金瓜石と九份

少し天気が持ち直したので九份に行くことにする。
台北駅の自動販売機で瑞芬までの自強號(特急)の切符を買う。その後適当に席に座ったら後から来たおばあちゃんに「あのー、そこ‥…」と言われる。おばあちゃんの切符を見たら自分が座っていた座席番号が書いてあった。恥ずかしくなって慌てて席を譲り、別の車両に移動する。どうも私が買ったのは指定無しの切符らしい。列車が空いていたので他の席に座れたが、冷や汗が流れた。
無事に瑞芬に着き、丁度ここにも案内所があったので小さい冊子をもらう。スタッフは日本語英語どちらも話せた。でも肝心の九份の地図がない。どうしようかと思いながらバス停に行くと長蛇の列で、これについて行けばいいだろうと一緒に乗り込む。
その後「九份」バス停に着く。が、休日の原宿並みに混んでいたので次のバス停で降りようとしたら、バスはそのまま止まらず終点まで行ってしまった。こうなったら金瓜石にある金山博物館に行くことにする。丁度自分のように降りられなかったカップルがいたので一緒に行くとこにした。
2人はマレーシアから来たが広東語も北京語も話せる華僑のようだった。終点のバス停から博物館までの道がものすごくわかりにくくて、もしこの2人が一緒じゃなければ辿り着けなかったかもしれない。
結果的には金瓜石を先に来たのが正解だった。博物館以外にも一帯が観光地になっていて見所が多い。ここでもレシート寄付で入場料が無料になった。お得だ。
昔の坑道を利用した体験ツアーは、中に人形が置いてあり人が近づくと自動的に音声が流れて当時を再現している。これがけっこう丁寧に作られていて、会話の内容も当時のままだ。
次に金を精製する建物を利用した博物館にも入った。その中で金山の歴史を説明する仕掛けがちょっとしたショートムービーになっていて、素人でも十分に楽しめた。「ある雨の夜、一人の男が昔が懐かしくなってこの場所に現れるが、実はその男は‥…」みたいな内容。普通こういった小さな町の博物館なんてさしておもしろくはないのに、仕掛けた人はかなりロマンティックな人なのではないだろうか?
古い日本家屋も中がまるで映画のロケセットのようで小道具も手を抜いていない。こういう仕事を見るのはとても気持ちがいい。
その後夕方になってあわてて九份に移動する。とにかく人だらけ。まさに休日の原宿か修学旅行で行くお寺の参道並の混み合い。なので情緒も何もない。お店の人もそんな観光客に慣れ切っている。ありがちなお土産に、英語日本語で呼び込みをする喫茶店の店員。一応「非情城市」のロケ地を見に行く。大きな看板が出ていたのですぐ分かった。「恋恋風塵」の映画館は寂れたまま。
そういうわけで1時間もしないうちに九份を出る。瑞芬駅に案内のおばあちゃんがいて「今の時間は自強がないけど莒光(急行)だったら値段も安いし早く台北に着くわよ」と薦められる。言われるままそれに乗ったが、1時間で台北駅に着いたので遅いとは感じなかった。