3世代のファミリーヒストリー「車頂上的玄天上帝」

「白日之下」から立て続けに鑑賞。

美術監督として長年侯孝賢ホウ・シャオシェン)と組んでいた黄文英(ホアン・ウェンイン)の初監督差作品。個人的な思い入れが色濃く投影された映画だ。

お爺ちゃん大好きっ子の芙月は映画の美術監督。父が病に倒れ急遽実家の嘉義に滞在することになる。祖父との思い出に浸りながら、祖父に似た建築士と不倫関係に陥る。

そのお爺ちゃんと建築士の2役を演じるのは周渝民(ヴィック・チョウ)。仔仔は老けメイクにも挑戦している。

お爺さんになっても禿げたり、腹が出たり、歯が抜けたりはしない。

他に気の置けない友人に阮經天(イーサン・ルアン)、幼馴染に張孝全(ジャン・シャオチュエン)、お爺さんのイケてる友人には莊凱勛(カイザー・チュアン)が出演している。

ロケ地は主に嘉義と台中。嘉義では嘉義駅、中央噴水地、綏靖侯嘉邑城隍廟、嘉義樹木園、嘉義市立美術館、昭和史蹟資料館など。台中では霧峰林家宮保第園區、東海大学など。台北では大稻埕の老宅カフェ「AKA café」で撮影をしている。

家族に対する愛情に溢れた自伝的な映画で、どこからがフィクションなのかは定かではない。40代になれば、仕事も恋も行き詰まりがちになるし、親の老後も心配になるしで心が休まらない。

そんな自分を見守ってくれるのが玄天上帝であり、ご先祖様だというのが一応のオチになっている。これぐらいの信仰心があるかないかで、生きにくさは違ってくるかもしれない。台湾人の信仰心の深さは半端ない。