只今大ヒット中!「我不是薬神(薬の神じゃない!)」を映画館で観る

監督はほぼ新人だが、プロデューサーが寧浩(ニン・ハオ)&徐峥(シュウ・チェン)で、二人の好みを色濃く反映した映画になっている。細部にまでこだわった見応えのある作品。

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7月5日からの公開ですでに6億元の興行成績を達成。

2002年の上海が舞台で、実際に起きた事件が元ネタになっている。インドの怪しいローションを販売している主人公は、お金欲しさに中国が認定していないインドの薬を違法輸入して国内で販売することになる。このあたりの巻き込まれ役は徐峥のお家芸。しかし次第に慢性骨髄性白血病患者の悲惨な実情を知るようになり、最後はその患者たちのために違法と知りながら薬を低価格で売り続けることを決心する。

もちろん詐欺で偽薬を売るのは良くない。しかしその裏には法外に高額な値段をつけて儲けている巨大製薬会社の暗い闇が暗示されている。

インドな音楽から映画が始まり、コメディー映画なのかと思ったが、次第にシリアスな展開に。特に患者の日常生活は当事者が見たならば他人事とは思えないはず。

役者はみんな芸達者。脇キャラも粒ぞろいだ。

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映画「大象席地而座(象は静かに座っている)」では影のあるヤクザを演じていた章宇(チャン・ユー)は、今回ほぼセリフがない金髪の若者を演じている。撮影当時既に30代半ばの彼が、20歳の役を違和感なく演じていて周囲を驚かせた。

主人公を追い詰める敏腕刑事役の周一圍は、「繍春刀(ブラザーフッド)」ではぷっくりした姿を見せていたが、今回は痩せて登場。

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これはこれで杜汶澤(チャップマン・トー)みたいで良かったんだけど。

一応公安の有能性も入れているし、2002年と昔の話なので当局的には問題が無かったのだろう。こういった犯罪が絡むテーマの作品は、公安を持ち上げて時代設定をちょい前にするのが定番になっている感がある。

とはいえ「えっ!」と絶句するニュースが年々少なくなっているのも事実だ。これが近代化ってことなのか?

 

追記:2022年3月Netflixで配信開始。