女同士のバチバチの戦い「惡女(悪女)」

台湾では10月27日から一般公開。

監督は長編アニメ映画「幸福路上(幸福路のチー)2017」が好評だった宋欣颖(ソン・シンイン)。主演は林美秀(リン・メイシユウ)と邵雨薇(シャオ・ユーウェイ)。林美秀は誰もが知っているベテラン女優。邵雨薇は、そのキャリアより吳慷仁(ウー・カンレン)の彼女としてのほうが有名だろう。今回邵雨薇は大胆なベッドシーンや自慰シーンにも挑戦。吳慷仁と付き合うと、単なるアイドル女優のままではいられないのかもしれない。

元ネタは明らかに平成の毒婦木嶋佳苗。当時彼女は世間の一般常識だった「女の幸せ」像を覆して女性たちを混乱に陥れた。彼女は「結局男を虜にするには食欲と性欲を満足させておだてれば良く、キャリアも容姿もファッションセンスもまったく必要が無い」という身も蓋も無い現実を世に知らしめた。

邵雨薇演じる黃立美は有名なニュースキャスター。歯医者の婚約者との結婚も決まり、公私ともに順風満帆。そこに父親の再婚相手として林美秀演じる何秀蘭を紹介される。

何とか父親の再婚を阻止しようとするが、真面目で優等生な立美は百戦錬磨の秀蘭に敵わない。逆に男の攻略方法を指南される。

そうこうするうちに秀蘭に殺人の容疑がかかり、スキャンダルから家族を守るために立美は禁じ手を使うようになる。

とにかくここに登場する男たちがみんな情けない。立美にまんまとハマりお金を貢ぐジジイ達や、薄っぺらい事しか言わない歯医者の婚約者、仕事の便宜を図ろうと立美に近づく検察官。監督は男によほど恨みがあるのか見限っているのか。

林美秀の演技が素晴らしい。最初はふてぶてしくて好きになれないが、スッピンで留置所にいる時のやつれた姿に「ホントはこの人いい人なのかもしれない」とつい思ってしまう。でもこれも多分計算の内。

男たちから貢いだお金で買ったマンションに、巨大な自画像を飾る自意識にドン引き。

結局自分が木嶋佳苗になれるかどうかは、「好きでもない相手(たいがいはオッサン)とセックス出来るかどうか」にかかっている。ギブ&テイクの平等な取引だと思えば、お金を得ることに罪悪感はないだろう。

自分は今どっち側なのか問われているみたいで、こういった事件はいつも女性を惑わせる。

 

追記:2024年2月8日から、Netflixで配信。