いろいろ残念な『羅曼蒂克消亡史(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海)』

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1920~30年代の上海を舞台にした映画は当たらないという鉄板ジンクスがあるのに、それでも量産するのが中国の不思議なところ。

中国の華誼兄弟(フアイ・ブラザーズ・メディア)と香港の英皇電影(エンペラーモーションピクチャーズ)が制作した大作で、出演者もベテラン怪優葛優(グォ・ヨウ)や章子怡チャン・ツィイー)、浅野忠信を引っ張ってきていてかなり本気モード。しかし監督が若くて無名で経験が浅い。結果として中身の薄さを編集でカバーしようとしたけど、やっぱ無理でしたという映画だった。

脚本も監督が書いている。群像劇で「人生いろいろ」なキャラが多く登場するが、撮り方が単純なのでどれも印象に残らない。

しかしこれだけいい素材が揃っているので、まったくの駄作というわけではない。葛優浅野忠信のかけあいのシーンとか緊迫感の中にも軽妙な空気が漂っていて実にいい。

そんな浅野忠信はすらすらと上海語を話していて、吹き替えだとしても口の形を合わせるためにかなり練習したのでは。

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まな板ぶ厚いなあ。

最近中国ドラマで日本人が出るとなると、何故か「ふんどし」シーンが盛り込まれることが多い。「忍者」「腹切り」ときて、次の日本トレンドは「ふんどし」らしいw

そして章子怡はいつでもどこでも章子怡だ。「太平輪(クロッシング)」に引き続き汚れ役だが、「こんな汚れ役だって出来るのよ。だって私は女優だもの!」というオーラで画面いっぱい。見ているこちらもお腹いっぱいだ。でも絶対脱がないんだよね。

一緒に見ていた香港人から「王家衛(ウォンカーワイ)に似てない?」と聞かれてコケた。が、「王家衛の映画から映像美とこだわりの音楽を抜いてすっかすかにした」映画だと言えなくもない。

 

追記:2021年10月「のむコレ'21」として東京新宿シネマート&大阪心斎橋シネマートにて上映。

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