郭富城(アーロン・クォック)と王千源が大激突「破・局」

8月17日の公開から半月が過ぎて、もうそろそろ終わりそうなので慌てて遠出して映画館で観た。昼間の回で観客は私を含め5人だけ。人数が少ない方が、中国人がおしゃべりしようがスマホの光が明るかろうが気にならないのでまったく問題はない。

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汚職警官が主役なので、舞台はマレーシア、クアラルンプールのチャイナタウン。アーロン扮する地元の刑事高見翔は所轄ぐるみでヤクザに情報を流して賄賂を受け取っている。母の葬儀の日に人を轢いてしまうが、実は指名手配中のドラッグの売買人だった。こっそり母親の棺桶に一緒に入れて埋めたつもりが、同じ警察署内の警官からそのことで脅迫を受けるようになる。その王千源扮する陳昌民はヤクザとグルになって一緒にドラッグを販売している悪い警官なのだった。

ちょい悪刑事とかなり悪い刑事がお互いの罪がバレないように戦うので、ガチガチハードな警察ものではなく、ちょっとコミカル。監督は台湾の連奕琦(リエン・イーチー)で、以前「甜蜜殺機(甘い殺意)」を撮っている。多分もっとコメディをやりたいんだろうが、この監督の「笑い」はどうにも脇が甘い。

若い時のアーロンはあまりにも品行方正で真面目だったので、それほど魅かれなかった。常に5本の指をまっすぐ揃えて走る「公元2000」の熱血刑事がその典型だろう。しかし年を取るにつれてダメ男役がハマるようになり、「父子」でそのダメっぷりな演技は頂点に達したと思う。

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1965年生まれでこの美しさ。じじいになっても多分かっこいいままだろう。

何年か前だったら王千源の役は孫紅蕾が演じていたはずだ。最近孫紅蕾はバラエティ番組ばかり出ていて、映画ではあまり見かけなくなった。

その王千源は今回ユーモラスな部分が多めで、ダークな部分は少なかった。こういう善悪併せ持った演技が出来る俳優は貴重だ。

同僚役の余皑磊、上司役の馮嘉怡もかなりよかった。

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途中で呉中天が出演していたのが最後まで謎だった。エンディングロールを見たら、そのシーンは台湾で撮影されていた。多分「甜蜜殺機」と「天亮之前」繋がりでゲスト出演しただけだろう。そんな話も含めてやはり脇の甘い映画だと思う。

最後、高見翔が警察を辞職した後、マレーシアのちょっと怪しい街を歩くシーンがある。「C+偵探」シリーズもそうだが、アーロンには怪しい南国の街がとてもよく似合う。