長江で船に乗りたくなる映画「長江図(長江 愛の詩)」

映画祭で名前を見たが大人気でチケットは買えずじまい。最近になってやっとネットで見られるようになった。

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不思議な映画である。父を亡くして後を継ぎ船長になった男が、船で見つけた1989年の手書きの詩集をもとに長江をさかのぼるお話。

といってもかなり分かりづらい。難解というよりはかなり間をはしょられている感じだ。一番分かりづらいのが謎の美女の存在。そしてその女と一緒にいる男。

最後に何となく「あーそうなのかなあ」と思うが完全には腑に落ちない。私は勝手にあの女は長江の精だと思った。

そんな物語を補って余りあるのが映像美。さすが映像の魔術師、李屏賓(リー・ピンビン)。ネットの映像の解像度は普通レベル(4K版もあるらしい)だったがそれでも美しかった。

映っているのはどれも日常的なものばかり。食べかけの食卓、崩れ落ちそうな民家、船底の機械室等々。

それなのに彼の眼を通すとそれが美に変わる。構図のせいなのか照明の当て方なのか。

一番印象的だったのは操縦室の歪んだガラス越しに謎の女を撮ったシーン。カメラは横にゆっくり移動するので時々人物がガラスのせいでボケる。

それが美しい。

船好きには三峡ダムを遡るシーンに興奮するかもしれない。

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近未来風な風景。

上海を出発して最後は長江の源流まで行く。全編長江愛に溢れている。

日本では2018年2月17日から公開。

http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/lineup/20171117_14715.html

船とか河とかダム好きは見ていて損はない。