台北電影節で「骨妹」を観る

今年の大阪アジアン映画祭では「姉妹関係」というタイトルで上映。

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女性の同性愛をテーマにした映画だが、はっきりした描写はない。

マカオのマッサージ店で働く女の子がお互い助け合いながら生きていくお話。

若い時の主役を演じる廖子妤(フィッシュ・リウ)は、香港映画「レイジー・ヘイジー・クレイジー」で援助交際をしている女子高生を演じたマレーシア籍の女優。インタビューを聴く限りちょっと天然系。

大人になってからの主役を演じるのは梁詠琪(ジジ・リョン)。貫禄は出てきたけどいい感じに年を重ねている。

数年前からマカオ人によるマカオ人のための映画を撮ろうという動きがあって、この映画もそのひとつ。監督はマカオ出身で台湾で映画を学んだ。そんな新人監督を支えるシステムが香港や台湾にはある。

映画の冒頭は台湾の宜蘭から始まる。アル中の詩詩が怪我をするたび駆け込むのはしょっちゅうロケで使われる利生醫院だ。

その他の主なロケ地はここ。

film-pilgrimage.com

この映画を観ていると友情と愛情の違いはどこにあるのだろうと疑問に思う。途中詩詩に求婚する台湾人が現れて(何でこんなにダサい恰好なんだw)靈靈は身を引くわけだが、2人で幸せになる方法は当時は無かったんだろうなと思う。靈靈と違って詩詩の場合は20年後にやっと自分の気持ちに気付くくらいの好き度だったので、世間の偏見に対抗することは出来なかっただろう。

その他にマカオのマッサージ業界の裏側がおもしろかった。番号でお互いを呼び合うのだが、「38」は「ビッチ」の意味として有名だが、「19」もかなりヤバいらしい。広東語の粗口なのだが、中国語に訳せないらしく監督も聞かれて困っていた。

台湾での一般公開は7日から。

台湾一周の旅ー台中そして台北

嘉義駅からまた各駅列車に乗り、新烏日駅に降りる。新烏日駅は高鐵台中駅と隣接しているので結構大きい。ここからバスに乗って目指すのは「彩虹眷村」だ。

彩虹眷村は一人のおじいさんがたった一人で村中の壁や地面に色彩豊かな絵を描き続けて有名になった場所だ。今でいう「アウトサイダーアート」になるんだろう。昔北京にまだいた頃に彼の作品集を買ったことがあって、ずっと来たかったのだ。

ここは台中駅からバスで行くより新烏日駅のほうが近い。有名になったので「彩虹眷村」というバス停まであるので迷わないはずだ。

そんなに大きな村でもなく人だかりもあるのですぐに分かった。

でも何か作風が変ってきている?

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おじいさんは庭みたいなところでスタッフと一緒にノベルティを売っていて、外で若い人たちが何人かいておじいさん風な絵を描いていた。

それは違うだろう?

確かに長年風雨に晒されて保存や修復も必要だと思うが、もう若い人がわざとヘタウマに描いたような別の絵になっちゃってるよ。昔私が買って見た画集の中の絵じゃないよ。

きっといろんな事情があるんだろうと思いつつ、すぐにまたバスに乗って駅に戻った。

そこからまた各駅列車で台北に向かう。

約2週間ぶりの台北は何だか都会に見えた。せかせか歩く人を見るのはなんて久しぶりだろう。

前に台湾の人が言っていた「台北は台湾の中でもちょっと特別」という意味が少しだけ分かったような気がした。

台湾一周の旅ー嘉義3

台北電影節があるので、30日の夜までには台北に戻りたいと思っていた。

しかし嘉義でもう一つ行きたい場所が出来てしまった。

それは「台糖蒜頭糖廠」。この工場の中だけ走る列車があるのだ。しかもここは伍佰(ウー・パイ)のお父さんが働いていた場所で少年時代の伍佰も住んでいたとか。

まずどうやって行くかネットで調べた。高鐵嘉義駅と台鐵嘉義駅を繋ぐ連絡バスが20分に1本出ているのでまずこれに乗り、その後高鐵嘉義駅から台糖蒜頭糖廠行きのバスが1時間に1本あるのでこれに乗ることにした。工場内の列車は1日10時と15時しか運行しない。何が何でも10時の列車に乗って午後には台中に着きたいところ。

台鐵嘉義駅でスーツケースをコインロッカーにぶち込んで連絡バスを待つ。品のいいおばあさんとたまたま一緒になったので、バスの中でいろいろ話す。おばあさんは日本語がとても上手だった。旅行が好きで日本へも毎年お友達と出かけるのだそうだ。高速を走り、嘉義市内を離れると延々と平野が広がる。伍佰は少年時代に山を見たことがなかったそうだ。確かにどこを見渡しても丘すらない。

おばあさんとは高鐵嘉義駅で別れる。新幹線に乗って台北の歯医者に行くそうだ。外見通りのハイソなおばあさんだ。

時間通りに台糖蒜頭糖廠行きのバスに乗る。最近出来た国立故宮博物館南院を過ぎる。「何だってまたこんな場所に・・・」というところにある。

台糖蒜頭糖廠は台南の十鼓仁糖文創園區と正反対でまったく商売っ気がない。列車に乗る時に100元払うだけで後は無料。だって中には見るものが何にもない。というか修理していないのでどこもボロボロ。

列車には私と家族連れが2組だった。おじいさんが案内役だが、國語が話せないので台語のみ。難易度が高いなあ。

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スピードはかなり遅い。ママチャリぐらい?

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敷地を抜けて一般道路の脇も走る。

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工場内にはもう使われていない施設も。

大体30分でもとに戻る。気も済んだので急いで行きとは逆の順序で台鐵嘉義駅に戻る。

台湾一周の旅ー嘉義2

阿里山から戻る時に、時間もまだ早かったので嘉義駅ではなく1個手前の北門駅で下りた。近くに監獄博物館があるのだ。だが行って分かったが一般公開しておらず、外見を見るだけで終わってしまった。

それでトボトボ歩いていると目の前に日本家屋群がどーんと現れた。まさに街のように。台湾で古い日本家屋に遭遇するのは珍しい事ではないが、このほどの数が集まっているのにはお目にかかったことがない。

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阿里山鐡道は阿里山にあるタイワンヒノキを麓に運ぶために日本人が開発した。かつてその麓にあった日本人村を修復再現して公園とお店にリノベーションしたのだ。

お店の中は様々。カフェ、ラーメン屋、雑貨屋、お土産屋など。

あるお店の中には台湾映画「KANO(KANO 1931海の向こうの甲子園)」の監督の部屋が今でもそのまま飾ってあった。

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「甲子園」の文字が!

残念ながら閉店まじかで中に入ることは出来なかった。お店は大体夕方6時で閉店してしまうのだ。

確かにそのまま撮影出来るよなあというぐらいしっかりした造りだ。

そのまま公園の敷地内を回っていると外れに歴史資料館のような建物があり、そこで2人のおじいさんと話し込んでしまった。

檜村と呼ばれたこの場所は戦後廃れてしまい、どの家もボロボロだったそうだ。その後嘉義の歴史を見直す気運が起こり、修復に至ったそうだ。材料は全てタイワンヒノキ。確かに家の中は檜の香りがする。

日本国内でも昭和初期の古い家をこれほどきちんと保存したところはほぼ無いのではないか。阿里山鐡道は日本でも有名だけど(実際列車の中には多くの日本人がいた)、檜村のことを知る人はとても少ないと思う。

台湾一周の旅ー嘉義1

今日は後半のメインイベント、阿里山鐡道に乗る。

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阿里山鉄道はあまりに人気なため当日前日ではチケットは買えないらしいと知り、台北にいるときに既に入手してある。阿里山鐡道のHPで予約したのはいいがカード払いが出来ない。カード自体は依然台湾に住んでいた時に作ったクレジットカードだが、認証番号がケータイに送られるのだ。台湾のケータイ番号なんてもう使ってないよ!たまたま台北駅の柱の隅っこでこの予約捜査をしていたので、そのままスマホを窓口に持って行ってお金を払うことが出来た。

ID番号を入力する場所にはパスポートナンバーでOK。15日前から予約可能で、予約後2日以内に入金すること。

私が買ったのは嘉義から奮起湖まで。途中の線路はまだ復旧出来ていない。列車は山をぐるぐる回りながら進む。山道だが速度が遅いのであまり揺れない。

奮起湖といえば台湾映画「星空(2011)」のロケ地だ。その映画で使用したおじいさんの小屋を移築して保存してあった。

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お昼は有名な弁当を食べる。うまい。

台湾一周の旅ー台南2

いつもは宿代を節約するのにゲストハウスを利用する。しかし台南では安いゲストハウスが見つからず、その代わり駅前のホテルが超安かった。写真からしてかなりの年代物だったが、選択肢もないのでそこに決めた。

ということでこの旅唯一のホテルで泊まる。確かに古い。でも綺麗に掃除してある。そして最上階なので眺めが最高にいい。

そしてTVが!バスタブが!2段ベットの音を気にせずに寝られる!

そこでたまたま観たのが「CODE浮士德遊戲」。主演は呉慷仁(ウー・カンレン)!

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全10話(1話が約10~15分)のネット映画。これを映画用に編集してTVで放送していたのだ。

うだつのあがらない銀行営業マンがふとしたきっかけでどんな願いもかなえるというアプリを手に入れる。確かに願いは叶うが、その代償として言われた任務も遂行しなくてはいけない。浮士德はゲーテファウストのこと。つまり自分がファウスト、アプリがメフィストフェレスで、どんどん追い込まれていくのだ。

大陸にも多くのネット映画があるがどれもほぼ駄作。見るに堪えないものばかりなので全然人気がない。これは愛奇藝台湾が出資しているので、大陸の愛奇藝でもみることが出来た。

主演の呉慷仁がここでもいい仕事をしている。最初と最後では別人のようだ。監督の詹大為は資料がほとんどないので新人だと思う。

台湾では神様にお願いしてそれが叶うとその神様にお礼をしないといけない決まりがある。日本みたいに願いっぱなしは出来ない。そういうのが下地になってこの物語のもとになっているのかもしれない。

夜は早速買ってきたバスソルトでお風呂を堪能。幸せだ。

台湾一周の旅-台南1

食べ物なら台南が一番おいしいらしい。確かに一番最初に食べた半分屋台みたいな食堂も麺の硬さ具合がアルデンテでうなってしまった。

台南は台湾で一番古い街だ。なので古い建物がぎっしり。その中でも行きたかったのが

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「林百貨」。中の装飾もおしゃれ。着物を着て行きたいかんじ。

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ちょっと郊外にある十鼓仁糖文創園區。もとはサトウキビ工場。バスで。

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安平地区。台南では鄭成功がヒーロー。あちこちに彼の銅像があった。鄭成功も日台のハーフだ。