香港で「富都青年」を観る

MIRRORのコンサートも観れたので、今日からは観たい映画をガンガン観ていく。

まずは堅尼地城(ケネディタウン)にある高先電影院(Golden Scene Cinema)にGo!

吳慷仁(ウー・カンレン)2本立てに見えるが、「但願人長久」は不定期での上映で予約で既に満席だった。
台湾では12月1日から、香港では12月7日から一般上映されている。MM2 Entertainmentが製作、李心潔(アンジェリカ・リー)がプロデューサーを務めたマレーシア映画だ。

監督の王禮霖(ジン・オン)はこれが初めての長編作品だが、今までプロデューサーとして多くの作品を作り出してきた。

マレーシア、クアラルンプール市内にあるプドゥが舞台。

マレーシアのIDが無い兄弟が底辺の環境で必死に生きている。弟のアディは出生証明書しかないが、兄のアバンはそれすらもなく、IDが無いためまともな職にもつけない。しかも聴覚障害者なので、時としてお金をごまかされたりする。そんな2人を若い頃から助けていたのが、トランスジェンダーのMoney姐。Money姐が話すのは広東語。兄弟が話すのは中国語。その他の人と話す時はマレーシア語なのは、多民族国家のマレーシアならではだ。

安アパートには不法移民が多く滞在しており、警察の手入れがあるたび、アバンは逃げなくてはならない。そんな2人のID申請が通るようにソーシャルワーカーの佳恩が力を尽くしている。

アディの方がやんちゃで法律すれすれの仕事も受けてしまい、そのたびアバンに諭されるのだが、そこはやはり年の差からくる食い違いだろう。アバンはもう若くないことを自覚しているので、今の生活も半分受け入れている。しかしアディはまだ若く反抗心があって人生を諦めきれないのだ。

アバンの淡い恋や、Money姐とのふれあい、佳恩の家庭の事情など、細かいエピソードを重ねながらある日突然事件が起きてしまう。

そこでいくつかの真実が明らかになっていく。アバンの出生証明書がないのは小さい頃に家が全焼したからだが、では何故弟のアディにはあるのか。実は伏線はすでに張られていたのだ。

兄弟2人だけで生き延びてきた絆に胸を打たれる。特に刑務所の中でアバンが手話で訴えるシーン。これは既にいろいろなところで絶賛されているが必見である。

日本での公開は何時だろう?