香港で「不赦之罪(赦されぬ罪)」を観る

去年の東京国際映画祭でワールドプレミアとしてすでに上映済。しかし上映は2回のみでこれまた観れずじまいだった。香港では6月5日から一般公開だが、高先電影院で先行上映していた。ということは誰かゲストに来るのかな?と期待を込めて日本で先にチケットをゲット。このサイトから予約可能。

hkmovie6.com

メールに贈られたQRコードのチケットをスキャンして中に入る。するとそこにドーンと「不赦之罪」の広告が。

後ろの棚にはいろいろな映画のグッズも展示中。

愛と赦しを解く牧師が娘をレイプした犯人と対峙する物語。主演の黃秋生(アンソニー・ウォン)の演技がとにかく素晴らしい。母親役の蘇玉華(ルイーザ・ソー )のひたむきな演技も見どころ。

物語が進んでいくうちに、実は娘もいじめに加担していたなど新事実が明らかになっていく。両親ともに敬虔な信者だが、実は娘はそれほでもない。様々な新事実が明るみになり、結局娘を一番追い込んだのは自分かもしれないと知ったところで牧師が取った行動とは。

発想は良かったが、もう少しそれぞれのエピソードを掘り下げてほしかった。娘の少年に対するいじめ方があまりにもえげつない。なのにそこに至るまでの娘の心情描写が無さすぎ。そしてそんないじめを受け、レイプまでしたのに出所後娘にチャットを送る少年の気持ちもよく分からない。

このレイプ→妊娠→堕胎するかどうかの葛藤という流れがどうにも軽い。男性監督にありがちだが、頭だけで考えているからこうなるのだろう。

上映後には予想通り、監督2人が「どーもー」みたいなノリで登場。若い!

観客から黃秋生という大物俳優と一緒に撮影してどうだったかという質問が出たが、気さくな性格だったのでそれほどプレッシャーは感じなかったそう。

監督自身が年を重ねれば、作品にも重厚感が増すかもしれない。逆に今しか撮れない軽やかなテーマを扱ってもいいかも。

若い世代に期待。