そう言えば最後まで見たことなかったなあと思い、愛奇藝で見ることにした。
郭子健(デレク・クォック)監督の第2作目。オープニングを含め全体的に王家衛(ウォンカーワイ)を意識している。
深水埗(サムスイポー)を舞台に、警察とヤクザの2つの世界に片足ずつつっこんでいる警官がヤクザの抗争に巻き込まれてしまう。一応警官だがまったくヤル気がなく、サボりに買春、手入れの情報を売春宿に流したりと流されるがままに生きている。
冒頭に仲間とバカ話をするところから始まるが、余文樂の自然体の演技がすごくいい。大陸超大作では大見得を切ったキメッキメの演技もするが、やはりゆる~い役のほうが似合っている。
深水埗は郭子健が住んでいたこともあり、デビュー作「野。良犬(2007)」でも登場している。
この頃の陳奕迅(イーソン・チャン)はかなりかっこいいぞ。
ディープな街なので普通の観光客はまず行かない。しかしアクセサリーのパーツや生地、服飾問屋が密集しているので、それ目当てに行く人は結構いる。
ケンカがやたら強いホームレス役を樊少皇 (ルイス・ファン)が演じていて、少女とのふれあいがとても印象に残る。お手製の飛び出す絵本も素敵だ。
郭子健の作品は初期の方が好きだ。ベタなユーモアとファンタジーに嫌味がない。しだいに大作を撮るようになるが、もしかしたら自分が撮りたいように撮れていないのかもしれない。なので2015年に「全力扣殺(全力スマッシュ) 」を見た時はうれしかった。「これだよ、これ!」みたいな。
ツボを押さえた人選。
「悟空伝」は続編がありそうな終わり方だったが、どうなんだろう?