一筋縄ではいかない映画「夕霧花園」

ぎりぎりまで中止になるのではないかと危惧していた大阪アジアン映画祭は、作品の上映のみという形をとって何とか始まった。舞台挨拶はなくなったが、林書宇(トム・リン)監督のビデオレターはあった。ビデオレターの中で監督もおっしゃていたが、今年の冬に日本公開も決まっているらしい。でも内容が内容だけに公開規模は小さそう。

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製作はマレーシアの大手制作会社とHBOアジア。監督は台湾人。撮影はインド人。マレーシアの奥地で日本庭園を造り続ける日本人の庭師と、日本軍の強制収容所で悲惨な経験をした中華系マレーシア人との愛と憎しみが交じり合う複雑な関係を描いた作品。

実際にマレーシアの山間部で日本家屋と庭園を造ったが、この建て込みに約2か月費やしている。美術は映画「星空」の蔡珮玲(ツァイ・ペイリン)で、この作品のために膨大な資料を読み込み、日本人彫師も撮影場所に呼んで入墨について指南してもらっている。

ここは終戦後も政情が不安定な時期において、一種の異空間というか非日常の世界なのでとても重要だ。この日本家屋が実に自然。熱帯雨林に建てられたマレーシア仕様の純日本家屋だ。

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荒れ地に一から作りこんでいく。

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開口部が多いのは熱帯仕様とか?

時間軸として戦中、終戦直後、80年代と続いていくが、張艾嘉(シルヴィア・チャン)のパートが思ったよりも多かった。主演は李心潔(リー・シンジエ)なのに食われちゃったかんじ。シルヴィア恐るべし。