「我沒談的那場戀愛(つかみ損ねた恋に: ディレクターズカット)」をNetflixで観る

うっかり見逃していた。去年の8月から全世界一斉配信だったそうで。台湾では2021年2月の旧正月映画として上映された。

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5年前の失恋から心の時間が止まってしまった妹を、病気で死ぬかもしれないと思った兄が手助けしようとするお話。詳しいストーリーは実際観てもらえばいい。

ここで目を瞠るのは呉慷仁(ウー・カンレン)の太りっぷり。以前から役のためなら減量増量どちらも厭わなかったが、今回もやってくれた。

2015年に撮影した映画「白蟻-慾望謎網」では60㎏以下まで減量して、2016年8月に撮影したドラマ「麻酔風暴2」では30㎏増量して登場した。

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この時もみんな驚いた。

この「我沒談的那場戀愛」の撮影は2020年春から夏にかけてだが、その前の2019年8月から2020年1月まで撮影したドラマ「斯卡羅」では撮影前にたった15日で11㎏の減量をして挑んでいる。そしてそれが終わった後約2か月で20㎏増量したことになる。

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「斯卡羅」では毎日ナッツとヨーグルトとこんにゃくを食べて痩せたらしい。20㎏太った記録は動画で配信されている。


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ダンガル きっと、つよくなる」のアーミルカーンを彷彿とさせる変身ぶり。まるでゴム風船のように変形自在。役者ってすごい。

そしてもうほとんど伝説の人っぽくなっている徐若瑄(ビビアン・スー)。「ビビアン パーマ」で検索してもこんな写真しかない。

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おばさんパーマとはえらい違い。美魔女の道を着々と歩んでいる。

この映画は恋愛だけでなく、家族、仕事、人間関係のうまい立ち回り方も教えてくれる。まあでも、うまく立ち回れたと思っていてもそれが幸せなのかどうかはまた別のお話。

ナワポン・タムロンラタナリット作品がまとめて観られる!「ある店長」

ぴあフィルムフェスティバルin京都」から。日本でも一般公開された「ハッピーオールドイヤー」以外の作品をまとめて観られる貴重な機会。

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その中でも一番観たかった「ある店長」を観た。「フリーランス」は以前香港で鑑賞済み。

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「あの店長」は2016年の「大阪アジアン映画祭」で上映済。この年は「フリーランス」も上映されて見事ABC賞を受賞している。この時の「フリーランス」は137分バージョンで少し長め。私が香港で観たのも長いバージョンだった。今回は127分バージョンなので少し短い。

伝説の海賊版ショップの店長について、様々な人々がインタビュー形式で語るドキュメンタリー。ダビングしたビデオテープから始まり、それがDVDとなり、違法ダウンロードに変わっていく時代の変化をノスタルジーも交えながら熱く語る姿にこちらもじーんとくる。

この海賊版の歴史はまさに私が中国でたどった道のりとまったく同じだ。中国で見たい映画を探すには海賊版ショップしかなかった。時にはキズだらけで前に進まないハズレをつかまされ、時には別人の吹き替え版だったりで、涙を呑んだことは数知れず。

確かに著作権無視の海賊版は違法だ。そこで大儲けしている輩に金を払うのにも腹が立つ。しかし!だ。

映画が流通していない場所ではそれだけが希望だった。北京のような都市部の映画館でも絶対上映しない映画を見たかった。それだけのために新街口から三里屯、国貿まで見たい映画の海賊版DVDを探し回った時もあった。

反日色の強い時期でも、中国人は北野武岩井俊二海賊版で見ていた。

そういう熱量をこの映画からも感じ取れたのがうれしい。

しかし海賊版の永遠の問題としてあるのは、やはり著作権。映画関係者にとってこれは結局自分の首を絞める行為にほかならないのだ。

動画配信サイトは悪者扱いされることが多いが、やはりこれからは救世主にもなり得ると思う。特に今後宇宙に衛星を飛ばして全世界超高速回線が使用可能になれば技術的な問題は無くなるはず(政治的な問題は解決しないけど)。

映画館の形態は今後変わると思うが、それは必然だろう。1900円も払って、ぎゅうぎゅう詰めの座り心地の悪い椅子に座り、前の席のオヤジのハゲ頭で字幕が見えないような映画館は無くなってしまって当然だ。

謎は深まるばかり「華燈初上(華燈初上 -夜を生きる女たち-)」SEASON2

年末に配信されたSEASON2。豪華な出演者がたった数分の登場にも関わらず惜しげもなく続々登場。

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SEASON1の感想はこちら

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今回は羅雨儂(ローズ)と蘇慶儀(スー)の若かりし頃のエピソードも盛り込まれている。その高校生時代のローズを王淨(ワン・ジン)が演じている。

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そして「光」の前の店のママに徐若瑄(ビビアン・スー)。

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いつまでもお美しい。彼女が引退するためスーが店を譲り受けた。

そしてローズ犯人説をスクープする雑誌の編集長に林柏宏(リン・ボーホン)。

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若手で引っ張りだこの人気者。2回出ただけで多分もう出なさそう。

そして「SUGAR」のママはますます快調。

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実は重大なカギを握っていそうでいなさそうな。見事なショーも披露している。

スーの秘密も明かされていき、最初に感じた以上に複雑な人物像が浮かんでくる。しかし未だ犯人の手掛かりは無し。

SEASON3が気になる気になる。

2022年はこれで幕開け「バジラーオとマスターニー(2015)」

「インディアンムービーウィーク2021」から。偶然ネットでスケジュール表を見つけて慌ててなんばパークスシネマに出かけた。1回だけの上映だったので間に合ってラッキー。

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サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督の作品の順番で言うなら、「銃弾の饗宴 ラームとリーラ(2013)」と「パドマーワト 女神の誕生(2018)」の間になる。

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見比べると、徐々にスケールアップしていっているのが分かる。「パドマーワト」のテーマが「火」だとするなら、この映画は「水」。部屋の中心にあるプールや庭の噴水、自然の中の滝や湖など、常に画面に水が登場する。

セットで圧巻なのは鏡の間。これも水の表面として捉えられる。

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音楽、ダンスともに素晴らしい。バンサーリー監督の美意識が炸裂しっぱなし。

ダンスのシーンはどれも素晴らしいが、今回女性2人のダンスも登場する。その名も「妻ダンス」。

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もう2人ともキレッキレ。

ストーリーはよくある三角関係のもつれ&嫁姑問題。宗教うんぬんより、妻も愛人もよく出来たヨメだったということが悲しい結末に結び付いたのかなと思う。

衣装、アクセサリーも今回どれもため息ものでうっとり。ディーピカーちゃんは姫として以外にも、戦場に出たり幽閉されたりで結構ボロボロになっている。それでも充分美しい。

3作品共演したディーピカーちゃんとランヴィール・シンは2018年にめでたく結婚。その結婚式の様子がまるで映画のワンシーンのよう。

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イタリアでインド式結婚式を挙げた2人。お幸せに。

ドニーさんとニコラスが死闘を繰り広げる「怒火(レイジング・ファイア)」

流石ドニーさん&ニコラスの主演映画は日本公開が早い。中国大陸では2021年7月、香港では8月の夏休みに公開した。日本では今年の東京国際映画祭で初お披露目。でも期間中1回こっきりの上映で、その時は観れずじまいだった。

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陳木勝(ベニー・チャン)監督の遺作となった作品。

最初の阿邦とヨメのイチャイチャぶりにはどうしようかと思ったが、そこから先はハードなアクションが最後までこれでもかと続く。例えるなら「イクラやウニがもう丼に入りきらなくて受け皿にこぼれまくりの海鮮丼」みたいな?アクション監督はドニーさんだが、アクション指導として谷垣健司も参加している。

北京道(ペキンロード)と廣東道(カントンロード)での銃撃戦は、オープンセットでの撮影とCGがとてもうまくつながっていてリアル感たっぷり。

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鯉魚門(レイユームン)の高速道路の傍に街のセットを作ったが、実際の北京道でも撮影をしている。映画の街香港といえどもこの場所での撮影許可はかなり難しかったらしい。そういえば昔、成龍ジャッキー・チェン)の映画でも廣東道のセットを作ってボッコボコに破壊していたが、みんなが知っているお馴染みの場所だけにテンションが上がる。

そして最後は教会の中での2人きりの接近戦。白いピアノとマリア像が幻想的な雰囲気を醸し出している中での死闘は、派手なカーチェイスとはまた違った趣がある。

愚直なまでに清廉潔白なキャラはドニーさんらしいが、非道な復讐の鬼と化したニコラスも新しい一面を見せてくれた。毎回難しい役に挑戦する彼だが、たまにはお気楽なニコラスも見てみたいんだけどなあ。

ケン・リュウ「Arcアーク: ベスト・オブ・ケン・リュウ」を読む

大阪市立図書館にあったので借りた。日本映画「Arc アーク」の原作が収められている。監督は「愚行録」の石川慶で期待していたが、映画の設定自体に「?」がいっぱいで入り込めなかった。モノクロシーンと、小林薫風吹ジュンのくだりは良かったが。

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ケン・リュウの作品は映像化されることが多いのだが、読んでみると確かに映像化したくなるお話ばかりだ。この本のなかでは、「Arcアーク」の他に、「母の記憶に」「良い狩りを」が既に映像化されている。

どれも切ない。涙腺の緩い人はうっかり泣いてしまうかもしれない。

SF作品ばかりだが、明の時代を舞台にした時代小説「草を結びて環を銜えん」もかなり良かった。遊女とその世話役の少女が戦乱に巻き込まれるが、遊女が自分なりの筋を通して街を救おうとするお話。これも誰か映像化してくれないかな。

どんでん返しの連続「摩天大楼(摩天楼のモンタージュ~Horizon Tower~)2020」

中国大陸では2020年に騰訊視頻(テンセントビデオ)でネット配信された。約40分×16話だが最終回だけ65分となっている。

日本ではアンジェラベイビーがメインの宣伝でいろんなところで放送されているが、今ならU-NEXTで視聴可能。

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3人の台湾人監督、陳正道(レスト・チェン)、許肇任(シュー・チャオレン)、呉中天(マット・ウー)の合作。陳正道は映画「盛夏光年(花蓮の夏)」「記憶大師」「催眠大師」、許肇任は映画「甜‧祕密」やドラマ「出境事務所」「憤怒的菩薩」、呉中天は映画「天亮之前」を撮っている。主演の楊子姍(ヤン・ズーシャン)は呉中天のヨメ。

設定では架空の街双和市となっているが、ロケ地は四川省成都

高級タワマンの一室で女性が死亡した。単純な事件に見えたが、警察が調べれば調べるほど謎は深まっていく。

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回収しきれていない伏線?もあるが、なかなか見ごたえのある内容だった。主要人物がそれぞれ二面性を持っていて、演技も2通り楽しめる。

舞台となるマンションは廊下もそれぞれの部屋もクラシックな内装でまとめられている。実際にはこんなマンションはないけれど、ミステリーの舞台にはぴったりだ。

そしてかなり力が入っているのはアニメーションのシーン。ドラマ内のアニメというとたいてい一気にショボくなりがちだが、技術の向上のおかげかこれだけでも十分作品として成立出来る。

家庭内暴力や女性の生きづらさなどを盛り込みながら話は二転三転していく。アンジェラベイビーが実際出演している時間は全体として短いのに存在感はずば抜けている。

「スター」ってそういうことかと思う。

 

追記:1月15日からサンテレビでも放送中。毎週土曜日21:30から放送。