香港では2022年11月24日から一般公開。9月の釜山国際映画祭、11月の台北金馬影展、香港亞洲電影節と来て、ようやく日本にも上陸。
タイトルの通り香港のある家族の物語なのだが、観ながら自分の家族をつい重ね合わせてしまう。各国の映画祭での上映後にもそういった感想が出てきたそうなので、それほど家族のテーマは世界共通なのかもしれない。
まず8年前から物語は始まる。この日に家族は決定的に壊れてしまうのだが、そりゃそうだろうなと思う。おばあちゃんの口の悪さとか、母親のヒステリーとか、容赦のないかんじがリアル。
それから8年。家族はバラバラなまま、また冬至を迎えようとしている。おばあちゃんは体も衰えてすっかり気弱になり、息子は家を出たまま。姉は結婚して離婚して就活中。父親はタクシーの運転手に転職し、母親は家政婦として働いている先の父子家庭につい居心地の良さを感じてしまう。
この息子陽をMIRRORのEdan呂爵安が演じている。VRゲームを一緒に開発している友人雀仔をMIRRORのAnsonLo盧瀚霆が演じている。
AnsonLoの出番はそれほど多くない。
Edanの常に鬱屈していて怒りを抑え込んだ演技がかなり良くて、彼のことを途中からアイドルとしてではなく、陽として観ていた。
結局冬至の日も家族が揃うことは叶わなかったが、それでもいつかはみんなで食卓を囲う日が来るかもしれないと思わせる終わり方で、単純な大団円ではないところもかえって良かった。そこは上映後のQ&Aで曾慶宏(エリック・ツァン・ヒンウェン)監督が答えていたが、いろんなパターンを考えていたそうだが、これが一番相応しい終わり方だと思ったそうだ。
エンドロールの時に、Edanが歌う「攀上天梯的螞蟻」が日本語訳の字幕付きで流れたのだが、日本の公共の場所でEdanの歌が聴けることにちょっと感動してしまった。いつもはイヤフォンをつけたPCやスマホでしか聴いてないから。
ここでもちょっと期待したけど、やっぱりEdanは現れず。涙。