台北金馬影展で「菠萝蜜」を見る

現在の台湾と、共産党ゲリラが森で戦っている過去のマレーシアの場面が交錯しながら物語は進む。

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マレーシアから台湾へ留学に来た一凡は、父とうまくいっていない。台湾での生活も馴染めずじまいで、バイト先のレストランで肉を裁断する時に誤って自分の指も切り落としてしまう。そんな中違法すれすれで働くフィリピン人のレイラと出会い恋に落ちる。しかし突然の別れが訪れ、数年後森の中でジャックフルーツの苗を見つけた時に彼女のことを思い出す。

一凡の祖父の両親が実は森の中で戦う共産ゲリラで、追手から逃げる時に生まれたての祖父をジャックフルーツの中に入れてかくまう。そして子供のいない育ての親に拾われ大事に育てられる。このあたりはかぐや姫にそっくり。しかし数年後母親が祖父を引き取りに来て、両親と一緒に森の中へ戻ることに。そして戦闘中に両親は目の前で殺されてしまう。

監督は2人で、そのうちの1人寥克發はマレーシア生まれ。長編ドキュメンタリー映画「不即不離」の中でもこの祖父の話が登場する。

マレーシアの歴史についてはそれほど詳しくはないのだが、マレーシアではこの共産ゲリラについては否定的な意見が多いらしい。というか若い人はゲリラ自体知らなかったりする。

そういうこともあって、寥克發はこだわりを持ってこの映画を撮ったとQ&Aで話していた。

Q&Aの中では、この映画は台本を俳優に前もって渡さない方式で撮影されていて、風俗嬢を演じる女優はメイクの加減を見てやっと「ああ、今日はこういうシーンを撮るんだ」と分かるという話がおもしろかった。