台北金馬影展で「金都(私のプリンス・エドワード)」を観る

太子にある金都商場という婚礼用品が一式揃えられるショッピングモールを舞台にした物語。

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金都商場で同棲もしている恋人とウェディングプランナーの会社を経営している莉芳には秘密があった。10年前にお金欲しさに大陸人と偽装結婚したままだったのだ。恋人と結婚するにはまず離婚しなくてはいけない。何とか相手を見つけ出し福州まで行くが、その過程で自分の結婚を見つめ直す。

まず莉芳の恋人であるエドワードのキャラ設定がおもしろい。Q&Aで監督が言っていたが、香港映画に登場する香港男性がいつも日常とかけ離れているので、自分が撮る時にはリアルにしたいと常々思っていたそうだ。監督が考えるリアル香港男性とは

1:そんなにかっこよくない。

2:子供っぽい。

3:母親の意見に逆らえない。

で、子供っぽいというのは映画「志明與春嬌(恋の紫煙Netflixで視聴可能)」や「分手100次(100回目の別れ:Netflixで視聴可能)」の中でも言われているので、実際そうなんだろうw。

そんな特徴を見事に演じた朱柏康は映画主演は初めて。この作品で金馬では最優秀主演男優賞にノミネートされた。

映画のテーマは良かったが、肩透かしを何回か食らって盛り上がりに欠けている。偽装結婚役の大陸人がジャーナリストでちょっとカッコいいので、そのまま恋人と三角関係になって盛り上がるのかと思いきやそうならない。その大陸人にも恋人がいて、福州にいる時に莉芳と緊張感漂う女同士の探り合いがあるのかと思いきやそれも淡白にスルー。何かと口を挟んでくる姑にも不満はあるが強く言えず、結婚した後も同じ生活が繰り返されることが予想される。

つまりその変わらない生活が結婚なんだと主人公は最後に悟るのだが、まあ実際そうなんだろうなあ。

映画で福州のシーンが出てくるが、香港人が大陸で撮影するのはものすごくたいへんなので、全部香港の田舎で撮影したそうだw公安とかも監督が言うには「いかにも嘘っぽい(笑)」作りだそうだが、言われなければ分からないレベル。

監督はこれがデビュー作の新人だが、關錦鵬(スタンリー・クワン)のバックアップもあって、編集は何と大御所張叔平(ウィリアム・チョン)が担当している。彼が携わったおかげで、尺も短縮できて話の流れがスムーズになったとか。

香港は映画界全体が新人育成に積極的だが、これは映画監督を目指す人には本当にありがたい話だ。そのシステムの中で新しい才能がどんどん花開いている。一種のエリート教育だ。

 

追記:2020年大阪アジアン映画祭で上映決定。もちろん日本初上映。