毎年秋になると東アジア各地で映画祭が開催される。コロナ渦のうっぷんを晴らすかのように今年はどれもゲストをばんばん呼んで豪華になっている。そして私は、今年も有給を使って台湾の金馬に参戦。
まずは10月4日~13日に開かれるのは釜山国際映画祭。
オープニング作品はアンディさん主演、寧浩監督の「紅毯先生(ムービー・エンペラー)」
東京国際映画祭でも上映。
お騒がせ女優の范冰冰(ファン・ビンビン)が主演の「緑夜(緑の夜)」
香港の制作会社が韓国で撮影。東京国際映画祭でも上映。
10月23日~11月1日に開かれるのは東京国際映画祭。
今年は上映する映画館を増やして上映回数を増やしている。
いろんな国からひっぱりだこの吳慷仁(ウー・カンレン)主演映画「但願人長久(離れていても)」
東京国際映画祭がワールドプレミア。香港亞洲電影節ではクロージング作品になっている。
香港映画は他にも。「白日之下(白日の下)」
最近活躍が目覚ましい主演の余香凝(ジェニファー・ユー)は金馬獎の最優秀主演女優賞にもノミネートされた。香港亞洲電影節ではオープニング作品になっている。
同じく香港亞洲電影節のオープニング作品に選ばれた「年少日記」
香港では自殺のことを「輕生」と言う。日本での「自死」と同じ感じだろうか。ちなみに「白日之下」も「年少日記」もプロデューサーは爾冬陞(イー・トンシン)。
台湾映画も今回は多数上映している。まずは「愛是一把槍(愛は銃)」
若手人気俳優李鴻其(リー・ホンチー)の初監督作品。作品紹介で何故原題が簡体字で書かれているのかは謎。
九把刀(ギデンズ・コー)監督の最新作「請問,還有哪裡需要加強(ミス・シャンプー)」
主演の春風は今年の金馬獎の最優秀新人賞にもノミネートされた。
「成功補習班(成功補習班)」は俳優でもある藍正龍(ラン・ジェンロン)監督の第2作目。
寡作な蕭雅全(シャオ・ヤーチュエン)監督の映画「老狐狸(Old Fox)」
前作の「范保德(2018)」もまだ見れていないうちに新作登場。
そしてトニーさんがマスタークラスに登場。
今年のベネチア国際映画祭では生涯功労金獅子賞を受賞をしたことで話題となったトニーさん。本当にうれしそうだった。
いつも開催期間が長い香港亜洲電影節は今年は更に延期して10月13日~11月12日まで。
今年はオープニング作品が3つもあって、そのうちの1つが韓国映画の「Cobweb」
映画の撮影現場の混乱と不条理を描いたコメディらしい。主演のソン・ガンホはマスタークラスも開催。
吳慷仁(ウー・カンレン)主演のマレーシア映画「富都青年」
吳慷仁はしゃべれない役なので手話で会話をしている。プロデューサーは女優でもある李心潔(アンジェリカ・リー)。金馬でもノミネートされているので、台湾で見られるかも。
「望月(ブルー・ムーン)」
「香港映画祭2023」でも上映。
台北市で開かれる金馬影展は11月6日~26日まで。スケジュール、上映作品ともに未定だが、3日に金馬奬入選作品が発表された。今年は役所広司特集を組んでいて、ゲストでも登場予定。
一番気になったのは「周處除三害」
タイトルは悪人が悪人を倒して悔い改めるという有名な故事から取られている。最近阮經天(イーサン・ルアン)の髪の後退具合が不安だったが、外見よりも演技力重視なのだろう。
他の映画祭とダブっている作品が多くあるので、何を観るかはスケジュール次第だ。
東京FILMEXは11月19日~26日まで。渋いセレクト。
TOKYO FILMeX 2023 - 第24回「東京フィルメックス」
TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)は10月13日~28日まで。
全部無料なのが太っ腹。会場はお台場と所沢。12作品。何でもアリの節操のないセレクト。
香港映画祭2023は11月2日~5日まで。4日間のみの上映だが、日本初上映の話題作ばかり。
やっぱり気になるのはMIRRORのサブリーダーであるAK主演の「七月返歸(7月に還る)」
製作会社は若い監督を起用した話題作を続けて制作しているmm2entertainment HongKong。香港でも9月から上映されたばかりのホラー映画だ。
同じくMIRRORのメンバー楊樂文主演の「命案(マッド・フェイト)」
こちらも今年4月に香港で上映されたばかりの新しい映画。監督は鄭保瑞(ソイ・チョン)。楊樂文も熱演しているが、林家棟(ラム・カートン)の狂気の演技力にちょっとドン引きしてしまう。
トニーさん主演の「風再起時」は4月に香港に行ったときに鑑賞済み。「毒舌大狀(毒舌弁護人〜正義への戦い〜)」も香港で鑑賞済だが、法廷劇なので日本語字幕も欲しいところ。10月から一般公開もされる。
いかんせん期間が短いのと上映回数が少なすぎ。大阪でもやってくれたらいいのに。
映画を通して日本と韓国が近くなったように、台湾と香港とマレーシアの関係も近くなっている。グローバル化とローカル化が同時に進んでいる中で、どんどん新しい映画が生み出されている。配信は便利だが、まだしばらくは現地に飛んで映画館で映画を観続けることになりそうだ。