香港が日本を抜いて長寿世界一になったのも記憶に新しいが、それぐらい香港も高齢化社会になっている。老人をテーマにした映画も、「女人、四十。(1995)」「桃姐(タオさんの幸せ(2011)」「一念無明(2017)」など名作が多い。
この作品も去年公開され、とても評判が良かった。これを有料サイト「愛奇藝」で視聴。
母親を病気で失った旭仔は、今は香港で再婚している父親を探しに広州から香港に向かった。しかし心がすさんでいるので仕事も住む場所も失ってしまう。半ば強引に、街で出会った芳おばさんの家に押しかけ下宿することに。最初は自分勝手な行動ばかりとるが、次第に新しい生活にも慣れ、家族のいない芳おばさんの面倒を見るようになる。
この芳おばさんのおうちがかなり好きだ。
玄関から入ったところ。タイル使いとリビング入口のアールがかった壁がにくい。
キッチン入口。壁にかかった鏡が演出に広がりを持たせている。
リビングからベランダ向け。レトロな壁紙や腰壁がいい味出している。
小物もレトロで素敵。
ロケ地は上環、深水埗など。「これぞ香港」という場所ばかり。
認知症の症状が出始めた芳おばさんが迷子になる柯士甸(オースティン)駅の近く。この辺は普通の人でも迷う場所。
屋上。香港っぽい。
上環の坂道。
この場所もよくいろいろな映画に登場する。
映画の本筋には関係ないが一番のお気に入りショット。
音楽は波多野裕介。金像奨を受賞したこともある香港在住の日本人だ。エンディングテーマも本人が熱唱している。
サブキャラもそれぞれしっかりしている。一緒に働くちょっとお調子者の阿甘とお堅い所長の恋の行方とか、若い女性ホームレスの悲しい結末とか。
その後旭仔は最期まで芳おばさんの面倒を看ることを決心する。一種の疑似家族だが、今後こういった血の繋がらない家族は日本でも増えていくと思う。というか何故そこまで血の繋がりにこだわるのか不思議。肉親だって裏切るし、疎遠になることもあるだろうに。
追記:2021年11月「香港映画祭2021」の中で上映。