お正月はどこにも行けないので、図書館で本を借りて家に籠ることにした。大阪維新の会が税金の無駄遣いの一つに挙げた市立中央図書館には、アジア系の作家の翻訳本が結構揃えられている。難を言えば、外国人の本をざっくりまとめて、あいうえお順に並べているので探しづらいことこの上ない。
その中でも今台湾で話題の「歩道橋の魔術師」と、同じ作家の「自転車泥棒」を読んでみる。
「自転車泥棒」は子供の頃に失踪した父の自転車を探すことを発端にして、台湾の歴史を紐解くような構成になっている。それはアジアでの日本軍自転車部隊の話にも繋がっていて、緻密な構成力がすごい。
読みやすいのは「歩道橋の魔術師」のほう。子供の目線で書かれた短編の連作なので、通勤時間を利用して途切れ途切れに読んでも大丈夫。
どちらもかつてあった「中華商場」が登場する。呉明益の家も中華商場にあった。
1961年から1992年まであった台北の巨大なショッピングモールである。上から見るとその巨大さが分かる。
だいたい北門から小南門までの距離に8棟あり、歩道橋でそれぞれ繋がっている。この時代に私も行ってみたかったなあ。
そんな台北人のノスタルジーを掻き立てる中華商場を忠実に再現して、今年2月公視でドラマが放送される。
監督は楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)。去年から話題になっていて、私も是非見たいが、台湾にいつ行けるようになるのか分からない今、原作から先に読んでみた。
それで原作を読んで更にドラマを見たくなった。これはもうNetflixにお願いするしかないだろう。