「君の名は。」香港公開から1ヶ月経っても人気者

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香港レイヤーさんによるコスプレ。気合入ってる。

中国ではスマホで映画のチケットを予約すると正規の値段よりかなり安くなる。一番安く買ったのは18元ぐらい。最新超大作でこのお値段。これも人口が多いから?

今、中国のかなり田舎にいるが、それでも一番近い映画館で「君の名は。」は1日1回上映している。人口の少ない香港でもそれぐらい。

香港は公開初日はこんな感じだったらしく、びっくりだ。

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ハリウッド映画でもこんなことにはなかなかならないよw

今ネットで香港のラジオを1日中流しているが、RADWIMPSの歌がほぼ毎日流れている。こんなところからでも影響の大きさが伺える。

これだけ大ヒットしていると普段アニメを観ない人も観ているようだが、非アニメファンの人はイマイチピンとこないようだ。

多くの人が見るようになればアンチも増えるわけで、これは仕様がないかなと思う。万人受けの映画が一番つまんないだろうし。

チャンイーモウの名前に騙されてはいけない映画「長城(グレートウォール)」

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ハリウッドが巨大中国市場に如何に食い込んでいきたいか分かる映画。監督こそ張芸謀(チャンイーモウ)だがそれ以外のプロデューサー、脚本、音楽等はほぼアメリカ。

話はよくあるハリウッド映画で、見た目からしていかにも悪そうな怪物VS人間、傭兵と美人将軍の話が中心。

マッドデイモンは安定の演技で、映画の中でも光っている。相棒との掛け合いもとても自然だ。

問題はその相手をする景甜(ジンティエン)。バックに万達グループという超お金持ち集団がついていて、常に超大作の主役級の役を演じているのにまったく人気がないといういわくつきの女優。日本でもゴリ押し女優が話題になったが、それと同じ。

この役はちょっと前なら趙薇(ヴィッキーチャオ)がやっていただろう役である。景甜では完全に力量不足。

ポンちゃんはまったくの脇役で、数えるくらいしか登場しない。

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渋い張涵予(チャン・ハンユー)は早々と画面から消えた。

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抑えのおっさんが早々といなくなったのも重厚さに欠ける要因かも。若者だけだとどうしてもわちゃわちゃしてしまう。

劉徳華(アンディラウ)は特別出演でおいしい位置をキープ。

特に場所が長城である必要性もないし、張芸謀じゃなくても撮れる映画である。

日本では2017年4月14日に公開予定。

 

「君の名は。」が中国でヒット中!

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公開1週間で4億元いったらしい。一番驚いているのは日本だったりする。

ドラえもんでもジブリでもないアニメが大ヒットに!」という感じでどよめいているが、「秒速5センチメートル」のパクリ問題があったように、中国でも深海誠監督の名前は案外知られていると思う。というか、中国人のアニメ漫画知識は一般日本人の遥か上をいっている。私なんて話についていけないもん。

かといって、じゃこれから中国でも日本の最新映画が見られるようになるのかと言えばこれはなかなか難しい。

その辺りの事情はこちらを読むと分かる。

「君の名は。」中国公開事情について。

ただし、この映画が中国に及ぼす影響はかなりあるんじゃないだろうか?今後中国で作られるアニメがほぼ深海誠ふうになったりとか。男女が入れ替わるドラマが登場したりとか(そういえば見たことがない)

そっちの変化のほうが気になる。

 

 

 

 

イートンシン監督映画「三少爺的剣」

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Google Chromenではてなが開かない。中国ではたまにあることだけど。

プロデューサーは徐克(ツイハーク)。1977年のショウブラザーズ映画のリメイクである。この時に主人公を演じたのが監督の爾冬陞(イートンシン)というのがおもしろい。

「三番目のぼんぼんの剣」というタイトルだが、話はそのライバル燕十三に重点が置かれている。この燕十三役を何潤東(ピーターホー)が演じている。

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顔一面に入れ墨をしているが、顔の骨格が特徴的なのですぐに何潤東だと分かるw

一見強面だが根はいい人な燕十三を見事に演じきっている。若い頃は無駄にギラギラしていていけ好かなかったが、四十も過ぎ結婚もして落ち着きだしてから役者として大活躍している。

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誰に向けてのサービスなのよ。これが今では↓

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実物を真近で見たことあるが、写真やテレビよりも数段かっこいいっす。

そして三少爺の恋人役を「消失的子弾(バレット・ヒート 消えた銃弾 )」で短い登場ながら深い印象を与えた江一燕が演じている。例え愛し合っていてもぼんぼんとお嬢様の恋は成就しないのだ。

そんなわけで主人公の影が薄い映画だった。タイトルを「燕十三的剣」に変えてもいいくらいだ。

 

イチオシ注目女優 馬思純(マー・スーチュン)

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気が付けば金馬賞が終わっていた。今年は何だか地味めかな。

その中でおっと思ったのは「七月与安生」で最優秀主演女優賞を周雨冬と2人で獲得した馬思純だ。

私は映画「左耳」で初めて知ったと思ったが、子役時代に国民的人気ドラマ「大宅門」に出演していた。

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私も観てたよ。

実は共演しているジャン・ウェンリーの姪。ドラマの中でもジャン・ウェンリーの子供時代を演じている。

それが今ではこんなに可愛くなって。

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蒼井そらに激似と話題にもなっている。

「左耳」では純情なヤンキー娘を演じていたが、その後の映画「盗墓筆記」では部下思いの国際的窃盗犯のリーダーを演じていて、これがなかなか良かった。

「左耳」以降、出演作は切れないがどの役もそれほど目立ってはいない。今回の受賞でさらに忙しくなりそうだ。

大陸ではこういう「甘め」タイプの女優は少ない。コンリーとかファンビンビンとかもう見た目きっつい女優さんのほうが主流。

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癒されはしないなあ。

 

 

今、中国人が何を悩んでいるのかが分かるTV番組「四大名助」

中国でおもしろいテレビ番組を次々と制作している上海の東方衛生テレビ局。

最近よく見ているのは悩み相談番組「四大名助」。4人が司会となって視聴者の悩みに応えるもの。

まず驚くのはそのスタジオの広さ。観客は200人で最後にこの観客が相談者の悩みにジャッジを下す。

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コンサートホールみたいだ。

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ステージでは寛いだ雰囲気で悩みを訊く。

相談の内容は万国共通。夫婦間の性格の不一致とか親子間のすれ違いとか。

4人の受け答えが絶妙。相談者へのイジリもうまい。特に孟非さん(禿げの人ね)の畳みかける説法が素晴らしい。相談者が訴える相手もスタジオに呼んでいてお互いの言い分を公平に訊いている。ときにほぼ完全な親子の断絶みたいなヘビーな内容もあるが、それもきちんと受け止めてくれる。

この中でしみじみ思うのは、「中国人てほんとお金持ちになったなあ」ということ。

よく知らない友人たちに総額30万元(約480万日本円)貸しちゃった夫とか

5歳の子供を1週間に9つの習い事に行かせている夫とか

一回の買い物に50着以上服を買う母親とか

ネット中継している女性(動画サイトで自分の日常生活を生で流すのが流行っていて、ケータイを通じてお金を相手に送れる)に毎月ほぼ給料の全額を貢いでいる彼氏とか

東方衛生テレビは全国で見られるので、相談者も全国各地からやって来る。もちろん前もって選考しているから、極端な人は出てこない。中国の中流階級と言っていい。

今はシーズン4だがネットで過去の放送も見られる。テレビでは毎週木曜夜放送。

 

 

 

李安監督映画「BILLY LYNN’S LONG HALFTIME WALK(ビリー・リンの永遠の一日)」を観る

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日本では2017年2月11日から公開予定。

最近猫パンチ並みの映画が多かったので、こういうボディブローでじわじわくる映画は久しぶりだ。

深い。無駄な説明は一切なく、かといって足りないわけではない。

私はアメリカという国があまり好きではない。アメリカのマネをしたところでアメリカみたいになってしまうだけからやめとけと心から思う人間である。

この映画はアメリカのダメっぷりが上手に描かれている映画だと思う。しかし撮っているのは李安監督なので批判的な主張ではなく、緻密な観察になっている。

その洞察力と構築力に脱帽である。やっぱすげー。

いろんな人がいろんな意見を軍人であるビリー達に披露するが、それがそのままイラク侵攻に対するアメリカの意見なんだろう。しかしビリー達は軍人なので、政治だとか、意義だとか、観念とかには関係なく任務を遂行するだけだ。その辺りの世間と自分との間にあるズレに戸惑いを感じる心の揺れがずっと続く。

とにかく情報量が多すぎて1日経った今でも全部消化しきれていない。ほんのちょっとしか登場しないイベントの演出家でさえ「『情熱大陸』に出てきそうなやり手敏腕女性演出家」みたいな物語がつい脳内で発生してしまうせいだ。ちょい役からしてそうなので、常にケータイを手放せない映画プロデューサーだとかオロオロするだけのへなちょこ担当とか、口達者な隊長とか頭の中はいろいろたいへんなのである。

今回4Dで観たのだが、はっきりいって無駄なサービスだった。椅子が動いたり風を吹かせなくても映像からしっかり想像できるのだから逆に邪魔。

「ジェラシックパーク」みたいな「キャー、恐竜が近づいてくるー、逃げろー」みたいな映画には有効だろうと思うが、李安はやめて。