ありきたりなのに嫌いじゃない「酔後一夜(2012)」を騰訊視頻(テンセントビデオ)で見る

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アルパカも謎を解く鍵を握る重要な存在。

主演は余文樂ショーン・ユー)&張静初(チャン・チンチュー)、監督は曾國祥(デレク・ツァン)&尹志文(ジミー・ワン)

舞台は北京。酒に酔った勢いで記憶を無くし、朝目覚めたら見知らぬ男とベッドの中だった・・・。というもうさんざん使い古された設定でその後の展開をどうするのかと思ったが、きれいに都会のファンタジーとしてまとめている。

余文樂の普通にイケメンで素っぽい演技に惚れ惚れする。張静初も眼鏡とボサボサ頭で嫌味にならない程度に美人なのをカモフラージュしていて好感が持てる。

最悪の夜から遡り、二人で昨日自分たちに何が起きたのか検証していく。そして辿り着いた工事現場で妄想した夢のマイホーム。この基礎工事しかしていないマンションの一角に廃材とペンキで飾り付けた部屋がなかなかいい。

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美術は彭浩翔(パン・ホーチョン)とよく組む江漢林。「維多利亜壹號(ドリーム・ホーム)」からはじまって、周迅版「指甲刀人魔」「第一次(メモリーFirst Time)」「分手合約(最後の晩餐)」「撒娇的女人最好命」も手掛けている。おしゃれなだけじゃなくて、手作り感があるのが好きだ。

大作じゃないけど、見た後何だかさわやかな気持ちになる。主人公2人のキャラと監督のセンスがいいからだろう。

何もかもかわいい映画「第一次(メモリー First Time)2012」

以前はどっしりした文芸作品は得意だが、若い子向きのおしゃれな映画は苦手だった中国映画。章子怡チャン・ツィイー)主演映画「非常完美(ソフィーの復讐)2010」でもまったく舞台が北京に見えなくて、欧米映画のバッタもん感200%だった。

変わったのはアンジェラベイビーの登場が大きい気がする。だって、名前からして「アンジェラベイビー」だものw

そんなアンジェラベイビーが主演するキラキラアイドル映画。しかも不治の病で初恋ものだ。

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舞台は廈門市(アモイ)。中国大陸で海辺のおしゃれな場所でロケと言えば廈門か青島(チンタオ)が定番だ。

アンジェラベイビーのファッションもかわいいが、家の内装もすごくかわいい。なので監督はファンタジーが得意な台湾出身かと思ったが、韓延という大陸出身監督だった。但し韓延は日本のサブカルとかが好きそうで、今年「動物世界」という「カイジ」のリメイク映画を撮っている。

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今あらためて見ると、ちょい役でおっと驚く俳優が出演している。恋人役のロック少年を演じている趙又廷(マーク・チャオ)とケンカするイカれたロック女に白百合(バイバイ・ハー)。そして趙又廷の元カノの彼氏役が黄軒(ホアン・シュアン)だ。

ストーリーは三段オチになっている。相手に対する思いやりから出るやさしい嘘をお互いついている。映画の途中でシングルマザーがいきなりロック母になってしまったのは、新人監督の性だろう。

アンジェラベイビーは結婚出産を経験して、最近は露出度も少なくなってきた。実業家でもあり生活には困らないだろうから、このまま芸能生活から手を引くかもしれない。他のアイドル女優のように浮かれたスキャンダルもあまりないし、実は堅実な性格なのかもしれない。

ツイハーク監督映画「狄仁杰之四大天王(王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン)」を騰訊視頻(テンセントビデオ)で見る

2018年7月27日公開。大ヒットしたこともあり中国では1ヶ月以上の長い上映期間だった。そのため映画館での上映がまだ終わっていないのに、ネットでも公開することに。

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多分ツイハークが一番楽しかったのではないかと思う内容。探偵としての謎解きより、もう妖怪退治の方がメインになってしまった。

その妖怪キャラの力のいれようがハンパない。

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全身目玉だらけで気持ち悪いことになっている。

妖怪以外にも妖術使いトリオも登場。

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御年74歳の女優が特殊メイクとアクションに挑戦していてその存在感がすごい。

イーサン(阮經天)はずっと樹に埋もれているのかと思いきや、いざという時に白いキングコングに乗ってバッタバッタと妖怪を倒す。

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やっぱり頭のかたちがきれい。

カリーナ姐さんの武則天も出番が多く、ますます野望をみなぎらせている。時間経過として「狄仁杰之通天帝国(王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件)」にますます近づいているので、今後続けて作るとしても1,2作かもしれない。肝心の狄仁杰が牢獄に監禁されるお話がまだないので、それは是非作ってもらわなければ。

 

追記:2019年1月19日から日本でも一般公開。

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そそられるポスター。

ネット映画の先駆け「指甲刀人魔(2010)」を見る

これもずっと観てみたかった作品。画像が粗くて画面も小さいが、当時としてはそれでも画期的だった。

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原作は彭浩翔(パン・ホーチョン)の短編小説からで、プロデューサーも担当している。監督は曾國祥(デレク・ツァン)と尹志文(ジミー・ワン)の「戀人絮語(恋人のディスクール)」コンビ。

周迅(ジョウ・シュン)主演のこちらは前編後編に分かれていて(技術的な問題だろう)、後編ですぐにネタバラシをしている。

曾國祥はこの後1人で映画を撮り続けているが、嫌味の無い演出で好感が持てる。彭浩翔のそばにずっといて、彭浩翔色に染まらないのはすごい。

ここでも周迅の存在感が際立っている。いわゆる魔性の女を演じているが、これはコロリと騙されるよねと納得。

その後別の監督で映画にもなったが、どちらも好きだ。映画の方はハワイが舞台でとにかく陽気。最後まで「でもやっぱりもしかして?」と匂わせて終わらせているのも良かった。

mingmei2046.hatenablog.com

 

セカンドから本命になるためには?宮廷ドラマ「如懿伝(如懿伝(にょいでん)~紫禁城に散る宿命の王妃~)」

「甄嬛伝(宮廷の諍い女)」の姉妹編ということで以前から話題になっていたドラマが遂に騰訊視頻(テンセントビデオ)で放送開始された。

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「甄嬛伝(宮廷の諍い女)」は雍正帝の時代のお話。「如懿伝」はその次の乾隆帝のお話。そんなわけで甄嬛も引き続き皇太后として暗躍している。

如懿は弘歴(後の乾隆帝)と幼馴染で相思相愛だが、後ろ盾である雍正帝皇后の失脚に伴い、正室にはなれず第一側室の立場で弘歴と結婚。その後後宮の陰謀に巻き込まれ冷宮行きにまで追い込まれる。しかし機敏を利かしてどんどん巻き返し、遂に皇后の座に着く。

第1話目のキャストがめちゃくちゃ豪華。

雍正帝は張豊毅、その皇后に陳沖(ジョアン・チェン)。しかしこの2人はあっさり死んでしまう。そして皇太后になった甄嬛には鄔君梅(ヴィヴィアン・ウー)。

相変わらず出演する人が多すぎて覚えるのがたいへんだ。しかも皇帝のヨメたちは出世魚のように名前が次々と変わっていく。

そんな中でやはり異色なのは周迅(ジョウ・シュン)。他の人はたとえうまくても演技してますという域から出ていないのだが、周迅の場合まるで自分自身の感情で動いているかのようだ。ドラマの中で本気で泣いて本気で怒っている。よく自分の身体に役を憑依させるカメレオン役者が称賛されるが、周迅の場合、自分を役に近づけていく。なのであくまでも主体は周迅のままだ。「何を演じてもキムタク」みたいなものだろうか。以前はそういう周迅に対して、キムタク同様演技力が無いんじゃ?と思っていたが、根本から演技の方法が違うんだんだなと思った。とにかくこのドラマの周迅はすごい。

メイクや衣装のイメージを決める造形設計担当は張叔平(ウィリアム・チョン)。今回は色味を抑えて渋め。最初のほうは周迅の顔がボトックス入れすぎみたいな顔になっているがそれはメイクのせいなのか気のせいなのか。

全87話なのでまだまだ半分にもいっていない。楽しみはこれからだ。

 

追記:2019年5月25日からWOWOWで放送決定。毎週2話ずつ放送しても10か月かかるよw

「盗墓筆記」シリーズの最新作ネットドラマ「沙海」

企鵝影業(テンセント・ペンギン・ピクチャーズ)が製作して騰訊視頻(テンセント・ビデオ)で放送中。「盗墓筆記」シリーズでお馴染みのキャラもちょこちょこ登場してファンにはうれしい作りになっている。

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主演は呉磊(ウー・レイ)と秦昊(チン・ハオ)。呉磊はドラマ「琅邪榜~麒麟の才子、風雲起こす~」で流飛を演じた男の子。実は子役出身で、現在19歳だが芸歴は13年もある。

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このツーショットに座布団10枚~。

最近大陸では10代のアイドルを何とか売り出そうと大人たちがいろいろ画策している。韓国アイドルに大金を貢ぐ若いファンを見て自分も一発当てようとしているのだろう。アイドルとして一番人気なのはやはり鹿晗(ルハン)だが彼ももう28歳だ。呉磊もそういったアイドル予備軍の1人で、「琅邪榜」以降バラエティ番組に出たりいろいろ忙しい。しかし若手俳優たちは腹黒い大人たちに翻弄されず、本業をもっと磨いて欲しいところである。だってこの子以外の俳優は年を取り過ぎて設定では高校卒業直後なのにどうがんばって見ても18歳には見えないもの。

全54話で毎週木金土に2話づつ更新中。砂漠と街の2か所で同時進行的に話が進む。謎を解決しないままどんどん場所が変わり、奇妙な動物に襲われ、ばたばたと人が死ぬか行方不明になるのはいつものことだ。変わったことと言えば、旧日本軍がらみという理由付けが消えたことだろうか。

今日でまだ18話しか放送していないので、これからまだまだ盛り上がっていくのではないか。

今年のダークホース映画「西虹市首富」を映画館で観る

今北京に滞在中で、急にこのブログが開かなくなった。以前にもそういうことがあったので、暫く待ってようやく再開出来た。でも開くまではドキドキだ。

この作品はまったくノーマークで誘われて観た。現在興行成績が21億元突破で超ヒット中。

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中国で「開心麻花」というコメディ劇団があり、その劇団の舞台がまず毎回評判になっていた。その後劇団で映画も撮るようになり、それが今回の大ヒットに繋がっている。

ストーリー自体は昔からあるオーソドックスな内容だ。莫大な遺産を手に入れるためのテストに挑戦し、合格するまでのあれやこれやを見せていく。

中国映画とはいえ、半分はその「開心麻花」のメンバーで、あとの半分は名だたる台湾のコメディ俳優が揃っている。ベテラン俳優の技はやっぱり見ていて気持ちいい。特に亡くなったおじいさんの弟役の入れ歯が取れるタイミングがもう絶妙。

笑いの内容はまったく新しくないが、やっている人が新しいので新鮮に映る。まるで古典落語を今が旬の噺家で聞いているみたいだ。

そこに投入されたのが今話題の宋芸樺。本人としてはこれから大陸で映画やドラマで活躍しようとしたのだろうがケチがついてしまった。

西虹市は架空の街で、ロケ地は厦門市だ。西虹市も「開心麻花」シリーズを知っている人にとってはお馴染みの場所らしい。

最後のオチがちょっと規制すれすれなんじゃないかと思ったが、言うだけならOKてことなのかな。