偏頭痛がひどくなり早退して家に帰ると、ばったり大家と出会う。
「家賃今払う?」
「まだ月末になってないでしょ!それより大家さん、TV何時くれるの?」
「え?自分のTVは?」
「何言ってるのよ。契約するときに大家さんがくれるって言ったでしょ!!」
「丁度いい。一緒に4階に行って取ってこよう」
「はあ?」
それで4階の空き部屋から微妙に古いデカイTVを持って降りてくる。
「前に超最新式の薄型壁掛けTVを置くって言っていたよね?」
「え?そうだっけ?それよりさあ、もう年取っちゃって重いもの運ぶのたいへんだよぅ。」
それで置くところがないので、冷蔵庫の上にドンと置いて帰っていく。
頭痛もするし、心底疲れたのでそのままベッドに入る。が、その後廊下で大家が集金している声が聞こえてきた。もうほとんどケンカ。さっきまでかよわい老人のふりをしていたのがどこへやら。粗口まじりで人の話は耳に入れず自分の言いたいことしか言わない。
そのあまりにも食えないタヌキおやじっぷりはマンガの域に達していた。
どうでもよくなってそのまま寝る。