のインタビューも配信されている。その中で監督が語った「国際的になるためにはローカルであるのが一番です」という言葉に納得。

 

イスラエル映画に興味を持ったら、この映画もおすすめ。 

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