東京フィルメックスで「瀑布(The Falls)」を観る

鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の新作。台湾では10月29日から一般公開。

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鍾孟宏ファミリー以外にもよく見かける面々がゲスト出演している。離婚した父親は李李仁(リー・リーレン)、母親の再就職先の上司は陳以文(チェン・イーウェン)、精神科医は許瑋甯(ティファニー・シュー)、消防士は劉冠廷(リウ・グァンティン)だ。

高校卒業まじかの娘が統合失調症の母親の面倒を見る内容だが、敢えて極端な展開は避けている。ドラマティックに話を盛ろうとすれば、母親をもっと怖ろしく描くことも出来ただろうし、言い寄ってくる上司も下心見え見えのゲス男にすることも出来たはずだ。しかし監督がここで描き出したいのは、未成年の娘と母親の立場が逆転した日常生活なのだ。2人の生活に寄り添うように物語は進んでいき、後半にはくすっと笑えるようなエピソードも盛り込まれている。そしてそのまま平穏な日々が続くのかと思いきや、最後に怒涛の展開が。これにはちょっと驚いた。結末が悲惨じゃなくて良かったが。

上映の後は監督とのQ&Aがリモートで行われた。相変わらず飄々とした冗談好きな監督である。

プロデューサーとしても含め、毎年何かしら映画制作に携わっている多忙な監督である。次回作は是非監督本人が日本に来てもらいたいものだ。

 

追記:Netflixで「瀑布」のタイトルのまま、2022年1月29日に配信予定。