「万引き家族」を観る

1週間ほど日本に滞在した。今年一番の話題作だろう。

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世の中にある問題の半分ぐらいはお金で解決出来ると思っている。しかし十分なお金を稼ぐことは簡単なことではない。そのために世の中の大抵の人は四苦八苦している。

そこを万引きという非法な手段でサクッと解決して家族の絆うんぬんを語るのはずるいだろう。この映画に登場するのはどれも普通の方法では家族を作れない何かが欠けた人たちばかりだ。

俳優は芸達者な曲者ぞろい。やっぱり樹木希林はすごい。リリーフランキーはちょっと五郎さん(by北の国から)が入っているwでも車上荒らしをする時の表情は真性の悪人だ。塚本晋也監督映画「野火」で演じた狂気の兵士を思い出した。

是枝監督の作品はほぼ観ている。ちょっと普通じゃない人の普通の生活を撮るのがうまい。「家族」がテーマの作品が多いが、今回は寄せ集めの疑似家族のお話だ。

しかし子供たちは学校に行っていないし、服はサイズが合っていなくてダボダボ。そういった面倒で基本的な問題はスルーして、でも愛情は血の繋がった家族よりありますから!って言われてもなあと思う。みんなそんな煩雑で面倒な問題(学校に行かせて清潔な服を着させて栄養のある食事を与えて大きくなったら個室も与えて等々永遠と続く)を一つ一つクリアしつつ家族を維持しているのだ。なのに上澄みの美味しいところだけ味わおうなんて調子が良すぎる。

そんな観ながらもやもやしてしまう映画だった。