王道を行く冒険映画「侠盗連盟」を観る

今年CMの撮影中に落馬し重体を負ったアンディさん(劉徳華)の主演映画。今年いっぱいは治療にかかるため、この作品以降しばらくは新作が見られないだろうと思ったので観た。「拆弾専家」もそう言いながら観てその後にこの映画のことを知ったのだが、多分これでホントにないと思う。

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監督は馮徳倫(スティーヴン・フォン)どんどん作品のスケールが大きくなって、今回はフランス、チェコウクライナをまたにかけた作品になっている。

愛する恋人のために足を洗おうと最期の仕事をするが、裏切りに遭い5年間監獄に入れられる。出所して誰が裏切り者なのか突き止めようと、新しい仲間を集め重要な鍵を握る宝石を盗む計画を立てる。

軽快なテンポで映画は始まり、以前のようなマンガっぽい演出はなくなっている。どんでん返しも「やっぱりそう来たか」的な変にひねったりしない展開で、良く出来た冒険映画だと思う。

大陸上映なので北京語での上映だが、出演が舒淇スー・チー)、楊祐寧(トニー・ヤン)、張静初の中台香混合だし舞台も海外なので特に問題はない。

はみ出し刑事役のジャンレノもいい役だった。

しかし平均年齢高すぎ。一番若い楊祐寧でも1982年生まれ。長年のキャリアがあるので安心して見ていられるが、やはりアンディさんの若作り(充分若いんだけど)を見ると誰か他にいないのかいと思ってしまう。

そういえば香港映画は一番盛り上がるシーンによく崖が登場する。まるで「火サス」あるあるみたいだ。この映画でもアンディさん達が崖に追い込まれて、黒幕が「わっはっは」と登場する。

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お前だったのか!  でも大体誰か、割と早めに予想はつく。

今年の夏は「狼戦2」に全部話題をかっさわれてしまい、他の映画は何となく影が薄い。

この映画も保険かけすぎて新鮮味や話題性がないと言えなくもない。それでも丁寧に作られた誰が見ても楽しめるいい映画だと思う。

「平凡之路」のPVがかなりグッと来た

普段は音楽はあまり聴かず、カラオケにも誘われたら行くだけで1年に1,2回とか。それでいきなりテレサテンの歌をリクエストされて日本語で歌ったりとかする。

中華圏でのカラオケはおとなしく順番通りに歌ったりしない。割り込みだらけだし1人で連続歌うのもあり。歌えない歌をリクエストして自分で途中で切るのもありだ。おとなしく順番なんか待っていると永遠に自分の番なんて回ってこない。

定番は筷子兄弟とか。若い子は大抵イマドキのロックとか歌うけど、ちょっと田舎出身の30代の男性が民謡みたいな歌を急に歌いだしたりする。そのあたりに大陸の文化の断層を垣間見たりする。

バックに流れる画面はいろいろ選択肢があり、大抵ライブ演奏を選んで歌手に成り切りながら歌える。

そこで誰かが「平凡之路」をリクエストした。画面には一台の車だけ。ただひたすら走る画面が続く。でも全然飽きない。

大陸以外の人はこちらから。開かなかったら「平凡之路」でググって。

www.youtube.com/watch?v=x90bdj7_Dgg

大陸の人はこちらから

http://www.iqiyi.com/w_19rs93kkit.html

実は中国映画「後會無期」の主題歌だった。なので最後に陳柏霖(チェン・ボーリン)と馮紹峰(ウィリアム・フォン)の後ろ姿が映る。ということはPVの監督も韓寒なのだろう。映画よりもいい出来だ。

 「後會無期」は韓寒の処女作品。ロードムービーで、中国大陸を東から西に横断する話だ。やたら空撮が多かったが、PVにも使っていたのか。

歌詞の内容は「自分も今までいろんなことがあったし、何もかもダメにしたこともあったけど、今は落ち着いて平凡な日々を送っている。もしも君も今そういう状態なら、大丈夫、きっと乗り越えられるよ」という意味。自分に対して言い聞かせながら、相手に対して励ましてもいる。その「いろんなこと」を表す形容詞がとてもしょっぱい。

何があっても人生は進んでいくしかないのだ。

 

こんな家に住みたい香港映画「幸運是我」(2016)

香港が日本を抜いて長寿世界一になったのも記憶に新しいが、それぐらい香港も高齢化社会になっている。老人をテーマにした映画も、「女人、四十。(1995)」「桃姐(タオさんの幸せ(2011)」「一念無明(2017)」など名作が多い。

この作品も去年公開され、とても評判が良かった。これを有料サイト「愛奇藝」で視聴。

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 母親を病気で失った旭仔は、今は香港で再婚している父親を探しに広州から香港に向かった。しかし心がすさんでいるので仕事も住む場所も失ってしまう。半ば強引に、街で出会った芳おばさんの家に押しかけ下宿することに。最初は自分勝手な行動ばかりとるが、次第に新しい生活にも慣れ、家族のいない芳おばさんの面倒を見るようになる。

この芳おばさんのおうちがかなり好きだ。

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玄関から入ったところ。タイル使いとリビング入口のアールがかった壁がにくい。

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キッチン入口。壁にかかった鏡が演出に広がりを持たせている。

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リビングからベランダ向け。レトロな壁紙や腰壁がいい味出している。

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小物もレトロで素敵。

ロケ地は上環、深水埗など。「これぞ香港」という場所ばかり。

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認知症の症状が出始めた芳おばさんが迷子になる柯士甸(オースティン)駅の近く。この辺は普通の人でも迷う場所。

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屋上。香港っぽい。

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上環の坂道。

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この場所もよくいろいろな映画に登場する。

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映画の本筋には関係ないが一番のお気に入りショット。

音楽は波多野裕介。金像奨を受賞したこともある香港在住の日本人だ。エンディングテーマも本人が熱唱している。

サブキャラもそれぞれしっかりしている。一緒に働くちょっとお調子者の阿甘とお堅い所長の恋の行方とか、若い女性ホームレスの悲しい結末とか。

その後旭仔は最期まで芳おばさんの面倒を看ることを決心する。一種の疑似家族だが、今後こういった血の繋がらない家族は日本でも増えていくと思う。というか何故そこまで血の繋がりにこだわるのか不思議。肉親だって裏切るし、疎遠になることもあるだろうに。

吳慷仁(ウーカンレン)出血大サービス台湾ドラマ「戀愛沙塵暴」

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北村豊晴監督の全7話(1話は約90分)台湾ドラマ。放送は2016年8月。北村監督らしい下ネタは中二、いや小学生レベルかもw。ホームドラマで、ラブコメ。でもちょっぴりウルっと来る。

両親役は台湾ドラマではほぼレギュラー化している超ベテラン俳優だ。若手はほぼみんな新人。メイキングを見ると、吳慷仁が現場のムードメーカーになって新人にも演技指導していた。

演出の手法がちょっと日本ドラマっぽい。細かいカット割り(一言しかないセリフの説明にも画が入る)とか、妄想シーンにも力が入っているところとか。

脚本は「我在墾丁*天氣晴(墾丁は今日も晴れ)」の女性コンビ。かなりわちゃわちゃした話の展開だが、足元はしっかり地についている。

ここでもやっぱり注目すべきは吳慷仁だろう。

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こんなサービスシーンがいっぱい。ほかにも睡眠薬入りの水を飲んで倒れながら助けを求める、王子っぷりが見事なダンスを踊る、ゴミ廃棄場で超モードな服を着てキメまくる、裸(モザイク入り)で部屋をうろうろする、スタンガンで倒れる、死人のフリをする等々。これらを一切の手抜きなしで大真面目に演じている。

去年あたりからぐっと出演作品が増えている吳慷仁。しかしオファーが来たらそのまま受けているっぽい。今年放送した台湾ドラマ「極品絶配」は、テーマも設定もありきたりで、1話だけ見たがそれだけでその後の展開が読めてしまうような内容だった。

そろそろ映画で、吳慷仁の姿が見てみたい。

名曲からドラマ「滚石愛情故事」

滚石唱片(ロックレコード)が製作した20集のオムニバス台湾ドラマ。10人の脚本家と15人の監督、20人の俳優によって1話完結で作られている。放送は2016年の3月なので最近だ。

第1話目は呉慷仁(ウー・カンレン)& 楊丞琳(レイニー・ヤン)が主役。第1話だけ無料視聴出来てラッキー。

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雲林県から上京してきた堅実な女の子と、ときめく恋を探す男の物語。

作品ごとに大変身する呉慷仁がすごい。実際はすごく男前なのに、このドラマではしっかりイケてない男になっているw着こなしもダサいが告白の仕方もちょっと引く。でもそのダサさが可愛いからいいのだ。

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呉慷仁の眼鏡男子姿。目の保養になるなあ。

「ときめく恋こそ本当の恋」と思いこんで一目ぼれの相手を探していたが、いつのまにかそばにいてホッと安心できる女の子に恋してましたというストーリーが素敵。

大陸に比べて映画やドラマの資金繰りが厳しい台湾は、映画やドラマでこういったオムニバスや短編が多い。短い分ネタ勝負みたいなところがあるので、脚本家はかなり鍛えられるんじゃないだろうか。

2話以降は有料なのでまだ見ていない。呉慷仁を観たのでそれでいいかな。

1まだ見ていないんですけど「戦狼(ウルフ・オブ・ウォー)2」

自分だけならほぼ100%観ることはないのが、アクション映画と戦争映画。これもおごりなので映画館で観た。

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1の続編。そして3もありそうな終わり方。

アクションシーンが超すばらしい。アクションは振り付けもそうだが、カメラワークもとても大事だ。手を変え品を変えていろいろな角度で楽しませてくれた。特にドローンと、俳優の身体に装着した小型カメラからの映像がとても生々しくていい。

中国万歳人民解放軍万歳なプロパガンダ映画だし、ストーリーもご都合主義なので、特に気に留める必要は無し。

最初の海でのありえねーw長回しアクションシーンでつかみはOK!その後も登場する銃器の種類は豊富だし、最後はタンク同志でカーチェイスまでやらかしている。

脇を固める俳優も人気者だ。

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余男。恋人で上官役。もう死んでいるので「1」からの借用。

 

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強面の石兆琪は上官役。

 

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ドラマ「人民的名義」でもブームを巻き起こした呉鋼。元老兵役で体を張ってアクションに挑んでいる。

 

「戦狼1」には「ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊 」という長い邦題がついているということは、DVD販売しているのかな?案の定評価は真っ二つで、それはアクションを重視するか、ストーリーを重視するかという違いから生じる問題だ。

アクション以外はほんとダメダメ。甘ったるい恋人とのノロケとかホントいらない。逆に敵の超マッチョなカップルの馴れ初めの方が気になる。

アクションだけ観ればいい。アクションシーンはいいぞ。

 

追記:その後ますますヒットし、ついに45億元を突破した。

headlines.yahoo.co.jp

夏休み中というのもヒットの要因だろう。確かに暑い日に映画館で涼みながら何も考えずにスカッと出来る映画だ。

肝心なのはこれ。

  • ストーリーのユルさは気にしない。
  • プロパガンダ的な要素にいちいち反応しない。
  • 主人公が不死身なのはお約束

これでおもいきり楽しもう。

「そうして私たちはプールに金魚を」がいろいろすごい

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今年の香港国際電影節でも早々と完売してしまった短編映画。これほど注目度の高い映画なのに、日本映画界からは冷たい扱いを受けているらしいw

個人的にものすごく好きな映画。ロックでパンクな青春映画だ。タイトルのロゴからして好き。日本国内での上映は無理そうと分かってちゃっちゃと海外配信決めたのもいい(ユーロスペースのみ公開)。

基本、映画は映画館で観る派だが、いかんせんどうしようも無い場合があるわけで。そういう時にネット配信はとても助かる。

今年のカンヌ映画祭でも「ネット配信した作品は映画か否か」論争が起きたが、要は作品の質でしょ。いっそのこと「ネット配信作品映画祭」を開催して地球規模の投票でグランプリを決めればいい。

いい作品を増やして、それを多くの人に観てもらうことの方が大事。