「ぴあフィルムフェスティバルin京都」から。日本でも一般公開された「ハッピーオールドイヤー」以外の作品をまとめて観られる貴重な機会。
その中でも一番観たかった「ある店長」を観た。「フリーランス」は以前香港で鑑賞済み。
「あの店長」は2016年の「大阪アジアン映画祭」で上映済。この年は「フリーランス」も上映されて見事ABC賞を受賞している。この時の「フリーランス」は137分バージョンで少し長め。私が香港で観たのも長いバージョンだった。今回は127分バージョンなので少し短い。
伝説の海賊版ショップの店長について、様々な人々がインタビュー形式で語るドキュメンタリー。ダビングしたビデオテープから始まり、それがDVDとなり、違法ダウンロードに変わっていく時代の変化をノスタルジーも交えながら熱く語る姿にこちらもじーんとくる。
この海賊版の歴史はまさに私が中国でたどった道のりとまったく同じだ。中国で見たい映画を探すには海賊版ショップしかなかった。時にはキズだらけで前に進まないハズレをつかまされ、時には別人の吹き替え版だったりで、涙を呑んだことは数知れず。
確かに著作権無視の海賊版は違法だ。そこで大儲けしている輩に金を払うのにも腹が立つ。しかし!だ。
映画が流通していない場所ではそれだけが希望だった。北京のような都市部の映画館でも絶対上映しない映画を見たかった。それだけのために新街口から三里屯、国貿まで見たい映画の海賊版DVDを探し回った時もあった。
反日色の強い時期でも、中国人は北野武や岩井俊二を海賊版で見ていた。
そういう熱量をこの映画からも感じ取れたのがうれしい。
しかし海賊版の永遠の問題としてあるのは、やはり著作権。映画関係者にとってこれは結局自分の首を絞める行為にほかならないのだ。
動画配信サイトは悪者扱いされることが多いが、やはりこれからは救世主にもなり得ると思う。特に今後宇宙に衛星を飛ばして全世界超高速回線が使用可能になれば技術的な問題は無くなるはず(政治的な問題は解決しないけど)。
映画館の形態は今後変わると思うが、それは必然だろう。1900円も払って、ぎゅうぎゅう詰めの座り心地の悪い椅子に座り、前の席のオヤジのハゲ頭で字幕が見えないような映画館は無くなってしまって当然だ。