香港で「潜行」を観る

「瞞天過海」を観た後で、星光大道を通り過ぎヴィクトリア湾に沿いながら黄埔(ウォンポー)まで歩いて行った。

目的は黄埔の嘉禾(ゴールデンハーベスト)の映画館。黄埔の船型ショッピングセンターがまだ現役なのに安心した。

アンディさん(劉徳華)が麻薬王で、その麻薬組織に潜入捜査で入っているのが林家棟(ラム・ガートン)。ポンちゃん(彭于晏)はその麻薬組織をITで追い詰めるサイバー課の上官。

香港映画のお家芸みたいな映画で、特に目新しいものは何もない。舞台は香港で俳優もほぼ香港人だが、大陸系の会社がお金出しあってヒット作狙おうと香港映画のテンプレ使って作ったようなかんじ。

娯楽大作としてよく出来ていると思うけど、「いまだに麻薬潜入捜査で男の友情と裏切りと家族の愛がテーマかい」とも思ってしまう。

最近は若手の香港人監督たちがもっとリアルなテーマで香港の日常を捉えた素晴らしい作品を多く世に送り出しているというのに。

それにしてもアンディさんはよく働く。この映画ではプロデューサーも兼任している。

この後には旧正月映画の寧浩(ニン・ハオ)監督の「紅毯先生(ムービー・エンペラー)」で主演もしている。

影武者が何人もいそうだ。

香港で「瞞天過海」を観る

スペイン映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」の中国版リメイク映画。ちなみに「瞞天過海(まんてんかかい)」とは、中国の兵法書に挙げられる兵法の一つで、何食わない顔で敵を騙す兵法・計略を指すそう。

ネタはバレているので、出演者の許光漢(グレッグ・ハン)と張鈞甯(チャン・チュンニン)の演技をしっかり堪能。

東南アジアの某国という設定だが撮影は海南島の万寧市。映画の中で使用されている文字は丸っこくてミャンマー語っぽい。

殺人の容疑がかかった超大金持ちの妻を張鈞甯、便宜を図る代わりに金銭を要求する汚職警官を許光漢が演じている。

この2人の演技力が素晴らしい。必死の騙し合いの中で、玉ねぎの皮が剥かれるようにどんどん演技が変わっていく。

中国大陸では2023年12月8日から一般公開され興行成績は1億人民元を超えたので、ヒットと言えるだろう。

香港では2024年1月18日から一般公開。香港でも許光漢の人気は高いが、他の旧正月前の強豪作品と並ぶと厳しそうだ。それ以外の国の公開予定は未定。流石に短期間での4度目のリメイクとなると観る人が限られるのかもしれない。

セブンイレブンに佇む男神

最後は愛奇藝(アイチーイー)で配信するからいいのかな。

 

追記:そう思っていたら旧正月から愛奇藝(アイチーイー)で早速配信開始。国際版愛奇藝で最初の6分だけなら無料で日本からも日本語字幕付きで鑑賞可能。

香港で「金手指」を観る

香港では12月30日から一般公開。これだけ人気だと香港中どこでも観られるので、値段の安い柴灣(チャイワン)で観ることにした。日本だと映画は一律料金だが、香港では新作でも時間と場所で大きく変わる。基本は郊外の古めの映画館の午前中が一番安い。でも旺角(モンコック)の朗豪坊(ランガムプレイス)で午前中の回が38HKDだったりするから侮れない。

80年代に実際あった佳寧集団汚職詐欺事件が元ネタ。他にもインサイダーとか、殺人とかいろいろあったらしい。

土地と株価が高騰したバブルの乱痴気騒ぎの様子は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を意識したに違いない。但しお正月映画なので会社でF★CKとかドラッグでハイになったりとかは無し。

キラキラした80年代の街並みとファッションが再現されていて楽しいが、まず主演の2人が最初超若い!

特殊メイクなのかCGなのか。実際はもう還暦を超えたおじいさんである。

影帝2人に何やらせてんだかwww
英皇電影(エンペラー・モーション・ピクチャーズ)が3.5億HKDをかけて製作したが、それはすでに全世界上映で回収済。

株とか経済にまだまだ疎いので、ついていけない部分は多々あった。結局世の中はお金持ち達が寄せ集まって巨大なお金を回しているんだねというのは分かったけど。

若い時のギラギラしたシーンも注目したいが、お互い年を取った後に向かい合う2人のシーンもかなりよかった。年を取るってそういうことだよね。

映画館でもらったクリアファイル。最近は香港でもこういったノベルティを配っているらしい。2人のツーショットににやける。

で、日本での公開は?

香港で「富都青年」を観る

MIRRORのコンサートも観れたので、今日からは観たい映画をガンガン観ていく。

まずは堅尼地城(ケネディタウン)にある高先電影院(Golden Scene Cinema)にGo!

吳慷仁(ウー・カンレン)2本立てに見えるが、「但願人長久」は不定期での上映で予約で既に満席だった。
台湾では12月1日から、香港では12月7日から一般上映されている。MM2 Entertainmentが製作、李心潔(アンジェリカ・リー)がプロデューサーを務めたマレーシア映画だ。

監督の王禮霖(ジン・オン)はこれが初めての長編作品だが、今までプロデューサーとして多くの作品を作り出してきた。

マレーシア、クアラルンプール市内にあるプドゥが舞台。

マレーシアのIDが無い兄弟が底辺の環境で必死に生きている。弟のアディは出生証明書しかないが、兄のアバンはそれすらもなく、IDが無いためまともな職にもつけない。しかも聴覚障害者なので、時としてお金をごまかされたりする。そんな2人を若い頃から助けていたのが、トランスジェンダーのMoney姐。Money姐が話すのは広東語。兄弟が話すのは中国語。その他の人と話す時はマレーシア語なのは、多民族国家のマレーシアならではだ。

安アパートには不法移民が多く滞在しており、警察の手入れがあるたび、アバンは逃げなくてはならない。そんな2人のID申請が通るようにソーシャルワーカーの佳恩が力を尽くしている。

アディの方がやんちゃで法律すれすれの仕事も受けてしまい、そのたびアバンに諭されるのだが、そこはやはり年の差からくる食い違いだろう。アバンはもう若くないことを自覚しているので、今の生活も半分受け入れている。しかしアディはまだ若く反抗心があって人生を諦めきれないのだ。

アバンの淡い恋や、Money姐とのふれあい、佳恩の家庭の事情など、細かいエピソードを重ねながらある日突然事件が起きてしまう。

そこでいくつかの真実が明らかになっていく。アバンの出生証明書がないのは小さい頃に家が全焼したからだが、では何故弟のアディにはあるのか。実は伏線はすでに張られていたのだ。

兄弟2人だけで生き延びてきた絆に胸を打たれる。特に刑務所の中でアバンが手話で訴えるシーン。これは既にいろいろなところで絶賛されているが必見である。

日本での公開は何時だろう?

The Road to AsiaWorld-Expo(亞博への道)~その3~

今日は自分1人だけでコンサートに行くので、まずはチケットを取りに行かないといけない。香港でチケット販売というと城市售票網(URBTIX)が有名で街のいたるところで発券できるが、Citylineのチケット発券機はそれほど多くない。事前に調べて太子(プリンスエドワード)の順豐店で受け取ることにした。

道すがらMIRRORの捕獲にも余念がない。

Anson Lo越しのJeremy。

「黒月」なだけにほぼ真っ黒な広告。

無事に太子の順豐のお店に着く。順豐は宅急便の会社。入り口近くに発券機があったので、決済に使ったクレジットカードをスキャンして無事チケットをゲット。

チケットは取り合えず入手できたので、夕方まで何をしようか考えたが、もうすぐ上映が終わりそうな姜濤(Keung To)主演の台湾映画「我的天堂城市」を観に行くことにした。場所は九龍城廣場(Kowloon City Plaza略してKCP)。太子から歩いても行けるが、新しい地下鉄に乗って宋皇臺(ソンウォントイ)駅まで行く。

九龍城廣場は1993年からある古いショッピングセンター。何度かリニューアルしていて今は中にAEONが入っていた。

もしかして貸し切りかと思ったが、自分以外に4人ぐらいお客がいた。台湾では短期間で打ち切りになっているが、姜濤人気で香港では10月12日公開からずっと上映は続いている。

オムニバス形式で3話が緩く繋がっている。ニューヨークで生きる華僑のお話。姜濤は両親の管理下に置かれたダンス好きの台湾人大学生に扮している。そこでシンガポールから来た留学希望の女の子と意気投合。しかし留学の許可が下りずシンガポールに帰国することに。離れ離れになる若い恋人同士をフレッシュに演じている。

新人とはいえ姜濤の演技が固い。ラブラブな感じを出そうと頑張っていたけれど。他の出演者が芸達者なのもあって印象が薄くなってしまった。

ニューヨークが舞台だが、華僑の生活が中心なので人種のるつぼ感やニューヨーク感はあまりなく、「別にニューヨークじゃなくても」と思ってしまった。

その後、せっかくだから隣の啟德(カイタック)駅にある、柳應廷(Jer)が友人と作ったカフェ「根root cafe」に行ってみようと思い立つ。16時閉店らしいので、Google Mapを見ながら急いで徒歩で行こうとしたのが運の尽き。周りはガンガン工事中で矢印通りに進めず、なぜか牛棚藝術村まで来てしまい、何だか分からないピカピカのスタジアムを横目に通り過ぎながらマンションの敷地までたどり着いたが場所が全く分からない。門に立っている保安のオジさんに訊いても店らしきものは見えず、ヤケクソで奥までずんずん歩いたらやっとあった。結局30分以上歩いて何とか16時前に着いた。

木の柱がアクセント。マンゴーのケーキと紅茶を頼む。普通においしい。食事のメニューもあり。

帰りは素直に啟德駅から乗る。こっちからの方が断然楽だった。

佐敦(ジョーダン)で適当に夕ご飯を済ませてまた九龍駅に乗り込む。

今日は1080HKDの席なので昨日よりステージからは遠い。でも高さがあるのでステージが良く見える。

今夜も始まる始まる。

早速ペンライトを取り出して振りまわしていたら、最初の方で電池が切れてしまった。焦ったが切ったり付けたりして何とか最後まで光らせた。まさか2日持たないなんて。

これで私の2DAYSは終わった。しかしクアラルンプール行きを固く心に誓ったのであった。

まだまだ続く!

 

追記:「我的天堂城市」は「ニューヨーク協奏曲」という日本語タイトルで9月25日に「台湾文化センター台湾映画上映会2024」で上映されることに。

チケットは先着順で、申し込み開始日時は台湾文化センターのHPで発表する。

jp.taiwan.culture.tw

オンライン上映が無くなるのは悲しい。

The Road to AsiaWorld-Expo(亞博への道)~その2~

朝4時前に起きて始発で関空へ行く。今回は香港航空を利用。LCCではないので機内で一応水と軽食が支給されるのは助かる。

お昼には無事に香港へ到着。コロナの面影は全くなく、いつも通り入国審査を経て空港のロビーに出る。そこでMIRRORのお迎えが。

EDAN&IAN。香港国際空港でのキャンペーン中。

早速SIMカードを買いに1010のお店に行くと、ここでもMIRRORに遭遇。

MIRRORのフィギア。1個88HKDで12個セット1056HKD也。もちろんセットで即購入。

そのままエアポートバスで市内のホテルに向かう。バスの中は中国人だらけ。北京語が飛び交う。

今回のお宿は油麻地の「Yesinn@YMT」。香港のホテル代も去年から一気に値上がりして、ドミトリーでも1泊5000円以上するゲストハウスが多かった。日本円が安いというのも理由の一つだが。

ホテルについて早速「MOOV Shop」のHPを開く。コンサートグッズを事前に予約しようとしたら「日本では開けません」と表示された。なので香港に着いてやっとHPを開くことが出来た。会場では商品の受け渡しのみで事前にネット決済しないといけないらしい。ところがやっぱりいつもの楽天カードは使えない。別のカードは日本の電話番号のSMSに認証コードを送ってきたが、私のスマホは既に香港のSIMカードに切り替わっている。

こうなったら神の手にすがるしかない。実は今日のコンサートは香港の友人と行くことになっていて、油麻地でご飯を食べた後に一緒に行くことになっているのだ。

そしてご飯の時に、友人にお願いして問題なく購入出来た。後は会場で商品を受け取るのみ。

会場の亞博までは九龍駅からエアポートエクスプレスで行くことにした。九龍駅でコンサートチケットを改札の手前にいるおばちゃんに見せると、通常往復185HKDが57HKDにディスカウントされる。支払いは八達通オクトパスカード)でOK。

コンサートの開始は8時15分だが、7時には亞博に到着。なぜなら会場で見るべきものがたくさんあるから。

到着ホームからの

ロビーのエスカレーターを降りるところからの

会場の前。

そして会場の隣ではそれぞれのメンバーのファンクラブが愛の溢れた展示をしていた。

個人的に一番のお気に入りは楊樂文(LOKMAN)のブースに置いてあったアルパカのフィギア。確かに似ているw

これ全部ファンクラブの自費制作。愛だね。

会場ではトイレの数が少なくて、一部の男子トイレを女子トイレに変更していたがそれでも長蛇の列だった。

ペンライトに持参の単4電池3本もセットして、アプリと連動させようとしたらペンライトのQRコードが小さすぎて読み取れない。焦っていると会場整理の人が駆けつけて代わりにセッティングしてくれた。ここにも愛が。

新調した眼鏡も掛けて準備完了!始まる始まる。

亞博は1万4千人収容の会場だが、真ん中にT型ステージが設置されているので意外と近い。私の場所からは何とか顔の表情が分かるくらい。でも当然ながらYouTubeの動画に比べて音はダントツにいい。

やっぱりコンサートは現場に行かないと!

みっちり3時間堪能して、帰りはラッシュの波にまみれて駅に戻る。終電が何時なのか分からないがとりあえずみんなと一緒に突き進む。

帰りの電車の中で友人と感想を言い合う。

姜濤(ギョン・トウ)全然太ってないやんとかw

会場全体で一緒に歌を歌えてよかったとか。

ゲストハウスに着いたのは1時過ぎで、他の人を起こさないようにこっそりベッドに入る。でも興奮して眠れない。でも何とか寝る。

そして明日に続く!

1月から2月にかけて香港で公開中の映画

飛行機のチケットも買って、ホテルも予約して、眼鏡(老眼鏡じゃないやつ)も新調して、歯のクリーニングもして、髪も切って、後は寝て待つのみだが、やはり現地の映画チェックは欠かせない。

 

「富都青年」:12月7日から公開

公開から既に2か月以上経過しているが、まだまだ上映中。吳慷仁(ウー・カンレン)主演のマレーシア映画。評判は上々で特に聾啞役の吳慷仁の演技が絶賛されている。

 

「爆裂點」:12月8日から公開

こちらも回数は少ないながらも上映中。張家輝(ニック・チョン)と陳偉霆(ウィリアム・チャン)が主演。共に麻薬犯罪を取り締まる警官で、陳偉霆が潜入捜査に深入りして戻ってこれなくなる話らしい。陳偉霆は中国大陸ドラマで主役は張れても、映画となると脇役に回りがち。今年39歳の陳偉霆はここからが正念場。監督は林超賢(ダンテ・ラム)。

 

「金手指」:12月30日から公開

英皇電影(エンペラーモーションピクチャーズ) らしい大金を投入した派手なお正月映画。トニーさん(梁朝偉トニー・レオン)&アンディさん(劉徳華アンディ・ラウ)主演。予告編のトニーさんを見るだけで期待値が上がる。80年代の香港の街並みが見られるのも楽しみ。監督は「竊聽風雲(盗聴犯)」シリーズを撮ったベテラン莊文強(フェリックス・チョン)。

 

「潛行」:1月11日から公開

こちらもアンディさん主演。麻薬捜査が絡んだエンターテイメント映画。ポンちゃん(彭于晏/エディ・ポン)は熱血警察官役っぽい。監督は「追龍」の關智耀(ジェイソン・クワン)。アンディさんは1月25日から上映される中国大陸映画「莫斯科行動」でもプロデューサー兼特別出演を担当している。還暦過ぎてもワーカホリックぶりは変わらない。

 

「瞞天過海」:1月11日から公開

スペイン映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」をリメイク。既にイタリアや韓国でもリメイクされている人気ミステリーだ。愛奇藝製作のこの中国版は4度目のリメイクとあって、設定を大胆に変えている。殺人容疑をかけられる主人公を張鈞甯(チャン・チュンニン)、この主人公に迫る相手役を許光漢(グレッグ・ハン)が演じている。スペイン版は既に見た。いくつかの伏線が何気に張られていて、それが最後のオチに繋がっていく実に見事な構成力だった。結末まで変えたのかどうかが気になるところ。

 

「源生罪」:1月18日から公開

15年前の連続殺人事件の謎を催眠術で解き明かそうとするお話らしい。任達華(サイモン・ヤム)が主演。監督は「釀魂」の岑嘉彥(ケルビン・サム)。うーん、どうだろう?

 

公開には間に合わないけど、何とか先行上映して欲しいのがこの映画。

「盜月者」:2月10日から公開

MIRRORのメンバーのうち、Edan(呂爵安)、Anson Lo(盧瀚霆)、姜濤(ギョン・トウ)が出演。日本ロケもあり。監督はViu TVでドラマ「季前賽」を撮った袁劍偉(スティーブ・ユエン)。貴重な腕時計を何とか手に入れようと画策する面々たち。日本のヤクザとやり合うのもお約束。

 

楽しみ楽しみ。