2021年の東京国際映画祭では途中退場してしまったので最後まで観たかったのと、その後にある講座に参加したくて、今回2度目の鑑賞となった。
以前の感想はこちら。
最後の展開がすごいことに。やっぱ観といて良かった。
今回鄭保瑞監督は「忘れられた場所」や「捨てられたもの」にこだわってロケ地を選んでいる。
まず切断された左手が発見された場所は華富邨觀音陣。香港仔(アバディーン)に近いところ。観音様からキリスト像まで何でもあり。これは全部捨てられたもの。それを管理しているおじさんがいて、毎日手入れをしている。
王桃(劉雅瑟)が盗んだ車をヤクザに収める場所は九龍灣にある三湘九龍灣貨運中心。
ここでのアクションシーンはすごかった。
ヤクザに追い詰められた王桃が山田收(池內博之)に出会うところは土瓜灣の美景樓。
土瓜灣では他にも環達街、榮光街で撮影されている。
山田收が住んでいる場所は元朗(ユンロン)の達德學校。幽霊が出る場所として有名で、ここもよく撮影場所に選ばれている。
トラック8台分のゴミを搬入して設営さた。
ラストシーンは觀塘(クントン)にある裕民坊。
私が行ったときは床が何かのフンだらけで入るのにも躊躇したほど。まず掃除してからそこにゴミを設営したと思う。スタッフもたいへん。
王家衛(ウォン・カーワイ)監督の「堕落天使(天使の涙)」他、いろいろな映画に使われている。でも再開発計画が実行されてから街は様変わりしている。
2021年6月オープン。上はマンション、下は商業施設。
劉中選も王桃も、どちらの人生も無間地獄。鄭保瑞監督は、男女問わず俳優を追い詰める演出をするが、今回は特にそれがすごかった。主演の劉雅瑟はこの映画で香港電影金像獎の主演女優賞を獲得。そりゃそうだろうなとこの映画を観ると納得出来る。
上映後は鄭保瑞監督の名家講座。
しかし残念ながら全部広東語なので、理解度は3割以下(汗)。
しかし監督の人となりはよく分かった。まず撮影現場の下っ端から始めて、次第に助監督を務め、脚本を書き、今では監督とプロデューサーもしている。こういうたたき上げの監督も最近少なくなった。
話し中会場は大盛り上がりで、爆笑することもしばしば。
鄭保瑞監督の最新映画は「命案」。林家棟(ラム・ガートン)とMIRRORのリーダー楊樂文が主演だ。
これも早く見たいっす。