中国映画「盲井」(2003)「盲山」(2007)を見る

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以前DVDを買ったが、やっすい海賊版だったのでぶつぶつ途切れるわフリーズするわでちゃんと観られていなかった。今はネットで観られるから便利だ。あんまり古い作品だと流石に画像は粗いが。

どちらも中国農村部の暗部をテーマにしている。海外での評価が高い作品だが、国内では「盲井」は上映禁止だし、「盲山」は当局のチェックが入って内容を変更して上映された。

2000年代の作品なのに70年代の空気がする。時代設定が90年代の西北部で、この「90年代」という設定は中国の暗部に触れる作品によく出てくる。爾冬昇(イー・トンシン)監督の「新宿事件(新宿インシデント)」も不法入国者の話なので「90年代」という設定にして検閲をクリアしようとしたが,やっぱりダメで中国国内で上映できなかったという逸話がある。つまり「90年代=昔の出来事」という意味で当局をけん制する言葉なのだ。

そんなこと言っても、子供女性の未解決誘拐事件が後を絶たないのはみんな知っているし、死んだ人に結婚相手をあてがう「冥婚」のために死人が今でも売買されているのも珍しくなかったりする。

エキストラ役者の希望の星王宝強はこの「盲井」に出演し、それが、馮小剛(フォン・シャオガン)監督の目に留まり、「天下無賊(イノセントワールド天下無賊)」に抜擢されたのは有名。まさにシンデレラボーイ。

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確かにハマっている。素人が出演しているみたいだw

ただ、この映画は主役のオッサン2人が映画の世界をがっちり固めていたからというのもある。映画「Hello!樹先生」も観たけど、ピンで主役を張るより、自分より有名な人の横にピタッと張り付いてかき回すみたいな役のほうが合っていると思う。あらためて「こいつすごい」と見直したのはTVドラマ「暗算」の中で、超人的な聴力で暗号を見破る変人を演じた時。今後の活躍が楽しみな俳優だ。

「盲山」は同じ女性としてつらい。でも主人公は絶望せずに何度も逃亡を図る。歪んだ儒教観念が事件の背景になっている。でもあの子供はきっと雑貨店のオヤジの子供だと思うよ。

主人公が最初と最後で顔つきが全然違う。信念が滲み出ている。これも内容がかなり当局によって変えられているので、オリジナルが観たい。私が観た国内版は結局は最後めでたしめでたし中国の公安はがんばってますよみたいなメッセージでおしまいだが、監督の言いたいことはこんなことではないだろう。