「同學麥娜絲(同級生マイナス)」をNetflixで観る

台湾では2020年11月20日から一般公開。金馬では最優秀美術賞や最優秀助演男優賞を受賞している。

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舞台は台中市。元同級生の電風、閉結、罐頭、銘添4人のちょっとしょっぱい人生を描いている。最初に監督のナレーションから始まり、最後も画面に乱入してくるところがおもしろい。いわゆるモキュメンタリ―の手法で撮っているのだ。

この映画では名前遊びがいろいろ出てくる。電風(扇風機)は本名の陳典鋒と同じ言い方で、罐頭(缶詰)も本名の林冠陶から取っている。銘添は明天(明日)と同じ言い方なので、選挙のスローガンに使われている。電風の上司の梅益源は「没一元」と同じ言い方なので、一元より安い硬貨の五角というあだ名がつけられた。

タイトルの「麥娜絲」というのは罐頭が学生時代に片思いをしていた同級生の名前だが、前回の作品が「大佛普拉斯(大仏+)」だからこの名前になったのだと思う。

閉結の仕事はお葬式の時に使われるお供え品を紙と竹で作ることだ。これは香港の街角でもよく見かける。台湾映画では巨大サイズのお供え品がよく登場する。この映画の中でも大人4人が座れるぐらいの立派なお供えの家が現れる。

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豪華な噴水と犬付きw内装も立派。

主演の4人はもちろん脇を固める役者も皆実力派。撮影の中島長雄こと鐘孟宏(チョン・モンホン)が撮る何気ない風景の美しさも相変わらずである。

選挙、披露宴、お葬式など台湾ならではの風習も盛りだくさん。台湾には当分まだ行けそうにないので、気分だけでも味わっておこう。

人生はままならないと言い続けた最後に、成功者に変身した主人公たちが登場する。そこではみんな高級車と豪邸と高級ブランドと豪華な食事に囲まれているが、まさしく広告のように嘘っぽい。そこに被さる監督のナレーションがまた身も蓋もない。それでも暗さは無くて、ままならない人独特のユーモアとニヒリズムに救いがあるような気がする。

そして監督が推薦するエンディングテーマだが、そんなに推すのなら字幕を付けてくれてもいいのにと思って、自分でも調べたが「それはちょっと無理w」な内容だった。

「打手槍する暇があるならちゃんと考えろよっ!」って思ってしまう私は、まだまだ監督の諦観の域に達していないのだろう。