24時間しか滞在時間がない中で、絶対観たかったのがこの映画。去年の東京国際映画祭でも上映された。
公開2週目に入り、上映回数もそんなに多くない。時間の関係で私は4K版で観た。
主演の許冠文(マイケル・ホイ)は20年前香港から台湾にやってきたしがないタクシードライバー役。納豆は台湾の有名司会者&タレント。タレントとしてはお笑い色が強いが、鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の以前の作品には普通の俳優として出演している。
TVではいつもこんな感じ。
劇中でも納豆役でドラッグの運び屋をしている。
そしてそのドラッグに関わるヤクザのボスに戴立忍(レオン・ダイ)だ。今回の戴さんもクールで腹黒くて素敵。ますます好きになってしまった。
映画はタイから始まる。タイマフィアのボスは「湄公河行動(メコン大作戦)」にも出ていたタイ人のおっさんだ。そこで戴さんは死ぬ一歩手前まで追いつめられるが、何とか切り抜ける。
これを回想して台南のヤクザのボスに話して聞かせるのだが、この2人のやりとりが絶妙だ。嚙み合っているようで微妙にズレている。長年取引している相手とはいえ腹を割って話してはいないのが会話からわかる。
ドラッグの受け渡し場所になっている廃墟のボーリング場がすごくいい。長い長いソファとか手作り感いっぱいのレーンとか。
裏切り者に対するリンチがすごかった。「アウトレイジビヨンド」の中のバッティングマシーンを使った殺し方も秀逸だったが、この映画でも悪夢にうなされそうな方法が登場する。
あ~あ~あ~、痛い痛い痛い痛い。
ヤクザ映画を撮る人はみんな常にどうやって殺そうか考えているんだろうな。
特別ゲストで陳玉勲監督がちょこっと出演していて嬉々として演じていた。
ちょこっと出演といえば金士傑が納豆の父親役だった。でもボケた写真でしか登場しない。最後のエンディングロールで分かったくらい。
タクシードライバーの小龍包のエピソードも実に切ない。でも私もこんな融通の利かない夫は嫌だと思う。ヨメ役の林秀美の見下した態度がまたたまらない。
その小龍包絡みで最後はちょっといい話ふうで終わる。
台湾を出てまだ1年しか経っていないのに、もうこんなに懐かしい。