偶然図書館で見かけたので読んでみる。映画では正直登場人物が多すぎて整理しきれなかったが、これを読んでやっとすっきりした。小説の方がお下劣なので、お好きな方は小説もどうぞ。
映画の感想はこちら。
上下合わせて約700ページある小説を、120分にうまくまとめられている。映画ではエレノアを楊紫瓊(ミシェール・ヨー)が演じているので、小説より格調高い母親になっている。一番̪シビれるのは映画の冒頭で楊紫瓊がタンカを切るシーン。日本のヤクザ映画でも通用すると思う。
原作の中にも書いてあるが、彼らは結局シンガポール経済圏の「お金持ち」村に住んでいる住人なのだ。みんな知り合いで、その狭い村の中で優劣を決めたり張り合ったりしているだけ。
中国のことわざで「肥水不落外人田」というのがあるが、つまりは「甘い汁はアカの他人に吸わすな」ということ。それは移民した先の経済を家族経営の財閥で牛耳って独占することにも通じる。奴隷として南洋に連れてこられて苦労した華僑はまた違うのだろうが。華僑に限らず一部の人間に富が集中する状態というのはやはり不健全だろう。
原作者のケビン・クワンもそういったお金持ち村の住人で、だからこそ内情にとても詳しい。小説に頻繁に登場するさまざまなブランド名はもうチョコプラの自慢合戦ネタレベルで、知らなくても笑える。
そんな直訳すれば「イカれた超富裕層のアジア人」も、結局フィクションでしょ?と思ったらそうでもないらしい。
Netflixで配信している「きらめく帝国 〜超リッチなアジア系セレブたち〜」は「ロサンゼルスのお金持ち」村に住んでいるアジア人を撮ったリアリティショーだ。
ある意味凄まじい世界。
これを見て羨ましいと思う人もいるから番組として成り立っているわけで。
でも、もし「あなたが欲しいのはこんな金の斧ですか?銀の斧ですか?」と聞かれても、「いやいや、私が欲しいのはこんなんじゃないんです!!」と速攻答えると思う。