2017年アジアフォーカス 福岡国際映画祭でも「毒。誡(どくのいましめ)」のタイトルで上映された。
香港に実在したヤクザの伝記。60~70年代の慈雲山と九龍城を舞台にヤクの売人が薬物依存症を克服して更生するお話。
やはり見ものは九龍城。照明がキラキラしている「追龍」より、エイジングが濃いこちらの方が怪しげな雰囲気も倍増している。
自分もその場にいるような気分になる。細かい部分もかなり作りこんでいるので、じっくり見たい。
その他にも香港の街並みがいろいろ。
旺角の裏通りで今でも見かけそうな。
今では数少ない大牌檔。
打ち身捻挫を治してくれる医院。下町に多い。
可愛い外見でも実は警察の車。
ファッションも当時を再現して、ロン毛、ラッパズボン、ヒールの高い靴が基本だ。かっこいいんだけど、ちょっと笑える。特に古天樂(ルイス・クー)はいつも前身ごろにひもが付いているデザインでw当時流行っていたんだろう。
昔気質のヤクザらしいヤクザがたくさん登場する。寺廟の中で親分たち(偉い警官もいる)がメンツを保ちながら折り合いをつけようと話し合うシーンはのどかな感じすらする。
そんなわけで時代考証やセットはかなりがんばっているが、ストーリーが弱くアクションも見応えがない。芸達者な俳優たちは、いつものようにレベルの高い仕事をしている。特に陳普はアクションを封印しても演れるとこの作品で証明した。ドニ―・イェン以降の演技が出来るアクション俳優として、今後活躍するに違いない。
香港の書店では当然ながら香港の歴史に関する本が多い。特に「葉問2(イップマン)」以降60~70年代の資料が増えたような気がする。
こちらは安くて軽くて小型でオールカラーなので、旅行途中で買ってもラクチン。誠品書店なら種類も豊富だ。