注目の若手監督の原点「少年たちの時代革命前夜」

香港映画祭2022」から。長編映画「窄路微塵」で高い評価を得た林森(ラム・サム)監督の、初期の映画が観たかったので鑑賞。

任侠(レックス・レン)監督の短編と合わせて上映された。彼ら2人が共同監督した映画「少年(少年たちの時代革命)」は、日本でも12月から順次公開されている。

任侠監督の短編映画は「螻蟻(虫けら)」「9032024」「夢遊」「一Pair囡(クイーンのワンペア)」「Goodbye HK cinema」の5作品。若手映画監督らしいトガったテーマと演出方法。「螻蟻(虫けら)」と「9032024」は、中国に対する世の中のイメージってこうだよなっていうのをそのまま表現している。「一Pair囡」は2人芝居だが、そのうちの1人麥顆森(サミー・マック)は、今回のポスターになるぐらい強い存在感を放っている。

林森監督の短編映画は「綠洲(オアシス)」と「志強的夏(夏のブルース)」の2作品。短編だけどちょっと長め。「綠洲(オアシス)」は、プロの俳優ではない人たちがそのまま登場しているようだ。最近この手法の映画が増えている。アカデミー賞を受賞した「ノマドランド」もそうだ。香港のかつての工業地帯観塘(クントン)に集まるアーティストたちの日常や夢を描いている。家賃の高い香港ではこういった倉庫を借りて住んでいる人がいるが、法律上は住宅ではないので違法になる。なので役所の人が見回りに来ると居留守を使うのだ。

「志強的夏(夏のブルース)」の自転車が盗まれるというモチーフは、今までもいろいろな映画で使われている。多国籍都市としての香港がよく分かる作品だ。

任侠監督はアートハウス系というかインディペンデント映画寄り。林森監督は商業映画としても成り立ちそうなつくりになっていて、観客としては分かりやすい。彼の最新作「窄路微塵」を金馬で観たが、日本でも是非公開して欲しい。来年3月のアジアン映画祭とか。Netflixでもいいんだけど。

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