大阪アジアン映画祭で「好好拍電影(映画をつづける)」を観る

今年も無事映画祭が開催されたので、まずは一安心。今年のオープニング作品は許鞍華を追ったドキュメンタリー映画

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映画の中で何度も許鞍華の後ろ姿が映し出されるが、まさに背中が彼女の人生を物語っている。

賞レースの常連であり生けるレジェンドの彼女について、生い立ちから現在の生活まで分かりやすく観客に見せてくれる。

許鞍華は文学作品の映画化が多いが、市井の人々の何気ない日常を撮らせたら天下一品である。「女人、四十(女人四十)1995」「天水圍的日與夜(生きていく日々)2008」「桃姐(桃(タオ)さんのしあわせ)2011 」などは、どれも普通のおばさん(といってもやっぱりきれいだけど)が主人公で特に事件も起きていないのに、ちゃんと映画が成立していることに驚く。この力技には誰もかなわない。

文学作品の映画化では、ちゃんと若い美男美女が登場してメロドラマ的な物語も展開していくのだが、評判や興行成績を見るとやはり前者の方が良かったりする。

今までコンスタントに作品を作り続けている許鞍華だが、さすがに寄る年波には勝てないようだ。この映画の中でも「これからは後継者のサポートに」なんておっしゃているが、骨の髄まで映画人の彼女に引退の文字は似合わない。少数精鋭の小品なら技術も発達しているし、大作より体力は使わないのではないかと思う。

まずは健康第一、今後の活躍も楽しみにしたい。