勝てない相手に挑む恋「早春(1970)」

町山智浩推し」で一度は観てみたかった映画。シネ・ヌ―ヴォで「‘’恋する男“映画祭」として2回だけ上映。

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15歳のマイクは学校をやめて、プール付きの公衆浴場で働き始める。でもマイクは不良でも何でもないフツーの男の子。両親とは仲がいいし、可愛い元同級生からも言い寄られる。それなのに同僚のスーザンを好きになってしまう。彼女はお金持ちの婚約者がいながら学校の先生とも不倫をしていて、チップ目当てにお客に性的なサービスをするのも平気な女の子だ。そんな彼女に何とか近づこうとするマイクだが、黒帯有段者にド素人が試合を申し込むようなもの。結果は目に見えている。

ずっとマイク目線(15歳童貞男子)で映画は語られるので、スーザンの心情については詳しく語られない。男からすれば、若くて性にユルくて美人でナイスバディで後腐れのない都合のいい女なんだろうが、それぞれの男との関係ではあくまでも彼女が主導権を握っている。ヤるヤらないは彼女が決めるのだ。この年でその域に到達できるのはすごい。

結局マイクは駄々をこねて何とかスーザンとヤれそうになるが不発に終わる。そして青春の甘酸っぱい思い出として幕を閉じるのかと思いきや、酸っぱさを通り越して超苦くなって終わる。これではスーザンが浮かばれない。

映画の中でスーザンと婚約者がデートで映画を観るが、それが「性教育風ポルノ映画」だった。映画「タクシードライバー(1976)」にも似たような映画が登場していたが、どっちも絶対デート向きじゃないだろう。しかし今でも男はこういうことをしがちだ。

2018年にデジタル・リマスターされているので画像は鮮明。東欧風の褪せた色遣いとか内装は大好きだ。

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劇場は客席を半分に制限されているとはいえほぼ満席。女子は数人いただけで男だらけだった。

男だったらみんなマイクに共感出来るのだろうか?