41年ぶりの再上映「烈火青春 4K修復ディレクターズカット版」

毎年4月は張國榮レスリー・チャン)関連のイベントが香港で行われる。今年は「烈火青春」が香港國際電影節で上映されるだけでなく、一般の映画館でも上映された。

まず4K修復版なので、画像がきれい。昔見たのは多分海賊版DVDかVCDじゃないかと思うがここまで鮮明ではなかった。

自分でも忘れるぐらい昔の感想がこちら。

mingmei2046.hatenablog.com

80年代の香港は流石に私でも早すぎて実体験がないが、濃厚な昭和感は伝わってくる。

そしてまだ20代のレスリーの繊細で純真なまなざしがたまらない。この映画では父親が自家用船や離島の別荘を持っているくらい超お金持ちの息子Louisを演じているが、複雑な家庭の中でいつも寂しさを抱えている。そのLouisが一目惚れするのが葉童(セシリア・イップ)演じるTomato。Louisの親戚のKathyは夏文汐(パット・ハー)が演じている。そのKathyの恋人がPong。Pongだけは一般庶民で、Kathyと何とかセックスしようと狭い集合住宅から家族を追い出そうと必死になる。しかしそのKathyの前彼が日本赤軍に追われている日本人で、その刺客が密かに4人に忍び寄ってくるというお話。

セックスと死の気配が濃厚にこの映画を支配しているが、4人の奔放さや自由さが羨ましい。香港の女優はセックスシーンでも白いブラジャーすら取らないほど規制が多いが、葉童も夏文汐もリアルに演じている。レスリーでさえちゃんと葉童に絡んでいる(レスリーはよほど女優とのカラミが嫌なのか、毎回見た目激しめでも結構おざなりだったりする。キスシーンでも歯を食いしばってたりとかw)。

美術がやはり素敵で、Louisの真っ青な部屋とか、トラムの緑とか。

赤軍が派遣した刺客が80年代の伝説のモデル山口小夜子に寄せているけど、あまり似てないw

多分骨格のせいだと思う。

山口小夜子以外にもデヴィット・ボウイやイッセイミヤケなどの当時の流行も盛り込まれている。何度か香港太空館の上からの景色が挿入されているのは、1980年10月に出来たばかりで話題になったからだと思われる。

当時、この映画のセックスや暴力シーンが問題となり大幅にカットされたらしい。そのカットされたフィルムは今でも紛失したままだ。そして撮影半ばで予算が尽きてしまい、実は後半部分は別の監督が撮影している。

そんな問題だらけな映画なのに、今でも多くの人が一目見ようと映画館に押しかけている。

どんなに撮影技術や映画制作が効率化していようと、この映画の魅力を再現するのは不可能だろう。