陳可辛(ピーター・チャン)はどこに向かうのか?「醬園弄·懸案」

香港にいる間にまず観ようと思っていたのがこの映画。中国大陸では6月21日から一般公開された。上下部に分かれているが、ワールドプレミアとなったカンヌ版は150分ヴァージョンだ。残念ながら中国国内での評判はイマイチだが、外国人の方が好きそうな感じ。今年の東京国際映画祭でも上映しそう。

1940年代の上海で起きた殺人事件が元ネタ。それを今風に女性の主権をテーマにして映像化している。
てっきり上海の撮影所で巨大なセットを作って撮影したのかと思ったら、虹口区にちょうどいいロケ地があり、そこで撮影したらしい。この醬園の壁は流石に作ったけど。

主人公には章子怡(チャン・ツィイー)、その主人公を助ける役を楊冪(ヤン・ミー)と趙麗穎(チャオ・リーイン)が演じている。その他に盲目の占い師を易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)が演じているが、ここでもイケメンを封印。

陳可辛が中国大陸に拠点を移したのが2005年。そこで次々とヒット作を製作して話題になる。元々ネタとなる史実をもとにずっと映画を作っていたが、最近では中国女子バレーボールの栄光を描いたり、中国テニス界のレジェンド李娜の映画を製作中だ。

個人的にはUFO時代の胸キュンラブストーリー映画が好きだったので、この硬派な路線はちょっとしんどい。もちろん陳可辛が撮るから、大いに盛り上がる見せ場がいくつもあるエンターテインメント映画にはなっているが、それがプロパガンダ映画に見えなくもないからだ。

監督でありプロデューサーであり映画製作会社の社長でもある陳可辛が最終的にやりたいことは、アジア全域をまとめて作品を作り上げることなんじゃないかと思っている。スタッフ役者ポスプロをその時一番生きのいい奴ばかりアジアじゅうから集めて、1つの映画を作り上げてそれを全世界に配給する。

そんな誰も成しえなかった領域に彼なら行けるんじゃないかと期待している。