「葉問」の美術はすごいよ

家で「葉問2」を見る。1は去年既に鑑賞済み。
今回は1950年の香港が舞台なのだが、セットがすごい!細かいところまで全然手を抜いていない。
特に
●葉問が弟子達に武術を教える屋上
●葉問が洪(サモ・ハン・キンポー)と対決するレストラン
●香港の街中
が見どころ。1カットしか映らない街中のパーマ屋さんとかもっと映して欲しいくらいだ。
良い映画のセットというのは、どういう角度から撮っても絵になるように計算されている。ただ単に当時の街並みを再現するだけではないのだ。
美術指導は香港の麦国強。他に「十月圍城」「龍虎門」「精武家庭」も担当している。こう並べるとセットの雰囲気が似ていてなるほどと思う。
映画の内容としては悪役イギリス人を正義の味方葉問がやっつけるというもの。ここまでくると葉問がウルトラマンに見えて仕方がない。
実際香港は植民地なので、おいしいところは全部イギリスが占領していた。政府関連の上司はみんなイギリス人だし、貿易で利益を出すことが優先され福祉などは後回し。それを教会や救世軍が代わりに援助していた。それでも植民地だったおかげで内戦や文革に巻き込まれずに済んでいる。現在の香港映画の基礎を築いたのも上海から逃れてきた映画関係者だ。
1の最後に葉問が傷を負いながらいかにも日本軍の魔の手から逃れるために香港に移住したかのように描かれているが、現実は共産党から逃れるため。もし彼もそのまま大陸にいたら今の詠春拳の繁栄は無かっただろう。