潔癖症同志の恋の物語。全編iphoneで撮影したことで話題となった。台湾では2020年8月から一般公開され、2020年の金馬奨では6つの賞にノミネートされた。
「怪胎」とはフリークスのこと。極度の潔癖症の世界をポップだけど落ち着いた色遣いで見せている。
柏青(ボーチン)の家:台北市北投區承德路七段166巷11號
普段は撮影やイベントで貸し出されている築40年の古い住宅。
玄関。全体的に簡素で東欧っぽい。
リビング。個性的なオブジェ。
キッチンとダイニング。
寝室。2人のシーンはシンメトリーが多い。
静(ジン)の家:北師實驗藝廊(台北市中正區重慶南路二段19巷3號)
こちらもアート系イベントスペースでレンタル可能。
もともとはスケルトン。女性らしさをプラス。入口の門もいい味出している。
潔癖症の人は私の周りにも結構いる。オカンと自分以外の手料理は食べられないとか、友達が自分の家に遊びに来てもいいけど、トイレは外でお願いとか。そして自分は多分結婚出来ないだろうと思っている。
主人公の2人もずっと自分のことは誰にも理解されないだろうと思って孤独に生きてきた。まさに運命が引き合わせた相手同士なのだ。
しかし神様はいじわるだ。ここで大きな変化が起きる。四角だった画面も横に広がるぐらい2人の世界が変わってしまった。
全編iphoneで撮影したということだが、専門家ではなければ違いはまったく分からない。
iphoneのいいところは場所を取らないということだろう。「市民ケーン」や小津安二郎の映画では地面に穴を掘って撮影したことは有名だが、
iphoneなら箱馬2個とガラス板で充分www
しかも演技面でもプラスはある。大きなカメラの前でカメラマンや照明さんなど大勢のスタッフに囲まれるよりも、スマホ1台なら気が散ることも無いだろう。何だったらスマホ10台ぐらい配置して1発撮りとかもやろうと思えばやれる。
監督の廖明毅(リャオ・ミンイー)は10年前からiphoneでの撮影を研究していた。なのでこの映画でも自分で撮影している。映画制作では撮影機材とカメラマンのギャラは予算の中で大きな比重を占めているので、ここが浮く分制作しやすくなるのではないか。
それでも予算は多い方がいいので、この映画制作のための短編もiphoneで撮っている。投資相手に見せる用だろうか。
今年の台北電影節のための短編作品もおもしろい仕上がりになっている。
だからと言ってiphoneが万能というわけではないので、これから使い分けがどんどん進んでいくのかもしれない。