只今大ヒット中!「我不是薬神(薬の神じゃない!)」を映画館で観る

監督はほぼ新人だが、プロデューサーが寧浩(ニン・ハオ)&徐峥(シュウ・チェン)で、二人の好みを色濃く反映した映画になっている。細部にまでこだわった見応えのある作品。

f:id:mingmei2046:20180707234905j:plain

7月5日からの公開ですでに6億元の興行成績を達成。

2002年の上海が舞台で、実際に起きた事件が元ネタになっている。インドの怪しいローションを販売している主人公は、お金欲しさに中国が認定していないインドの薬を違法輸入して国内で販売することになる。このあたりの巻き込まれ役は徐峥のお家芸。しかし次第に慢性骨髄性白血病患者の悲惨な実情を知るようになり、最後はその患者たちのために違法と知りながら薬を低価格で売り続けることを決心する。

もちろん詐欺で偽薬を売るのは良くない。しかしその裏には法外に高額な値段をつけて儲けている巨大製薬会社の暗い闇が暗示されている。

インドな音楽から映画が始まり、コメディー映画なのかと思ったが、次第にシリアスな展開に。特に患者の日常生活は当事者が見たならば他人事とは思えないはず。

役者はみんな芸達者。脇キャラも粒ぞろいだ。

f:id:mingmei2046:20180708201151j:plain

映画「大象席地而座(象は静かに座っている)」では影のあるヤクザを演じていた章宇(チャン・ユー)は、今回ほぼセリフがない金髪の若者を演じている。撮影当時既に30代半ばの彼が、20歳の役を違和感なく演じていて周囲を驚かせた。

主人公を追い詰める敏腕刑事役の周一圍は、「繍春刀(ブラザーフッド)」ではぷっくりした姿を見せていたが、今回は痩せて登場。

f:id:mingmei2046:20180708203232j:plain

これはこれで杜汶澤(チャップマン・トー)みたいで良かったんだけど。

一応公安の有能性も入れているし、2002年と昔の話なので当局的には問題が無かったのだろう。こういった犯罪が絡むテーマの作品は、公安を持ち上げて時代設定をちょい前にするのが定番になっている感がある。

とはいえ「えっ!」と絶句するニュースが年々少なくなっているのも事実だ。これが近代化ってことなのか?

 

追記:2022年3月Netflixで配信開始。

イーサン主演ドラマ「扶揺(扶揺(フーヤオ)~伝説の皇后~)」6月18日から放送開始

楊冪(ヤン・ミー)×阮經天 (イーサン・ルアン)のファンタジー時代劇。

f:id:mingmei2046:20180626205216j:plain f:id:mingmei2046:20180626220649j:plain

あらすじは割愛してもいいぐらいのいつものかんじ。とりあえずネットでイーサンのところだけ飛ばしながら見ている(騰訊(テンセント)視頻では「楊冪だけ」とか「阮經天だけ」を選択して見ることが出来る)。これぐらい目新しいものが一切ないドラマも昨今めずらしい。

最近のドラマの傾向としては男子がやたら脱ぐ。お風呂に入る。水浴びする。ケガして介抱するためにと、とにかく脱ぐ(上半身だけだけど)。女子に対するサービスだと思うが、おそらくいやらしくは撮れないのだろう、残念ながら色気はまったく無い。

もうひとつは女優のメイクが薄くなった。ちょっと前まではつけまつげ+くっきりアイラインでバチバチに決めていたのに、楊冪は「三生三世十里桃花」に続いてあっさりめ。濃い人は濃いままだけどw

イーサンの役もこういったドラマにありがちな「ワケありオラオラ」系。今回は策略でおバカ王子に成りすましているので、多少の変化は楽しめる。でももったいない。もっと複雑な役も出来るのに。笑顔は相変わらずかわいいっす。

 

追記:日本ではBS12で2020年1月23日から放送開始。その他にLaLaTVでも放送している。

台北で「犬ヶ島」を観る

グランド・ブダペスト・ホテル」が好きな人はこの映画も好きだと思う。

f:id:mingmei2046:20180625200355j:plain

日本でも上映していたが、台湾の方が映画料金が安いので台北で見た。日本語のセリフなのに中国語の字幕がないことが多かったが、それは台湾だから?大陸でも愛奇藝の会員はネットで見られたりする。

個人的にディズ〇ーやピ〇サーのCGアニメは大の苦手だが、「ひつじのショーン」や「チェブラーシカ」は大好きだったりする。この映画は後者のストップモーションアニメだ。

セットが細部までしっかり作られている。きれい。セリフ回しもキマッている。キャラもそれぞれ個性的。この不思議な世界観にすっかりハマってしまった。

あまりにも内容に夢中になって、オノヨーコがどの辺りで参加していたのかまったく気付かなかった。他に結構有名な人もいたのだが。

とりあえず女性にお勧めしたい「娼年」

小雨が降る新宿の夜に観るにはうってつけの映画。お客はほぼ女性のみだった。

f:id:mingmei2046:20180627134353j:plain

男性向けのAVを見ると興奮するより白けることが多い。セックスをテーマにした映画はやはり興味があるので結構観ているが、これは!という映画にはまだ出会えていない。

女性の欲望を顕在化した映画だと思って観たが、やっぱりこの映画もファンタジーだ。「この世のどこかには最高のセックスがあって、そのセックスさえあれば自分の全てが満たされるはずだ!」というのは都市伝説の類に近いだろう。

生々しいセックスをそのまま見せられても男性向けのAVと同じでうへえとなってしまうが、美男美女しか登場しないキレイなセックスというのもどうなんだろう?ここに登場する普通の女性にしてもどこまで本当のことを話しているのか。放尿に快感を覚える女性があの時スカトロまでいってしまったら?セックスレスの主婦だって実は単なるニンフォマニアなのかもしれない。人間の欲望は底なし沼なのに、そこに自ら進んでずぶずぶと入っていく主人公がちょっと怖い。

それでも予想以上のフルコースが楽しめたので、お得感はある。使用されるホテルもクラシックな内装で、特にバラ模様のシーツは画面に映えていいなと思った。

但しクライマックスであるはずの3人のセックスがダメダメだ。あそこは静香も自らの手でエクスタシーに達しないと。俯瞰するとかなり間抜けだが。でもセックスする姿ってそもそも間抜けだし。

今まで観た中で良かったと思うセックスをテーマにした映画といえば、「愛人/ラマン」「ラストタンゴ・イン・パリ」「色戒(ラスト、コーション)」「愛神(愛の神、エロス)」の中の「若き仕立て屋の恋」とか。世間の評価は低いが「ナインハーフ」もかなり好き。

でもどれも不幸な結末で終わってしまう。やはり少し背徳感のある方が盛り上がるからかな?

「万引き家族」を観る

1週間ほど日本に滞在した。今年一番の話題作だろう。

f:id:mingmei2046:20180627152439j:plain

世の中にある問題の半分ぐらいはお金で解決出来ると思っている。しかし十分なお金を稼ぐことは簡単なことではない。そのために世の中の大抵の人は四苦八苦している。

そこを万引きという非法な手段でサクッと解決して家族の絆うんぬんを語るのはずるいだろう。この映画に登場するのはどれも普通の方法では家族を作れない何かが欠けた人たちばかりだ。

俳優は芸達者な曲者ぞろい。やっぱり樹木希林はすごい。リリーフランキーはちょっと五郎さん(by北の国から)が入っているwでも車上荒らしをする時の表情は真性の悪人だ。塚本晋也監督映画「野火」で演じた狂気の兵士を思い出した。

是枝監督の作品はほぼ観ている。ちょっと普通じゃない人の普通の生活を撮るのがうまい。「家族」がテーマの作品が多いが、今回は寄せ集めの疑似家族のお話だ。

しかし子供たちは学校に行っていないし、服はサイズが合っていなくてダボダボ。そういった面倒で基本的な問題はスルーして、でも愛情は血の繋がった家族よりありますから!って言われてもなあと思う。みんなそんな煩雑で面倒な問題(学校に行かせて清潔な服を着させて栄養のある食事を与えて大きくなったら個室も与えて等々永遠と続く)を一つ一つクリアしつつ家族を維持しているのだ。なのに上澄みの美味しいところだけ味わおうなんて調子が良すぎる。

そんな観ながらもやもやしてしまう映画だった。

遂に完結?「東方華爾街(THE TRADING FLOOR)」

日本では同時に見られないのが不思議なこのドラマも昨日で終了。

前にブログに書いたら1日で1000回以上アクセスがあり、あわあわしてしまったが次の日には速攻平常に戻った。この辺りに華流が韓流に追いつけない理由があるんだろうなあ。

ドラマは過去と現在を行き来しているが、最終回の日付は遂に「2018年明日」。

最終話で全てのモヤモヤが晴れる気持ちのいい終わり方だった。しかし「実はここまでは単なる序章に過ぎず、本題はここから!」という、続編を作っても作らなくてもいいかんじで締めている。個人的にはもったいないと思いつつ、これで終わってもいいと思っている。一番嫌なのが、別の制作会社で名前だけ借りたクオリティの低い続編が作られること。ありがちな話なだけに。

このドラマは小物の使い方が実にうまい。CASHのオフィスにある牛と熊の双頭の彫刻はそのまま韋航(張孝全)と教授(呉鎮宇)の関係を表している。そしてギリシア神話のシーシュポス。

f:id:mingmei2046:20180615200857j:plain

教授はことのほかこの話が好きで、自分のオフィスにもシーシュポスの彫刻を飾っている。

f:id:mingmei2046:20180615191138j:plain

そしてモノポリーも重要な小道具として何度が登場する。教授が韋航に勝った後のセリフは深い。

このドラマは思いっきり物が少ない。画面に対する人物の割合もとても小さい。

f:id:mingmei2046:20180615201820j:plain

そうなると見ている方もドラマ全体を客観的に俯瞰して見るようになる。それでもダレることがないのがすごい。

しかし、メインキャストの中に一人大根女優が混じっていて、その娘メインの時は流石に頭を抱えてしまった。張孝全や余男とのカラミもあるが、この2人をもってしてもフォロー出来ないくらいの大根って・・・。

この作品によってネットドラマの地位も上がるかもしれない。そして今後はネットドラマなんだから世界同時配信して欲しい!!

陳坤(チェンクン)主演ドラマ「脱身」も始まったよ

6月11日から地上波では東方衛視と北京衛視で、ネットと同時に放送が開始された。

f:id:mingmei2046:20180614141507j:plain

宣伝用のポスターは手を抜き過ぎ。

1949年の上海が舞台。国民党と革命派地下組織の戦いのお話。全部で47話。陳坤さんは1人2役で、まるでグリコのように1粒で2度おいしい設定になっている。

初回は手の込んだCGの上海の俯瞰図から始まり、廖凡(リャオ・ファン)や王景春も登場してなかなか豪華。でもこの2人はすぐ死んでしまう。もったいない。

陳坤さんの相手役は万茜(ワンシー)。もうずっと大陸ドラマに出ずっぱりだ。

さて陳坤さんは監獄帰りということで最初はずっと小汚い恰好のままだ。小汚い役を小汚いまま演じれるようになったんだね。もちろん後からキメキメの陳坤さんも登場するはず。

民国時代の国民党VS革命派のお話はもう手垢が付きすぎて、ストーリーについては何も期待していない。ただ最近の若い人たちの間に、陳坤さんがいかにカッコいいかもっと広まればいいなと思う。

f:id:mingmei2046:20180614143802j:plain

普段の姿でもうこの神々しさ。