台湾ドラマ「你的孩子不是你的孩子(子供はあなたの所有物じゃない)」をNetflixで見る

台湾版「ブラックミラー」と言われるのも納得出来る、良質な作品。

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全5話のオムニバス。おのおのまったく関連性が無いと思いきや最後のお話で子供たちが全員集合する。台湾は短編も含め社会派ドラマが結構多い。ここでも親の子供に対する行き過ぎた干渉を警告している。5話とも強烈な教育ママが登場するが、子供に対する無償の愛の裏で大きなエゴが見え隠れしている。「一生あなたのそばにいられるのはママだけなのよ。」なんてセリフに背すじがマジで凍った。

主人公を含め若手の俳優がみな素晴らしい。

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それぞれかなり難役なはずなのにしっかり受け止めている。台湾の未来は明るいぞ!

第1話には呉慷仁(ウー・カンレン)もちょこっと登場。

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いかにも悪そうな役。

それぞれ脚本も見事だし、予算も多そうで近未来の設定でもそれなりに見られる。

好みは分かれると思うが、物語として個人的に好きなのは「茉莉的最後一天(モリ―の最後の日)」だろうか。万引きした髪飾りを母親にプレゼントしてその髪にさした姿を見つめるってすごい心境だなと思う。

ロケ地で良かったのは「必須過動(ADHDは必要)」。最後不意打ちで呉建豪(ヴァネス・ウー)が登場するが、案外馴染んでいる。

ちょこちょこ字幕の間違いがあった。第1話で、親友同士将来何をしたいか話す時、「自転車で台湾一周」が「大陸に行く」になっていた。中学生が夢を語るのに大陸に行きたいわけがない。もう一つ。大人になった後、無理矢理見合いをセッティングされた時の英語での会話に日本語の字幕が抜けている。簡体字の字幕はある。「彼女はラッキーだったね」「ううん、私がラッキーだったの」という意味。いいシーンなのになあ。

「S風爆(Sの嵐)」「L風爆」をネットで見る

香港で只今ヒット中の「P風爆」の前作を見たくなった。「Z風爆(Zの嵐)」は広東語版普通語版ともに愛奇藝(アイチーイー)が版権を握っていて大陸版愛奇藝を開いても日本では見られない。Netflixでは今のところ「Z」と「S」のみ視聴可能。

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「S」はサッカーから、「L」は廉政公署(ICAC)の内部規律捜査組であるL組からとっている。

ストーリーは易しく、アクションは激しくというのがこのシリーズのモットーだ。汚職マネーロンダリングのやり方も最初にちゃんと説明が入る。

「S風爆」ではクールな殺し屋として仔仔(周渝民/ヴィック・チョウ)が出演している。しかしその他の俳優は使い回しのため、死んでも次のシリーズで別人として生き返る。そこが惜しい。

この前作でもちょこちょこ大陸の公安が登場するが、あくまでも香港がメイン。狭い街の中を駆け巡るカーチェイスシーンはやはり香港の得意とするところ。銃撃戦もこれでもかとバンバン撃ちまくる。

「Z風爆」公開時はアンディさん主演映画「風爆(ファイヤー・ストーム)」の半年後の公開ということもあり、「タイトルかぶってるやん」と思いまったくのノーマークだった。しかしこうして見続けていくと、次第にその世界観が体に馴染んて行く。見続ける人の気持ちがよく分かる。

シリーズだけど、バラバラに見てもOK。

「飛馳人生(ペガサス 飛馳人生)」をネットで見る

「時代劇制限令」のあおりを私も少しばかりくらってしまい、しばらく日本に滞在することになった。とりあえずNetflixに入ろうかな。

今年の旧正月に大陸で上映され、3月の「中国映画祭 電影2019」でも上映されていた。そして5月3日から日本でも一般公開。全部最初から仕組まれていたかのような極速ぶり。ジャッキーチェンの映画より早いのでは。

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一番の目玉はバインブルク草原のラリーの場面だと思うが、その前の資金集めに走り回るシーンに時間がかかりすぎてそれほど多くない。それでも標高4000メートルの道とは言えないような悪路を走るシーンは迫力満点。ここは大きな画面と音響で是非見るべきだろう。

ラリー以外のことを詰め込み過ぎて消化不良気味。ラリー出場禁止になった理由も「え?」だし、息子と実は血縁関係がないことも特に本筋には影響していない。うさんくさいお金持ちにスポンサーになるように説得するシーンも何だかなだ。そして一番不可解なのはラストシーン。全然分からない。

主人公のライバル役にネットドラマ「上癮(Addicted)」の黄景瑜(ホアン・ ジンユー) が登場。良かった、干されていないらしい。

結局、監督の韓寒は車のシーンが一番好きなのだ。だったらそれメインで撮ればいいじゃないかと思う。しかしそれだと今回のようなメガヒットにはならないだろう。その辺のオトナの計算が動いているイヤらしさが映画にも滲み出ている。

日本で一般公開するのも、実績が欲しいだけだったりして。映画館で観たい人は早めに。

呉慷仁(ウー・カンレン)主演台湾映画「狂徒」をネットで見る

たまたまネットで拾ったので見てみた。2018年釜山国際映画祭でも上映。

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監督はこれが長編デビューの洪子烜(ホン・ズーシュアン)。28歳でこの作品を撮った。若いのでいろいろ足りない部分はある。しかし経験を積めば、今後台湾アクション映画史に残るような映画を撮るかもしれない。

プロバスケ選手が銀行強盗に出会い巻き込まれていくお話。それぞれのキャラが立っている。何をやってもツイていない熱い性格だけで突っ走る主人公もおもしろかったし、悪い奴は言い訳無しで最後まで悪かったのも良かった。

美術セットの作りこみがすごい。

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ヤクザのアジト。

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ヤクザの親分が経営する食堂。

それほど予算は無いはずなのに、この部分は力の入れ方が違う。どちらも大乱闘の末にボッコボコに壊れまくり。

小型カメラが多数使われていたが、使い方はまだまだ。あれはバラエティ番組で芸人のリアクションを撮るのには有効だが、アクションの臨場感を出すにはもう少し工夫がいる。

あらすじも共犯者が分かるところのどんでん返しは良かったが、意味付けが弱いので見る側が想像するしかない。で、なんで銀行強盗しなくてはいけないんだっけ?

ありえない男同志の友情もかすった程度でもったいない。

次回はもっと男臭い映画にしてほしい。次回作に期待。

Z→S→Lときて、P風爆

香港滞在ラストの1本。シリーズ4作目。PはprisonのP。

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今回は予算多めなのか、街のあちこちでポスターを見かけた。

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廉政公署(ICAC)が監獄に潜入して汚職の決定的証拠を探すお話。最近、廉政公署を舞台にした映画が多い。そこに鉄板の監獄ネタを足して補強している。

前作を見ていない人でも十分楽しめる内容になっている。隠れた伏線とか難解な人間関係とかは一切なし。監獄内での乱闘があり、ババババって撃ち合って、くるくる回るヘリコプターの中での格闘もあって、最後に悪い奴は全員捕まってすっきりめでたしめでたしだ。

映画「29+1(29歳問題)」の周秀娜(クリッシー・チャウ)とbabyjohn蔡瀚億も出演しているが、全然役に成りきってなくてベテランの中で浮きまくっていた。「あれ?こんなに下手だったっけ?」ていうぐらい動きがぎこちない。残念。

今回は公安も登場して、いつ大陸に舞台を移してもいい状態で終わっている。このシリーズは大陸でもヒットしているので、十分考えられる。

次は「“G”風爆」になるそうな。どこまで続くんだろう?

香港の建物探訪その4:九龍城&土瓜湾編

香港映画のロケ地と言えばこの2か所は外せない。地下鉄が延長された後にはまた大きく変わることが予想される。

九龍城某アパート:「一念無明(誰がための日々)」屋上シーン

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既に新しい建物が建設中。後ろのビルが目印。

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地下鉄の入り口は既に完成。周りのシャッター商店街化がすごいことになっている。夜になればもう少しにぎやかになるかもしれない。

土瓜湾益豊大廈:「順流逆流(2000年)」「トランスフォーマー4」

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4つの建物がEの形に並んでいる。真ん中のビルの表示が香港らしい。

周囲にはいい感じの茶餐廳がまだ残っていた。しかし閉店に追い込まれるお店も多数。映画「非分熟女」のお店もこの辺りにある。「金雀冰室」という名前。お店の前まで行ったが中まで入らなかった。

香港の街は香港の人が創っている。しかし土地の高騰は大陸の成金たちの買い占めが原因だ。誰も借りられない買えなくなるぐらい地価が吊り上がってしまい、今街頭でチラシを配りながらセールスしているのは保険会社。大陸より手厚い保険サービスが売りだ。街中でも保険の広告がやたら増えた。

それで集められたお金で保険会社は投資をする。大金が手の届かないところでグルグルまわって一般庶民はひいひい言っている。

そんな大陸成金もいつまでもウハウハでいられるかというとそれは怪しい。下火になるまで待つしかないのか。

香港の建物探訪その3:イノベーション編

香港でも歴史的な建築物をうまく利用して、商業施設に生まれ変わらせている。

大館:元警察署&監獄。2018年オープン。

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年に何度か抽選制で一般公開はされていた。その人気ぶりから商業施設にしてもイケると踏んだに違いない。今でも一部工事中で今後もっと整備される。今年の香港国際電影節で映画「撞死了一隻羊」を観たのもこの中でだ。監獄体験も出来る。

PMQ元創方:元既婚者用警察宿舎。2014年オープン。

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2011年の写真と2015年の写真。映画「三更之回家(Three Going Home)」のロケ地。当時立入禁止だったが、何かのイベント時に中に入ることが出来た。写真をたくさん撮りまくったのを覚えている。

林邊生物多様性自然教育中心:元太古砂糖会社社宅。2012年オープン。

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鯉魚門からひたすら山道を登っていくと辿り着く。映画「92黒薔薇對黒薔薇」や「愛君如夢(ダンス・オブ・ドリーム)」のロケ地。今は自然保護のパネルでいっぱいだが、「ここでアンディさんがレスリーの歌真似していたよなあ」という面影は残っている。写真は2015年。

1881Heritage:水上警察本部。2009年オープン。

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出来た当初は「なんてバブリーな」と思ったし、実際ゴージャスなお店ばかりで自分には用無し。写真は2013年。何で撮ったんだろう?

一番新しいのはこれだろうか。 

南豊紗廠The Mills:元製糸工場。2018年12月オープン。

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荃湾(ツェンワン)にあるアートスポット。但し出来立てなので中はまだガラガラ。やたらオサレカフェが多かった。これから流行るかな?

希望としてはかつての大富豪の邸宅とか一般公開して欲しい。昔、ツアーで香港に行くと必ずついていたタイガーバームガーデンは今も閉鎖中だ。太っ腹で気のいい大金持ちはいないだろうか。