最終回は怒涛の展開!Netflixドラマ「罪夢者」

世間の評価は様々だが、私は十分楽しめた。

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メインの4人。男の友情と父子の情がこのドラマの主題だ。

この4人以外に大きく注目されたのが許光漢。

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まさかこいつが事件の鍵を握るとは!

許光漢は以前台湾ドラマ「戀愛沙塵暴(2016)」で、韓国アイドルに憧れるモテ男役を演じているが、3年でこんなに成長するとは驚きである。今年は台湾映画「陽光普照(ひとつの太陽)」にも出演していて、今後もドラマや映画で主演作が目白押しだ。

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 ただ、船の中で一酸化炭素をどうやって充満させるのか?とか、終わり方はあれでよかったのか?とか疑問はいろいろある。風船の中の空気が抜けていくような終わり方をする台湾ドラマは結構多い。

このドラマは台湾中でロケをしている。そのロケ地がどれも素敵。

監獄は撮影などで良く使われている坪林旧監獄所。今は研修センターにもなっている。

「白雪大舞庁」は台中で現在も営業している50年の歴史があるダンスホールだ。

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第6章で大立ち回りをするレストランは桃園の「石園活魚餐庁」。

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ちなみにこのドラマのアクション監督は日本人。なのでケンカのシーンがリアル。いかにもチンピラの殴り合いっぽい。派手で痛さを強調する韓国アクションが流行った時期もあったが、今は中華圏の映画ドラマのアクションシーンを日本人が振付することが多くなった。

阿全の夢の中に登場するのは映画「千禧曼波(ミレニアムマンボ)」にも登場した基隆駅のそばにある中山陸橋。

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こちらは再開発で2020年に取り壊される予定。見に行くなら早めに。
10年前と現在が交差しながら話は進むが、現在のシーンでもそれほど今を感じさせない。スマホはとうとう最後まで登場しなかった。Netflixだから若い人向けかと思ったが、年齢高めでも楽しめると思う。

ヤスミン監督映画「細い目(2005)」を観る

大阪では十三にある第七芸術劇場で公開中。

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金城武が好きなマレー系の女の子オーキッドと、露天のVCD屋で働く中国系の男の子ジェイソンが出会う。一目ぼれから始まる初恋。でも男の子はヤクザのボスの妹でもある中華系の女の子ともつきあっていた。オーキッドはそれを知り、いったんは分かれる決意をするが、最後に奇跡は起きた。
「タレンタイム」もそうだが、それぞれの家族がとても仲良しでうらやましい。ジェイソンの家は中国系だが、家の中では複数の言語でおしゃべりをしている。そしてジェイソンがオーキッドと話すときは主に英語だ。

多民族国家の恋愛を描いているが、「タレンタイム」同様一筋縄ではいかない。同じ文化風習を持っている者同士でつきあうほうが簡単だろう。でも2人は出会ってしまった。そしてお互い恋に落ちた。そうなったら2人で何とか乗り越えていくしかないだろう。

主人公のオーキッドがめちゃかわいい。かわいいのに、口ゲンカをしたら相手を言い負かすぐらい強い。自分の気持ちを素直に貫く強さが見ていて気持ちいい。

ヤスミン監督の映画は、観た後心がほっこりする。

張孝全主演ドラマ「罪夢者(NOWHERE MAN)」がNetflixで配信開始

中国語圏市場を狙ってNetflixが自主制作。全8話。

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早速、昨日第1話を鑑賞。現在と民國95年(2006年)が行ったり来たりしながら物語は進む。監督は「十七歳的天空(僕の恋、彼の秘密)」の陳映蓉(D.J.チェン)。ヤクザな世界をうまく作り出していると思う。しかしレトロなダンスホールが出てきたり、ポケベルで連絡したりと2006年よりも昔な感じがする。チンピラみたいな主人公にしても「オレは薬の売買には手を出さないぜ。生まれてくる息子に悪いからな。(直訳すると、息子を一生肛門無しにさせるわけにはいかない=親の因果が子に報うという意味)」という昔気質なところがある。この辺は監督の好みなんだろう。

ヤクザ同士の抗争に巻き込まれて、今は監獄に入っている。その後どうなるのか早く知りたいが、そこはじっくり楽しもうと思う。

今後12月6日から劉以豪(リウ・イーハオ)主演の「極道千金」、1月23日から呉慷仁(ウー・カンレン)主演の「彼岸之嫁」が配信される予定。

この3組のドラマの主演俳優が集まって宣伝している番組があった。

https://www.youtube.com/watch?v=grsHTrodugY

どれも楽しみだ。

東京国際映画祭で「ミンダナオ」を観る

今現在も内戦が続いているフィリピン南部のミンダナオ島でのお話。

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メンドーサ監督の映画は以前「ローサは密告された」を京都シネマで観た。手持ちカメラで臨場感たっぷりに撮るところは変わっていない。

しかし今回は4歳になる娘が中心なので、かなりソフトになっている。そして古くからミンダナオ島に伝わる英雄伝説が手書き風CGアニメになって挿入されている。

物語は母子の日常と戦闘と伝説の3つで構成されている。この3つが実にうまい具合に交じわりながら進行していく。更にミンダナオ島独自の舞踏も盛り込んで見せ場たっぷりだ。

衛生兵として内戦に参加しているため留守がちな夫の分もがんばってガンを患った娘の世話をしている妻がとても健気だ。ガンと闘う娘もめちゃくちゃかわいい。この3人の雰囲気がとても自然。妻役の女優は実際も3児の母なので、流石に子供のあしらいが上手だ。

そして最後の静かな終わり方も良かった。

こうなってくると、今年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で「アルファ 殺しの権利」が観れなかったことが惜しまれる。しかし!なんとシネマートさんで上映が決定。

http://www.cinemart.co.jp/dc/o/nomucolle3/

「アルファ」以外にも「雪爆」「スーパーティーチャー 熱血格闘」「ビッグ・ショット」等観たい作品がたくさん。しかもリピーター割引は1200円という太っ腹。

これは通うしかないでしょう。

東京国際映画祭で「繼園臺七號(チェリーレーン7番地)」を観る

楊凡(ヨン・ファン)監督初のアニメ―ション作品。アニメーションの素人だから出来た作品とも言える。

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1967年の監督が20歳だった頃の香港が舞台。耽美。とにかく美しい。そして登場する男たちが脱ぎまくり。でも2次元なので生々しくない。

声を担当する俳優たちが豪華。虞太太が張艾嘉(シルビア・チャン)、その娘に趙薇(ヴィッキー・チャオ)等々。可笑しかったのが張孝全。「紅楼夢」で妙玉を攫う男を吹き替えていたが「はーっはっはっ」しか言っていなかったようなwもっと可笑しかったのが、黒猫の吹き替えが陳果(フルーツ・チャン)だった!どんな人選だったんだろう?

上映後にはQ&Aがあった。楊凡監督が時間いっぱいたくさんお話してくれた。監督の頭の中はこの映画のように美しいもので溢れているに違いない。

東京国際映画祭で「失われた殺人の記憶」を観る

予告編がいい感じだったので観てみたが、期待を上回ることはなかった。

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これが監督のデビュー作品ということで、新人監督にありがちないろいろ考えすぎた部分が多かった。最初の舞台あいさつで監督から「犯人捜しよりじっくり内容を観て欲しい」みたいなことを言われたが、主人公が見栄っ張りで大酒飲みのギャンブル依存症のダメ男で、そのダメっぷりを延々見せられただけだった。それに反して良く出来たヨメなのに、結局は殺され損だったというオチもどうだろう。最初のセックスシーンはツカミとミスリードを誘うためなんだろうが、死因は鈍器で殴られたためって全然違うし。

元ネタはWEB漫画でそこに監督が肉付けしていったのだろうが、何が言いたかったのか?記憶を遡るごとに新しい事実が見つかって話が二転三転してハラハラドキドキ胸キュン!的な展開を期待していたが、ただ単に男にとって都合のいい内容だった。唯一良かったのはキム室長のあくどい遣り口だったな。

東京国際映画祭で「麥路人(ファストフード店の住人たち)」を観る

この映画ではじめて「マック難民」という言葉を知った。日本で生まれた言葉で、ネットカフェにすら泊まれない人がマックに流れたらしい。

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郭富城(アーロン・クォック)演じる阿博はかつては金融の世界で名を轟かせていたが、公金に手を出し刑務所へ。出所した後は某ファーストフード店で寝泊りする毎日だ。そこで出会う同じく人生いろいろな仲間を助けながら、いつかは家に帰りたいと思っている。

マック難民」という題材は新しいが、内容は底辺に住む人間たちの人情劇場だ。なので彼らの状況は悲惨なのに、見ていると心が温まる。監督はこれが長編デビュー作なのだが、実にうまいところを突いてくるなあと思った。しかもこれは群像劇で、それぞれのエピソードが偏りなく描かれている。つまりそれぐらい各キャラに対して観察と熟考がなされているということだ。

久しぶりに黒髪で演じている楊千嬅(ミリアム・ヨン)も場末の売れない歌手にしか見えなくて、改めて演技力の高さを見せつけられた。その他に張達明はじめ芸達者な面々がそれぞれのキャラを演じている。

この映画は東京国際映画祭が世界初上映ということだが、「ロンドンイーストアジア映画祭」のクロージング映画にも選ばれていて、今後は世界を駆け巡りそうだ。

上映の後にQ&Aがあった。短い時間ながらいろいろ話を聞くことが出来て良かった。某ファストフード店については無許可で撮影したそうで、そういうことが出来る香港てすげーと思った。