陳凱歌(チェン・カイコー)奇跡の名作「覇王別姫(さらば、わが愛/覇王別姫)1993」

日本での一般公開は1994年。映画自体はDVDやテレビなどで何度も見たことあるのに、映画館で観たかどうかはうろ覚え。ちょうど塚口サンサン劇場で1週間だけ上映をしていたので早速行ってみた。

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 「貴妃酔酒」の楊貴妃。この世のものとは思えない美しさ。

陳凱歌の作品の中でこの映画だけがずば抜けて評価が高い。陳凱歌は張國榮レスリー・チャン)と鞏俐(コン・リー)の主演ですぐに「風月(花の影)1996」を撮っている。こちらの方は当時映画館でしっかり観ていて、同じ製作会社、同じ監督、同じ役者でこうも仕上がりが違うのかと驚いたものだ。

覇王別姫」の中で、張國榮は程蝶衣そのものだ。レスリーは言わずと知れた大スターだが、レスリーが演じていると思って見たことはない。まさにレスリーに蝶衣が憑依しているかんじだ。

蝶衣の恋敵、菊仙を演じる鞏俐姐さんも実に素晴らしい。2人がバチバチに火花を散らすシーンもゾクゾクするが、アヘン中毒の禁断症状が出ている蝶衣を菊仙が母親のようにそっと抱きかかえるシーンも胸が熱くなる。

その後の嵐のような文革時代の描写は恐怖しか感じない。世界の人々が中国共産党に対して心から信頼できないのは、この映画のせいかもしれない。